概要
「ヒラギノ」はモダンゴシック体(角ゴ/丸ゴ)、明朝体で知られるフォントファミリー。オールドゴシック、行書体も取り揃えている。
開発は字游工房だが、販売はパッケージ版がSCREENグラフィックソリューションズ(旧:大日本スクリーン製造)、年間契約式ライセンスがモリサワ、Adobeによって行われている。
詳細
文字の濃度を均一に処理しつつ、フトコロは中庸に保っていることで見やすく癖がなく、用途を選ばない。見出しにも本文にも看板にも使え、iPhoneのシステムフォントやWebページなどの画面表示などにも用いられることから、今日このフォントを目にする機会は多い。
「ヒラギノ角ゴ」は2010年末からは公団ゴシックに代わって高速道路の標識にも採用されたほか、TV番組のテロップにも頻繁に使われている。鉄道会社での採用は新ゴには及ばないものの、相模鉄道など駅名標にヒラギノ角ゴを指定している事業者もある。
このように、今日ではヒラギノといえば角ゴのイメージが強いのだが、実は最初に作られたのは明朝体の方だったりする。元写研のスタッフが関わっているだけあり、そのクオリティは高く、2005年グッドデザイン賞を受賞した経歴を持つ。上記のように行書体や同じゴシック体でも収録文字数が多いもの・ユニバーサルデザインになっているものなどが存在するものの、プロユースのライセンスとしてのみ入手可能なので、そちらの知名度は業界以外ではほとんどないだろう。
情報端末・Webページでの利用
2001年から発売されたMac OS Xの日本語システムフォントとして搭載され、iOSやmacOSの画面表示は基本的にヒラギノである。これに対しWindowsでは「游ゴシックUI」(以前は「メイリオ」)、Androidでは「NotoSansCJK」を採用している。
Windowsのアプリケーションでヒラギノを使うことも可能であるが、Firefox系などのブラウザを使わないと文字色が非常に薄く表示されて、かえって見づらくなってしまう(1990年代にて9x系OSに対応していたTTFファイルは別)。これはOTFファイル全般に言えることであり、Windowsのレンダリングの貧弱さに原因がある。DirectWriteなどを使用するか、MacTypeなどのレンダリングアプリを併用することで表示環境を改善させることが可能。
Windowsでは標準ではシステムフォントの変更はできないのだが、標準の游ゴシックが見づらいという理由で無理やりヒラギノ化して使っている人もいる(正規の使い方ではなく、なんの保証もないので注意)。
中国語版も角ゴのみ開発されており、簡体字版は中国の文字コードの規格「GB18030」に対応しているため、扱える文字数が非常に多い。日本語版とセットで使用することで、かなり多くの漢字を高品質なフォントで扱えることになる。
- スタイルシートを扱えるユーザーは、「ヒラギノ角ゴシック W3」「Hiragino Sans」「ヒラギノ角ゴ 簡体中文 W3」「Hiragino Sans GB」「ヒラギノ角ゴ 繁体中文 W3」「Hiragino Sans CNS W3」「Hiragino Sans CNS」の7つをセットに指定すれば、pixivでの漢字表示は全てヒラギノでまかなえる。
- 日本語版フォントだけで表示できない漢字については、メイリオに比べてこちらのほうが顕著である。メイリオにこの問題が起こりにくいのは、あちらは1990年に制定された「JIS X 0212」に対応しているためで、ヒラギノが対応しているのは市販品の「ヒラギノ角ゴ Pr6N」ぐらいだからである。
- 有名どころで表示できないのは、冴羽獠の「獠」や、哪吒の「哪」などが挙げられる(どちらも上記の方法でカバーすれば問題ない)。また、阪急梅田駅で使われる「梅龱」の「龱」のように、中文版(簡体字Hiragino Sans GB・繁体字Hiragino Sans CNS)が必要になる文字もある。
2019年以降の注意
macOS Catalinaでは、パッケージ版や従来バンドルされていた「ヒラギノ角ゴ Pro W3」や「ヒラギノ角ゴ ProN W3」が古いフォントとして用途を限定されている。これは、以前からウェイト数のもっと多い「ヒラギノ角ゴシック W0〜W9」が導入されたため。
Webでフォント指定を行う際も「ヒラギノ角ゴシック」「Hiragino Sans」なら問題ないのだが、割とけっこうな数のWebサイトが2022年1月現在対応していない。pixivも同様であり、対応が待たれる。
外部リンク
macOS Catalinaでヒラギノ角ゴPro/ProNがなくなって困ってるfont-familyの設定を考える。
Mac Catalina WEBでのヒラギノフォント表示問題について考えたメモ