概要
「バーチャロン」における主役機ポジションを務める機体で、各ゲームにおいて箱絵やメインヴィジュアルを飾っている、名実ともに「バーチャロンの看板」と言える機体。
作品によってある程度差異はあるが、その白と青を主体としたカラーリングと主役毅然としたフォルムは某機動戦士を彷彿とさせる。カトキ氏いわく、「そっちでは盛り込めなかったデザインを試してみた」と言う事。(主に(氏の趣味の一つである)スニーカーの様な足回り等)また多くの機体がビームライフル兼用の大型ビームソードを携えており、テムジンの象徴的装備として扱われている。
今まで全作品にモデルチェンジを繰り返しながら登場しており、どの作品においても初心者から上級者まで手広く対応するオールマイティで扱いやすい機体に仕上がっている。
ゲームに登場したテムジンの歴史
MBV-04-G(OMG、無印)
人類初の量産型バーチャロイド。
ビームランチャーとソードが一体となった多目的ビームランチャー『MPBL(Multi Pul Beam launcher)シリーズ』を携行し、敵の攻撃を相殺するボムも持っている。
開発初期は長距離用のランチャー『MPBL-7mk2』を携行することがほとんどだったが、後継である『MPBL-7mk3』が開発されると、そちらを主装備とした。
ヒロイックな外見から限定戦争での需要も高く、柔軟な運用を可能とするポテンシャルを評価されて多くの部隊で主力として運用された。
完全無欠の機体に見えるが、MPBLに機体そのものが最適化され過ぎており、攻撃能力の大半をそちらに依存している点と相まってMPBL抜きではまともに戦えないという欠点がある。要するに剣が主役で本体の方がオマケという逆転現象が発生してしまっている。
通常戦闘であれば問題ないが、現地で武装を切り替えながら戦う極地戦闘や、サバイバル運用には向かないという無視できない弱点があり、この経験がアファームドの製造に一役買っている。
無論、製造元はその点をはっきりと把握しているようで、追加武装を装備したり使用するボムを過剰性能品に変更するなどの対策を採った派生機体が複数存在する。
ゲーム的な性能もオーソドックスにまとまっており、特に前ダッシュから繰り出すビームライフルはプレイヤーに『前ビ』と呼ばれ、テムジンの代名詞のように扱われた。
特殊攻撃はソードを前方に構えて突貫する「グライディング・ラム」。
後に第3プラント「ムーニー・バレー」でOEM生産される。後述。
MBV-707-G(オラトリオ・タングラム)
高汎用性標準機体
第7プラント「リファレンス・ポイント」がフレッシュ・リフォーの監修の下、開発・生産を行った第二世代型テムジン。
第一世代型テムジンが大量生産を前提においた量産機であったのに対し、本機体はフラッグシップモデルとして位置づけられており、第二世代型バーチャロイドの中でも最後発の機体であったために、他機体と比べて高い完成度を得るに至った。
MPBLも強力な多機能武器『スライプナー』に進化を遂げ、基本はそのままにさらなる汎用性を獲得した。
スライプナーは事象の転換というVクリスタルの機能の一部を利用することによって、状況に応じて4形態のフォームに変形させることを可能にした。
基本であるライフル形態「ニュートラル・ランチャー」をベースに、白兵戦用のブレードを発生させる「ブリッツ・セイバー」、強力なレーザーを発射する長距離砲「ラジカル・ザッパー」、そしてサーフィンボード状に変形し、ビームを推進力として機動・突撃して攻撃を行う形態「ブルー・スライダー」の4形態に変形させることが可能である。
ゲームでも前作同様安定した高性能を発揮し、ゲームセンターでの使用率も高かった。
特殊攻撃は、前述したブルー・スライダーで相手を追尾しつつ突撃する「ブルー・スライダー」および、連続で回転斬りを見舞う「ブリッツ・トーネード」。
完成度の高さから、この後第三世代型テムジンが登場するまで、多くの戦場で改修を加えられながら主力機として運用され続けた。
この設定はかの傑作量産機ジェガンに近いものがある。
だが、世界観上では本機の開発の遅れがDNAのムーニー・バレーへの依存度を高める一因となり、間接的に「火星戦線」の開闢に結びつく事になる
MBV-707J(フォース)
前述の707Gの改修機で、電脳歴V.C.a8年における707タイプのスタンダード。
しかし地球圏での運用に最適化された故に、火星圏ではマーズクリスタルのもたらす悪影響から満足な性能を発揮することができず、後継機である747系列が実戦投入されると戦略的な存在意義を失い、前線からは退いていった。(それに伴ったアーケード版のバージョンアップにより、テムジン系列の初期機体からも除外された。)
