概要
日本ではほぼ全ての鉄道駅及び軌道停留場に設置されている、その駅ないし停留場の駅名が書かれた看板標識。
「駅銘板」「駅名板」「駅名表示板」等とも呼ばれる。
なお、一般に「駅名標」というとトップ画像のような隣駅の駅名が書かれている横長のものが主流であるが、縦に駅名が書かれているようなタイプ違いのものも「駅名標」とされることがある。
かつては駅において必ずと言っていいほど備え付けられていたものだが、2022年頃から、JR九州では吊り下げ式の大型駅名標の撤去が進んでおり、JR東日本でも柱に貼り付ける形での駅名標が一部撤去され始めており、当該駅では現在位置や隣の駅を確認するのがやや困難になりつつある。
また、自発光型の駅名標も光らないタイプのものに徐々に取り替えられており、こちらを気にする乗客も多い。
駅名標の構成要素
以下では、特に注釈の無い限り日本国内の駅名標について表記する。また当然、全ての項目について必ず表記されるというものではない。
駅名(正式表記)
例:東京駅→「東京」
その駅自体の駅名という、駅名標を駅名標たらしめている要素。なのであるが、これすらも全ての駅名標に表記されるわけではなく、簡素なタイプの昭和以前の駅名標を中心にその役目を「読み」(平仮名)に譲り漢字の駅名は表記されないというものもしばしばあった。また、表記されている場合でも、国鉄を筆頭に平仮名表記を漢字表記より大きく書くタイプが主流であった。
近年では駅名標デザインの多様化が進み、JR西日本のように正式駅名も一番上に大きく書かれるタイプが浸透している。
また、正式な駅名がそのまま書かれることがほとんどであるが、会社によっては駅名が冠する会社名や旧国名を小さく表記する(例:近畿日本鉄道)、あるいは表記しない(例:京成電鉄)場合がある。
駅名の読み
例:東京駅→「とうきょう」
その駅の駅名の読み仮名を平仮名で表記したもの。戦前~戦後間もなくは旧式仮名遣いが主流であったが、現在は現代的仮名遣いで表記される。
かつてはこの平仮名表記が駅名標のメインであることが多く、上述の通り普通に正式表記がトップにくることが多くなった近年でもJR東海(在来線)など大手事業者を含む多くの事業者が読みを一番大きな表記にしている。
駅名の英字表記
ローマ字
後述する例外を除き、駅名の平仮名表記をローマ字に変換したもの。
過去には訓令式もあったものの、現代では原則としてヘボン式ローマ字が用いられる。が、主に以下の点で表記に会社間の相違がある。
- 伸ばす「う」「お」を「ū」「ō」のように横棒(マクロン)を付けて書くか、「u」「o」のように横棒を付けずに書くか
- 「b」「m」「p」の前の「ん」を「m」と書くか「n」と書くか
- 複数の語が合成された駅名で、語間を「-」で繋ぐか空白で繋ぐか
- 頭文字のみ大文字にするか、全て大文字で書くか
英訳
例:自治医大駅→「Jichi Medical University」(※ローマ字との混合)
駅名に地名以外が入っている場合、その部分を愚直にローマ字にする場合もあるが(例:国立競技場駅)、単語を英訳して表記する場合も多い。
外国人にとっては当然こちらの方が分かりやすく、例示した自治医大駅も元々は「Jichiidai」表記であったが2017年に上述のように改められた。
駅名の英語以外の外国語表記
例:東京駅(JR東日本)→「东京」(中国語)、「도쿄」(韓国語)
かつては駅名標の外国語表記といえば英語のみだったが、グローバル化に伴い、近年ではそれ以外の言語の表記も増えている。
代表的なのは中国語と韓国語。その他、西小泉駅にはスペイン語とポルトガル語の表記もある。
副駅名や駅の愛称
副駅名や愛称がつけられる理由は様々だが、上の例のような乗り換えの利便性向上のためであれば大きめに表記されることも多い。逆に、ネーミングライツに起因するものなどは扱いが小さいことも多いが、反例として銚子電鉄は駅の愛称を最も大きく表記している。
また、京成臼井駅は、白井駅との混同回避のための愛称「うすい」をメインの駅名として扱っている。
隣の駅
日本の駅名標の大きな特徴として、この隣駅の駅名の表記率が著しく高いことが挙げられる。
原則としてその路線において実際に隣接している駅の名が当然書かれるが、運行系統ごとにホームが分かれている場合などはその限りではない。
また、隣駅においても、正式な駅名の代わりに上述のような駅名の読み、外国語表記、愛称が書かれることも多い。
ナンバリング
21世紀以降、駅名標に大きく浸透した要素。主に外国人の利便性向上のために各事業者がこぞって駅ナンバリングを導入し、その結果ナンバリングが多くの駅名標に追加表記されることとなった。乗り換え路線の多い駅ではカオスになってしまうのが難点。
スリーレターコード
ほぼJR東日本のみの要素。東京都内の主要駅に固有の英字3字を付与しており、それが駅名標にも記載される。
なお、YRP野比駅の「YRP」はこれとは無関係。
カラー
平成以降の傾向として、JRは白背景、私鉄は東急にならった色付き背景が多い。
会社単位
その鉄道事業者のコーポレートカラーが駅名標にあしらわれる。
路線単位
その路線のラインカラーが駅名標にあしらわれる。
駅単位
例:陶磁資料館南駅→黄色
上2つよりはマイナーだが、路線内で各駅ごとに駅固有の色が設けられている場合、それが駅名標にあしらわれる。
フォント
戦前は右横書きの筆文字が主流。右横書きにするか左横書きにするかで争いがあった。
戦後初期は国鉄に準じた左横書き新字体の手書き丸文字が普及した。1980年代頃には私鉄を中心にナール系丸文字が大流行、21世紀なっても各地に残っている。営団地下鉄ではオリジナルのゴシック4550フォントを使っていた。
平成になるとゴナ系ゴシックが席巻しバリエーションは乏しくなりつつある。
ゴシック体以外は極めて少数で、観光地的要素のある駅に多い。
アイコン
その駅、及び駅の所在地を象徴するイラスト。JR九州のものが特に有名。
矢印
そのホームにおける列車の進行方向を示す。両側につくことも多い。
(その他、追記項目がありましたら宜しくお願い致します)
pixivにおける駅名標イラスト
実在する駅名標を再現したもの
架空鉄道の駅名標
架空鉄道の表現手段として用いられる場合もある。
関連タグ
烈車戦隊トッキュウジャー:駅名標をモチーフにした銃剣兼用武器『トッキュウブラスター』が登場。また、作中では駅名標の変化が、その駅が悪側に占拠された/正義側が奪還した、ということの証左に使われることが多い。