パストーレ
ぱすとーれ
原作小説『銀河英雄伝説』に登場する、自由惑星同盟側の軍人キャラクターの1人。第4艦隊司令官、階級は中将。第2艦隊司令官パエッタ中将の親友であり、パエッタに言わせると『百戦錬磨』であるらしい。原作・OVA版・劇場版、並びに再アニメ化されたDEI NESE THESE版ともに、良い所は一つもないまま、アスターテ会戦で最初の艦隊指揮官の戦死者となってしまう。
作品中における、彼の手腕は特に明記されてはいない。寧ろ明確に現れたのは、防御戦における粘りの弱さとも言えるが、これは公式な設定ではないが、原作では開戦から4時間で壊滅したとされる。また、それを体現するかのようにPCゲームにおいて彼の指揮能力は、防御力が低めに設定されている事がある。
その一方で、艦載機攻撃による攻撃能力が高めに設定されていることが、しばしば見受けられる模様。そのため、速攻性の強い性格を持つ艦隊指揮官、というのがゲーム中の表現とも言えるであろう。だが、銀河英雄伝説タクティクスでは、トータルで見ても低めの能力値で設定されている。
また再アニメ化においては、通信網やデータリンクの妨害に遭いながらも防戦を展開したが、結局は食い止めることは叶わずに敗退した。
OVA版
アスターテ会戦に参加。ラインハルト・フォン・ローエングラム率いる艦隊に対して、正面から抑え込む役割を担っていた。艦隊戦力は1万3000隻。しかし、ラインハルトの発想の転換の前に驚愕し、慌てて迎撃戦を展開するが、アーダベルト・フォン・ファーレンハイト少将指揮する分艦隊の突撃を前にして、瞬く間に斬り込まれてしまう。
遅れて戦闘艇スパルタニアンを発進させようとするが、先手を打ったファーレンハイトによって母艦ごと撃沈され、為す術もなく壊滅させられてしまった。その後、彼の安否は明確に移されてはいないものの、旗艦ごと戦死している。
劇場版
かなり省いていたOVAと比べ、原作小説に近い描写となっている。艦隊出兵式で初めて顔を見せ、その後、艦隊首脳部内で作戦会議を開いている。その際、彼は「三方向から包囲網を形成する。これは、ダゴン星域の決戦と同じ布陣である」と説明している。
しかし、彼ら同盟軍の予想を裏切って急進してくる現実に、パストーレは虚を突かれた状態になり、思わずこう口走った。
「これはどういうことだ、敵はいったい何を考えている! なんたることだ、敵の指揮官は用兵を知らん、こんな戦い方があるか!?」
さらに幕僚から「どうなさいます?」と問われて、思わず逆切れして怒鳴り付ける始末であった。
この時、彼の口から「三方向からの分進攻撃こそ、最善の策である。と言ったのは、貴官ら(幕僚達)ではないか!」と言っており、作戦提案元は幕僚チームのもようである。その彼らが対策案を講じていなかったことに、パストーレは腹を立てたのである(もっとも、指揮官としても対策を講じておくべきであったろうが)。
救援要請を出すが、帝国艦隊の妨害電波により不能となる(原作では、この後にシャトルを出している)。呆然とするところへ、ファーレンハイトが突撃を仕掛け、第4艦隊先頭集団を短時間のうちに壊滅させられる。さらには、味方艦同士で誤射・轟沈を演じるなど、混乱ぶりを露呈した。
その後もパストーレは後手後手の対応しかできないでいた。戦闘艇も発進前に攻撃を受けて迎撃できず、一方的な防戦に回る。そして戦闘開始から僅か4時間後、第4艦隊は組織的抵抗も出来なくなるほどの大損害を受けて惨敗を喫する。
パストーレ自身は、旗艦レオニダスが被弾した際に外壁が破れ、そのまま宇宙に放り出されると言う悲惨な結末を迎え、戦死してしまっている。
DEI NEUE THESE
概要はほぼ変わらないが、まるきり同じとも言い難いシーンもある。帝国軍に先手を取られた時の後手後手とした理由の一つとして、同盟軍艦隊の通信網とデータリンクの双方を、帝国軍の妨害行為によって遮断されたことがより鮮明にされている。
これにより、パストーレがシールドによる防御展開を命令したが、この妨害行為によって阻害された挙句に全艦のシールド機能の展開が間に合わず、帝国軍の先手をもろに受ける形となっている。シーンとして多少異なるのは、その後にパストーレが艦隊指揮を執っている場面が挿入された事であり、第4艦隊先頭集団が壊滅的打撃を受ける中で、急ぎ両翼の第5軍と第7軍で中央を穴埋めした。なおかつパストーレの旗艦も前進して積極的に防御戦に打って出ている。
だが抵抗虚しく惨敗し、旗艦レオニダスは完全破壊された。パストーレの最期は、原作や劇場版らの様に真空へ吸い出されたのではなく、被弾の影響で無重力となった艦橋内で遺体となって漂っている形に変更された。
あまりにも無様で自分の意図を読めない醜態からラインハルトはシュターデンらと同じ『低能』の烙印を圧している。
OVA・劇場版・新アニメ版共に、パエッタが言う程の戦いぶりを示すことが出来ずに、退場してしまった。新アニメは、多少なりと言えども指揮官らしい対応したが、惨敗したことに変わりはなかった。
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