設定では前線を退いた機体だが、ゲームではそのレスポンスの良さを好んで使用するユーザーも多く、決して旧式機とは言えない活躍を見せた。
バリエーションとして707J+、707J/cが存在。
MBV-747A(フォース)
現行最新型のテムジンであり、外装の交換によってあらゆる戦況に対応できるアーマーシステムの採用によって、第一、第二世代テムジンには無い多数のバリエーション機が誕生することになった、あらゆる性能面で707系を凌駕する新世代機。(前述の通り、アップデートにより707系列に代わって747系列がテムジンの初期機体となった。)
アーマーシステムの採用により砲撃戦型の747H・高機動型の747F・アーマーを廃した試験型の747Tなど多くのバリエーションを生んだ傑作機。
指揮官機には、装甲を排除して機動力を格段にアップさせるアーマーパージ機能が組み込まれている。
ゲーム中でも「三強」と呼ばれたほどの強機体っぷりを発揮し、初期に支給される機体ながら、多くの大会で好成績を残した。
PSO2とのコラボレーションが行われた際に、フェイ・イェンと共にこのモデルを模したスーツと武器迷彩が実装された。頭部は髪型扱いで、スーツ、武器迷彩共に幾つかの原作同様のカラーバリエーションが存在する。同時に実装されたロビーアクションでは男性ロビーアクションにスライプナーを地面に突き立てて敬礼する勝利ポーズが再現されている。(スライプナーをどこからともなく取り出してくるので、武器の方を持った状態で使うとスライプナーが二本に見える)
モデルは元ゲームからデータをそのまま移植したハイエンドモデルで、スライプナーは大剣とガンスラッシュの両方の武器迷彩に対応している。攻撃時のエフェクトやSEはもちろん、一部のPA(フォトンアーツ)に応じてブルー・スライダーやTRW等の原作同様の変形機構を備えるというこだわりの逸品。
※なお、アーケード版での「交代劇」は「本機のデザイン遅延」が原因との事。
MZV-747J(マーズ)
限定戦争の秩序を守るという立場上、少数精鋭かつ必勝のスタンスを求められたMARZが治安維持活動のために採算を度外視したチューニングを施した、マーズのパッケージイラストを飾る主役機。
限定戦争で使用される機体とは一線を画するでたらめな機体性能を誇り、限定戦争の将兵に恐れられた反則的機体。
火力が万遍なく底上げされており、特にTCW命中時の殲滅力は異常なほど。
MARZがテムジンゲーと呼ばれる元凶となった機体。
装甲・火力・機動力共に高水準で纏まっており、後述する白騎士(Type a8)と並び地球圏最強にふさわしい性能を誇っている。
指揮官機のJ/vになると、前ダッシュRW(いわゆる前ビ)の弾数増加など、更なる強化が施されている。
※CG集「Detail ―TEMJIN 747J―」で森康浩氏が語った所では(747系の「ストリームパターン」は)テクスチャー処理では無く「ポリゴン割ってマテリアルカラーで再現」(原文ママ)したらしい(ただし、ハイエンドモデルの話でゲームモデルはテクスチャー処理だと思われるが・・・ゲームモデルの仕様が開示されていない為、何とも言えない)。
各種派生機体(第一世代)
テムジンtype94(FRAGMENTARY PASSAGE)
シャドウを討伐すべく設立された「白虹騎士団」の騎士団員のみ搭乗を許された、白銀のテムジン。
外見上はカラー以外第一世代型と何ら変りないが、随所に施された対シャドウ用カスタムと超高効率化されたVコンバータの恩恵によって第二世代バーチャロイド以上の高性能を誇る。
部隊の目的上、限定戦争に使用されることはない。あくまでシャドウ殲滅という目的の為に運用される。
四之影(ワンマンレスキュー)
謎の秘密組織『ザ・シャドウ』が運用した、謎の高性能VR。
シャドウという名を冠しているが、暴走VRであるシャドウとは異なり、人間の手で動作する。
第一世代型の皮をかぶった化物とでも言うべき超絶的な性能を誇り、単騎で敵の第二世代型アファームド8体を無傷でねじ伏せた。
※件の『ザ・シャドウ』はシャドウVRの人為制御に成功していたらしい。
10/80(ワンマンレスキュー)
MBV-04-10/80
「テンエイティ」と読む。
当時のDNA本社でもあるFR-08『フレッシュ・リフォー』から生産ライセンスを貸与される形でMV-03『ムーニー・バレー』が生産したテムジンのOEM生産型。
ゲーム中における外見的特徴は、第1世代テムジンをより簡素にしたもの。火器がMPBLから小型化された連射型ビームガンになったことと、特徴的なアンテナがないことが挙げられる。
分かりやすく例えるならば、テムジンがガンダムとすれば、10/80はGMであり、低コストなのをいいことにRNAの第二世代型VRに対抗すべく大量生産された。
