概要
ダエーワとはゾロアスター教における悪魔達のことをさす呼称。首領はアンラ・マンユ。(アンリマユ)
この神話における悪魔達の非常に興味深いところは、インド神話での善神(デーヴァ)が悪神とみなされ、悪神とされたアスラが善神の最高神アフラ・マズダーとなって彼らと敵対しているところである。
所謂、宗教戦争で神格の存在の善悪が逆転して登場しているのはどの宗教でも見られる事だが、ここまで顕著なのは稀である。
また、それ以外にも七つの大罪、ソロモン72柱で有名なアスモデウスの原型である悪魔アエーシュマや、他の宗教観に取り入れられた悪の象徴アジ・ダハーカ等魅力的な悪魔達が複数存在している。
ヴェンディダードの七大魔王
ヴェンディダード(ゾロアスター教の宗教法)の中で、疫病や災厄を振りまいてアフラ・マズダーと対立するダエーワの中核をなす7体の魔王を指す。
だが、その中に首領であるアンラ・マンユがいるので、それを除いて六大魔王と見なす場合もある。
- アンラ・マンユ 魔王の中の魔王。
- アカ・マナフ 「悪しき思考」を植えつける魔王。
- ドゥルジ・ナス 「虚偽」と「不浄」を広める女魔王。(単にドゥルジ又はナスとも呼ばれる。)
- タローマティ 「背教」を唱える女魔王。
- サルワ 「無秩序」な世界を作るため破壊を行う魔王。(インド神話でのシヴァである)
- タルウィ 「熱」を意味し、植物を滅ぼす魔王。ザリチュのパートナーである。
- ザリチュ 「渇き」を意味し、毒草を蔓延させる魔王。タルウィのパートナーである。
記述によってはインドラが加わる事もある。というのも、悪魔インドラは高位の悪魔(魔王)というよりも中位の悪魔としてみられることが多いからである。
その他のダエーワ
- アエーシュマ 「狂暴」の名を持つ悪魔。アスモデウスの原型。
- ジャヒー 「性悪女」を意味する悪魔。アンラ・マンユの母親にして愛人と言われる。
- アパオシャ 「旱魃」の悪神。黒い馬の姿をし、ティシュトリヤの宿敵とされる。
- ブーシュヤンスター 腕の長い女魔。眠りの力で人を怠惰にする。
関連イラスト
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