概要
重要路線が分岐する運転上の主要駅で、連続立体交差事業によりホーム・線路用の高架が二重構造になっている駅を指す。
元々は地上駅舎であり、線路も平面分岐であったが、運行本数の増発に際し、大勢の利用客の輸送の円滑化や支障する平面交差や踏切解消といった問題解決と駅周辺の市街地化が進み、土地の取得が難航しホームを水平方向に拡大配置が行えなくなった事象が同時に発生した状態で改修したことでこのような高架構造になっていることが多い。
要塞駅は、線路・ホーム階層の真下にも別の線路・ホームがあるという珍しい構造となっている。これは本来停車する路線の営業元が異なる場合は、乗り換え改札用の階層を挟む必要になるため。
単純に下に降りれば改札出口には辿り着けるので構造こそ単純で分かりやすい一方で、乗り降りに階段やエスカレーターを上り下りしなければならないデメリットもあり賛否両論。一番高い線路・ホームだとビル換算で8Fほどの高さに達するため、単純に高所恐怖症にもなかなかきついものがある。
二層構造にすると高くて長い構造物になりがちなので、周辺が住宅地である場合は日照権などを考え地下化を選択する場合もある(例としては京王電鉄調布駅や小田急電鉄下北沢駅)。地下の場合は要塞のようなインパクトにならないため、要塞駅と呼ばれることもない。地上と地下を複雑に組み合わせた駅構造の場合は要塞というよりもむしろダンジョンと称される。
また、高架が積み重なっているだけの駅であっても、ホーム階とホーム階の間に改札階を挟む場合は要塞ではないとする人もいる。
要塞駅のうち、京成・名鉄・京急が空港と関係している。空港アクセスは競争が激しいので、速度向上のためには立体交差させないといけないという事情がある。
主な要塞駅
方向別に階層が分けられている駅
青砥要塞(京成電鉄青砥駅)
高架化:1986年完了
日暮里要塞(京成電鉄・JR東日本日暮里駅)
1Fでは常磐線ホームの隣に通過線4線を挟んで山手線・京浜東北線のホーム(島式2面4線)が存在するが、隣接していないためここではノーカウントとする。
高架化:2010年完了
蒲田要塞(京浜急行電鉄京急蒲田駅)
本線からはどちらの階層からも空港線に入線できるようになっている。逆に空港線から本線に直通する列車は直通する方向に応じてどちらかの階層に入線する。
高架化:2012年完了
立体交差に支障のある系統のみ階層が分けられている駅
今宮要塞(JR西日本今宮駅)
大和路線下りと環状線外回りが同一ホームで、対面乗り換え可能。
高架化:1996年完了(環状線ホーム供用開始は1997年)
太田川要塞(名古屋鉄道太田川駅)
河和線から常滑線に直通する線路のみを3階に配置している。
高架化:2011年完了
系統別に階層が分けられている駅
福山要塞(JR西日本福山駅)
高架化:1975年完了
布施要塞(近畿日本鉄道布施駅)
高架化:1977年完了(民鉄最古の重高架化分岐駅)
新木場要塞(JR東日本・東京メトロ・東京臨海高速鉄道新木場駅)
高架化:1988年完了(その後りんかい線も1996年に加わる)
北千住要塞(JR東日本・東武鉄道・東京メトロ・首都圏新都市鉄道北千住駅)
自由通路(1F)とコンコース(B1F)を挟みB2Fに東京メトロ千代田線・常磐緩行線があるが、地下のためノーカウントとする。
高架化:1996年完了(その後つくばエクスプレスも2005年に加わる)
階層 | 路線 | ホーム構造 | 備考 |
---|---|---|---|
4F | 東京メトロ日比谷線・東武スカイツリーライン/つくばエクスプレス | 島式2面3線/島式1面2線 | メトロ・東武の構内図では「3F」表記 |
3F | 改札 | - | メトロ・東武の構内図では「2F」表記 |
2F | 東武スカイツリーライン/常磐快速線 | 島式2面4線/国鉄型2面3線 | メトロ・東武の構内図では「1F」表記 |
敦賀要塞(JR西日本敦賀駅)
系統別階層。
要塞から60mほど離れた場所に小浜線・北陸本線・ハピラインふくいのホーム(4面7線)が配置されるが、ノーカウントとする。
高架化:2024年完了
要塞化予定駅
将来的には阪急電鉄淡路駅(大阪府大阪市東淀川区東淡路)や名古屋鉄道知立駅(愛知県知立市栄)やJR西日本海田市駅(広島県安芸郡海田町新町)も要塞駅の仲間入りが予定されており、現在建設が進められている。