※本来は要求性能を考えるとテムジンをそのまま量産化したかったが、状況的に「質より量」を優先せざるを得ず強引なコストダウンの敢行を余儀なくされた経緯が有る。ただ、このOEM生産がムーニー・バレーにMBV開発のノウハウをもたらした側面が無くは無い(VokシリーズのコアVR「VOK」は第2世代型VRの制式発注前に先行開発していた試作MBVのスケルトン構造を流用改造して開発された物。「スピングル・ボック(M)」が実質MBVとして運用できる機体なのも、MBV-707の開発遅延から「新型アファームドに対抗できる機体を早く!」とのDNA将兵からの要請が日増しに高まっていた事による。だが、フレッシュ・リフォーが邪魔をする)。
しかし、ムーニー・バレーが改修した『10/80SP(スペシャル)』は低コストと言う評価を覆すほどの潜在能力を持ち、格闘戦などの限定的状況においては第2世代VRを撃破できる程。
この時に多く出回ったためか、両軍に第二世代型VRが普及した後も各種部隊で運用された他、第三世代の実験機として持ち込まれた物(いわゆる『10/80adv(アドバンス)』)を始めとして闇市に放出され、非公式なルートで売りさばかれた。
因みに、コストダウンの際の機構の整理が絡んでいるのか、機械的信頼性は元のテムジン(MBV-04)より高かったらしい。
10/80sp(オラトリオ・タングラム)
別名「旧式改良強化要努力機体」。
オラトリオ・タングラム当時、VR生産の大手だったプラントMV-03『ムーニー・バレー』がFR-08から「この旧式を、第2世代機とマトモに戦える様に改修せよ」と嫌がらせ同然の発注を受けた機体。
面白い事に、この機体のみ操作方法が前作バーチャロン基準であり、バーティカルターン・空中ダッシュという今作で追加された要素を封じられている(ただし、ターボ攻撃は使用できる)。システム・設定共に典型的な第1世代の機体となっている。
持ち前の俊足とレスポンスの速さを誇り、戦い方次第で第2世代と渡り合える戦闘力を持つ。
しかし裏を返せば、高い戦闘技術と緻密な戦術を組み立てなければまともに戦うことすら儘ならないということでもある。
10/80 adv(フォース/マーズ)
上記10/80の型番違い。マーズクリスタルの影響下におけるV.コンバータの影響をテストするための試験機として火星圏に持ち込まれ、闇市場を経て戦線に投入されたという設定である。
見た目こそ従来の10/80そのままだが、OSはアップデートされているようで、ちゃんと第3世代機と同様の操作方法・新システムの利用が可能になっている。
ただし、装甲はマイザー以上に薄く、10/80SP同様ハンデ機体には変わりはない。むしろ世代が離れたぶん、その弱さが浮き彫りになったと言える。一方で機体の軽さから足の速さは相変わらずで、ソードの長さもテムジン707・747系より少し長い為、テムジンとは違った戦い方が出来る機体でもある。
量産型機なので、ドラマティックモード(ストーリーモード)ではVox系、アファームド系と同様に雑魚キャラ枠として多数出現する。
教習用(ゲーム)
アドバタイズデモに登場した、黄色と白で彩られたテムジン。
家庭用ではプレイヤーも使用可能。
各種派生機体(第二世代)
MBV-707J/c(フォース)
707Jの指揮官機。頭部のアンテナが細い2本から大型の1本になり、センサーが追加された(他のテムジン指揮官機も同様の意匠である。)他、スライプナーが支援用の大型武器となっている。通称「マグロ」
大型で重量がある装備のため機動力に欠くが、TRWの火力と通常射撃の燃費など、優秀な部分もある。
MBV-707J+(フォース)
707Jに白虹騎士団より技術提供されたグリンプスタビライザーを追加した機体。
一撃離脱を身上とする局地戦型で、ピーキーなセッティングがなされている。
MBV-707J SF スペシャルフォース(マーズ)
「砂の勲」に準じる赤いカラーリングのマイナーチェンジ機。空中ダッシュ近接が追加され、しゃがみ攻撃や横ダッシュ攻撃などの攻撃性能、および機動性が向上している。特にバーティカルターン性能の向上は著しく、総合性能はMARZ所有の707Sに匹敵する。
MZV-707S(マーズ)
707JをベースにしたMARZ設立当初からの主力機種。
当初は汎用性に富むVOX系統を導入する案もあったが、製造プラントのアダックスが難色を示したことで見送られ、第二世代型である当機体で戦力を賄っていた。
747Jが最新型テムジンのコスト度外視機体なら、こちらは1世代前の707系のコスト度外視機体MZV-747程ではないものの、能力向上に重点を置いた改造が施されている。
