概要
六脚亜門内顎綱のうちトビムシ目(粘管目・弾尾目とも)に分類される節足動物のこと。英語は「springtail」(スプリングテール)と呼ぶ。3,600ほどの種が知られている。
ほとんどが5mm以下の微小な虫である。昆虫と同じ六脚類であり、体も同様に頭部・胸部・腹部の3部に分かれて6本の脚を胸部に持つが、他の内顎類(昆虫以外の六脚類)と同様、顎が頭部の中に格納され、触角の全ての節に筋肉を持つことなどで昆虫から区別される。
名前の通り多くの種類はジャンプが得意で、腹部の裏に折り畳んだ二股状の尾のような「跳躍器」を瞬時に弾けることで高く跳べる。なお、イボトビムシ(下記のイラスト)というグループは跳躍器が退化して跳べない。
学名「Collembola」(ギリシャ語 kólla 接着 + émbolos 管)や別名「粘管類」の通り、腹部の付け根には「粘管」という短いパイプ状の突起がある。かつて、これはジャンプするときにバランスを取るため地面に粘る器官と考えられ、この名が付いた。しかし後にこれは誤解で、実は水分を出入れさせ、浸透圧を調節するための器官であると判明した。
他の六脚類と比べて、トビムシの腹部の節が6節で少ないのも特徴。また、内顎類の中で唯一に目を持つグループであるが、6対以下の単眼であり、昆虫のような複眼ではない。
ハマトビムシという節足動物がいるが、これはトビムシどころか六脚類ですらなく、ヨコエビなどの端脚目の甲殻類である。
生態
水辺や土壌など湿潤な環境で大量に存在する。腐植食性寄りの雑食で、落ち葉など植物の残骸の他に花粉や菌類、藻類などを食べることもある。トビムシはこのように土壌の有機物の分解者である同時に多くの小型捕食者の獲物でもあるため、食物連鎖の基盤を支える重要な存在と考えられる。
繁殖は交尾をせず、オスが精包を置いてメスに拾ってもらえる形で受精する。マルトビムシの場合、雌雄が触角を絡み合って求愛ダンスを行う種もいる。
成長は脱皮してシンプルに大きくなるだけで、昆虫の変態ほど大きな変化はない。