概要
「ネッシーがくる」とは、漫画『ドラえもん』てんとう虫コミックス第6巻に収録されたエピソード。
漫画『ドラミちゃん』のエピソードを改変して取り入れた話の1つ。
大本は小学生ブック1974年8月号に掲載された「公園のネッシーのまき」で、漫画『ドラミちゃん』としては7話目となり、後に「公園のネッシー」のタイトルで『藤子・F・不二雄大全集』に収録された。
あらすじ
夏休み。のび太はドラミに手伝ってもらいながら、ある資料を纏めており、ママは「2学期の成績が楽しみ」というが、のび太が纏めている資料は勉強のためではなく、ネッシーが実在する資料であり、ネッシー空想派のズル木との討論会のためであった。
ドラミと共に纏め上げた資料を持って説明するのび太に最初こそ皆、賛同するがズル木のほうが一枚上手だったためにズル木に軍配が上がる。空想派に賛同しなかったのび太は司会のジャイアンにゲンコツされながらも新しい証拠を見つけてくる時間を与えられたのだった。
一方、ドラミは万が一に備えて、地底探検車を使い、ネス湖のネッシーを近くの公園の池に連れてくる作業を初め、帰宅したのび太に逆転を約束。のび太はエラチューブで池に潜り、トンネルを確認した帰り道にズル木と会い、1週間後には確かな証拠を見せると約束した。
約束の日。公園に集まったのび太とドラミとズル木であったが日が暮れてもネッシーは姿を現さず、怒ったズル木は帰ってしまう。
夜になっても現れないことから池に潜ったドラミはネッシーが確かに来ていることを確認。
それを聞いたのび太はズル木の家に向かい、ドアを叩くが慌てていたことから、ジャイアンの家に来てしまっていた。
改めて、ズル木の家に向かったもののズル木は親戚の家に遊びに行って留守だった上、ズル木以外の何者かにネッシーの姿を見られてしまう。
のび太はズル木に見せるまでネッシーを池で密かに飼育することを提案するがドラミからネッシーの生物としての重要性と万が一のことがあった場合は全世界の人にお詫びをしなければいけないと説かれた為、のび太もネッシーを今すぐにネス湖に返すことを受け入れ、2人はネス湖に帰っていくネッシーを見送り、トンネルも閉じるのだった。
翌日、ジャイアンが自分の話を信じようとしないズル木をボコボコにしていた。通りかかったのび太とドラミが仲裁に入り、ジャイアンは2人に理由を語り始める。昨夜、何者か(のび太とは気づいていない)のせいで目が覚めてしまったことから、夜の散歩として、公園に足を運んだ際、ネッシーを目撃した。そう、昨夜のネッシーの目撃者の正体がこのジャイアンだったのだ。この為、ネッシー実在派に回ったジャイアンはズル木に昨夜の出来事を話すも信じなかったことに怒ったのである。観念したズル木は鼻血を垂らして、両腕を振り回しながら、ネッシーは実在すると発言する羽目になった。
ジャイアン「もういっぺん聞くぞ、ネッシーはいるかいないか」
ズル木「いるいる。ネッシーはホントにいるんだよゥ」
アニメにおける原作との主な相違点
大山版
- 1980年8月8日放送。
- ズル木は登場せず、ズル木枠にスネ夫があてられている
- 最初にネッシーの資料作りを手伝ったのはドラえもんであり、ドラミは遊びに来る形で登場
- ネッシー討論会において、しずかは原作では実在派から空想派に回ったがアニメ版のほうではのび太を擁護し、ジャイアンのゲンコツはカットされ、のび太はネッシー実在の新たな証拠を見つける決意を固めた
- ドラえもんものび太と共にトンネルを確認しに行く
- スネ夫とジャイアンの2人に証拠を見せることにし、スネ夫が怒って帰った後もジャイアンは残るがジャイアンも愛想を尽かして帰ってしまう
- ジャイアンがネッシーを目撃したきっかけはドラえもんのムユウボウによる誘導となり、それに伴い、ジャイアンの母ちゃんの出番はカット
- ネッシーを帰した後、ドラえもんがのび太とドラミの前に現れるもジャイアンの件は語らなかった
- エピローグでドラえもんがのび太たちの様子を見守る
水田版
- 2023年8月26日放送。
- 原作回の扉絵を反映したサブタイトル画像にはドラえもんも描かれ、サブタイトルコールはドラえもんではなく、ドラミが担当
- 1980年版同様にズル木の役をスネ夫が担当
- ドラえもんは長期の定期検診に出かけたことからドラミが代理を務める
- ネッシー討論会において、しずかは1980年版同様に実在派から空想派に回らなかったものののび太を擁護するまでには至らなかった
- 池に潜ったのび太はエラチューブの他にカエルのような水かきも身に付ける
- ネッシーを帰した直後、定期検診を終えたドラえもんがのび太とドラミの前に現れる
- ジャイアンとスネ夫の仲裁にドラえもんも加わる
余談
- のび太が泳げたり、ジャイアンとズル木の家を間違える矛盾に関してはオリジナルのほうではのび太のポジションののび太郎は泳げることやジャイアンのポジションのカバ田の家が商店ではないためである。
- 原作版でのび太の用意した資料の中にはかの有名な「外科医の写真」以外にも「ラクラン・スチュアート氏の写真(1951年7月14日。三つのこぶがネス湖水面に見える)」「ピーター・オコンナー氏の写真(1960年5月27日。大きな胴体に首が見える)」といった有名どころのネッシーの写真も混じっていた。
- のび太は「証拠写真がたくさんあるんだ。あり過ぎて困るくらい」と言っていたので様々な資料を集め、その中で厳選したうえで皆に見せている。
- ちなみに劇中でズル木は「外科医の写真」を例に挙げ、フェイクの可能性が高いことを説明していた(正体は水面に潜ったカワウソの尾ではないかとズル木は述べていた)。
- 「外科医の写真」については、途中の増刷分から1994年にトリック写真だと判明した旨の注釈が追加されている。
- なお、80年代当時に小学館コロタン文庫から出ていた児童向け書籍「ドラえもん全(オール)百科」ではのび太は「ネッシーの実在を証明したい」という秘かな夢を持っていることが記述されている。
- 2023年のアニメ版が放送された8月26日だが、まったく同じタイミング(8月26日~27日)で、ネス湖ではネッシーの大規模捜索が半世紀ぶりに実施され、ネットニュースでも話題になっていた。結果は芳しくなかったが、不思議な縁を感じさせる出来事である。