バーチャロンマーズのドラマティックモードで最初から使える機体であり、747Jよりも火力は低めだが、エネルギー消費が軽く、ダッシュ距離も短いなど、初心者向けの位置付けになっている。
試験型(ゲーム)
MBV-707Aの型番を持つ、第二世代型の試験機。一部機能を制限されたハンデ機体。
XVR/RP-07/07(FRAGMENTARY PASSAGE)
試作二号機。
白虹騎士団の次期主力機としてテストされていたが、テスト中にシャドウの襲撃を受け、汚染を受けたため破棄された。
この教訓から、白虹騎士団においてシャドウ対策がさらに徹底されることになる。
Type a3 及びa5 (FRAGMENTARY PASSAGE) 通称「白騎士」
白虹騎士団の次期主力として正式採用されたバージョン。型式番号は年号(電脳歴)を表す。
電脳歴a3には主力武器であるスライプナーが未完成であったため、防楯ユニット「レディオ・スプライト」と、それと対を成して機能するフレキシブル・ランチャ―「リキッド・ディクティター」が装備されている。
各種派生機体(第三世代)
747AⅡ(マーズ)
MBV-747Aのマイナーチェンジ版。一部性能やモーションが747Aと異なっており、スライプナーの形状も747Jに近いものとなっている。この機体を元に「747J」と「ファイアフライ」が開発されることになる。
マーズの一部モードの敵機体としてのみ登場し、プレイヤーは使用不可。
747T(フォース)
フレームのみの本体に747A用のスライプナーとナパームタイプのボムを持たせただけの、いわば装甲がない状態の実験機体。
機動性は著しく高いものの、バルカンすら致命傷になるほど脆い玄人向け機体である。
747H(フォース)
砲撃戦用のホールドアーマーを装着した747系列機。VOXをはじめとする高火力編成に対抗するために開発された。
完全な砲撃戦用ではなく近接戦闘もある程度こなせる汎用機。
MZV-747HII(マーズ)
747HをMARZが改造した機体。全面的に性能は向上しているほか、一部の攻撃に調整が加えられており、747Hとは別物と化しているモンスターマシン。
747F(フォース)
高機動戦闘用のフレックスアーマーを装着した747系列機。かつてのバイパーIIと似たコンセプト(S.L.C.ダイブは使えないが、グライディング・ラムを使用できる)を復活させたものとなっている。
747系列のスケルトンシステムは設計面から余裕を持たせており、かなり贅沢な要求にも対応できた。
VR-747 Type a8 護焔隊筆頭機(マーズ)
白虹騎士団専用のVRであり、Type a3及びa5の後継機。高純度Vディスク、シャドウ侵食防止のグリンプスタビライザーなど惜しみなく投入した結果、単純性能だけでフル稼働状態の第2世代VRを凌駕するスペックを発揮する。その性能はMARZで反則機体と呼ばれたMZV-747J/vをも寄せ付けないほど。ドラマティックモードを最高難易度でクリアすることで自機として選べる。要するに完全クリアした人だけが使える最強の隠し機体。
シャドウ討伐という至上命題を達成するため製造費も度外視されており、Type a8専用のスライプナーだけでも第3世代傑作機のVOXシリーズ80機分という費用がかかっている。
747-FF ファイアフライ(プラモデル)
零距離抹殺断罪機体という別名を持つ格闘特化型。
白虹騎士団の造反者(通称:破戒騎士)を討伐する任務を前提に、747AⅡにMARZが運用する機体 (MZV-747J) の技術を導入して開発された。AIアシストにより、近接戦闘においてはType a8を上回る性能を発揮する。
プラモデル
ハセガワから747J・747白騎士仕様・747A指揮官仕様・ファイアフライが、コトブキヤからOMG版・10/80が、ボークスから707Gが発売されている。
また既に絶版だがWAVEからもキットが発売されていた。
余談ながらハセガワ製の747Jはラジカル・ザッパーを再現した限定品もある。
関連動画
In the blue sky(オリジナル)
バーチャロンシリーズと言えばこの曲と語るファンも多い、シリーズの顔とも言える曲。
Get Ready!!
同上(第3次スーパーロボット大戦α バージョン)
第3次スーパーロボット大戦α チーフ全武装
関連タグ
マスターチーフ:第3次スーパーロボット大戦αにて、MZV-747Jが客演した際に充てられたのが彼の前の中の人。この時のテムジンの搭乗者も「チーフ(便宜上付けられた名前で、本名は不明)」であった。
上条当麻:電撃文庫とのコラボ企画・とある魔術の電脳戦機でMBV-707Gの派生モデル707G/VSLに搭乗することになった。