概要
アメリカ合衆国沿岸警備隊(USCG)が第二次世界大戦前に就役させたカッター(海上保安庁の巡視船に相当するが、海保船と異なり戦時には船団護衛任務にも就く)。全7隻中、第二次世界大戦で戦没した1隻を除く6隻が1980年代まで活躍し、そのうち「インガム」と「タニー」の2隻が現在も記念船として保存されている。USCGの歴史の中でもとりわけ長寿で、かつ戦時において活躍した船が多く属する船級である。
各船
ビブ (USCGC Bibb WPG-31)
キャンベル (USCGC Campbell WPG-32)
デュエイン (USCGC Duane WPG-33)
ハミルトン (USCGC Hamilton WPG-34)
インガム (USCGC Ingham WPG-35)
スペンサー (USCGC Spencer WPG-36)
タニー (USCGC Taney WPG-37)
詳細
全長327フィート(100m)、排水量約2350トン(艦隊型駆逐艦並み)の大型カッターである。米海軍のエリー級砲艦をベースに設計されたが、漁業パトロールや麻薬取締りなどの外洋任務に当たるため足が長く、かつ荒れた海に適応するため改設計が加えられた。
1936年から37年にかけての進水・就役から間も無く勃発した第二次世界大戦では、全船が対潜・対空武装を施して太平洋・大西洋の両戦線に投入された。特に大西洋戦線では、米国が大量建造した護衛駆逐艦(エヴァーツ級、バックレイ級、ラッデロウ級、ジョン・C・バトラー級など)の数が揃うまでの、連合国軍にとってもっとも厳しい時期を戦い抜き、イギリスを支える各種物資を運ぶ輸送船団を護衛、多数のUボートを屠っている(本級の対Uボート戦績は、米海軍護衛駆逐艦のキルレートを上回っている)。本級は大戦前半の大西洋を横断する兵站を支えた「真の海上主力艦」と讃えられている。
1942年に戦没した「ハミルトン」を除く6隻は戦後は通常の哨戒任務に戻るが、朝鮮戦争ではパイロットの捜索救助(SAR)として、ベトナム戦争ではマーケット・タイム作戦(南ベトナム解放民族戦線の支援の妨害)などに従事している。