概要
遊戯王九期シリーズのブースターパック第六弾「ディメンジョン・オブ・カオス(DIMENSION OF CHAOS)」にて登場した地属性・植物族のランク4モンスターであり、その名の通り「落とし穴」を巧みに操るカテゴリー「蟲惑魔」の新たなメンバー。
また、同カテゴリーにおける初めてのエクシーズモンスターである。
ピンクを基調とした、華美ながらも露出度の高い美少女の姿をしたモンスター。例によっておよそ植物族らしくは見えないが、よく見ると背後に巨大かつ毒々しい花のようなモンスターがチラ見しているので、蟲惑魔の多分に漏れずこちらが本体だと思われる。
カチューシャやドレスの裾の部分など、ところどころにモデルのラフレシアの花をあしらった意匠が施されている。
また、1体のモンスターのイラストとしては珍しく、そのイラストはこれまでに登場した4人の蟲惑魔達が集合するその中央にフレシア本人が座している、という集合絵的なものとなっている。
ただ、何らかの都合によるものかこれまでの蟲惑魔とは絵師が変わっているため、全体的に雰囲気が異なる。なお、フレシアのイラストを手掛けたのは「ゴーストリックの駄天使」の絵師と同じ人物ではないかと言われている。
その名の由来はおそらく「ラフレシア」だろう。
ただし、「ラフレシアが食虫植物である」というのはあくまで一般的なイメージで、本来は他の植物に寄生して花を咲かせる寄生植物であり、異臭を放ってハエ等を呼び寄せる行為はあくまで受粉の手助けをさせているに過ぎない。
故に《捕食植物キメラフレシア》が本体でもない限り、フレシアの蟲惑魔は食事が必要が無い可能性が高い。
……ではなぜ誘惑してくるのかは、元ネタから考えれば分かるな?
「ティオの蟲惑魔」以来の久々の新規の蟲惑魔であり、時間にしてなんと1年半近くぶり。日本先行カードである「WP(ワールドプレミア)」枠での収録であり、WP最後を飾るにふさわしい存在感のカードとして話題をさらった。
カードテキスト
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/植物族/攻撃 300/守 2500
レベル4モンスター×2
(1):X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果で破壊されず、カードの効果の対象にならない。
(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地に送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる。
解説
カテゴリである「蟲惑魔」達がレベル4であるため当然このカードもランク4。しかし全国のデュエリスト、特に蟲惑魔デッキ使い達を驚愕させたのはまさかの素材指定なしというそのエクシーズ召喚条件だろう。
これはつまり、「フレシアの蟲惑魔」というエクシーズモンスターが、蟲惑魔待望のエクシーズであると同時に、激戦区ランク4に殴り込みをかける「汎用ランク4エクシーズモンスター」でもある、という意味を持つ。
そして肝心の効果であるが、まずは(1)の効果により、X素材を持つ限り一切の罠の効果を受けない。
蟲惑魔共通の「落とし穴」耐性をさらに推し進めたようなこの効果により、汎用的な除去カードのおよそ半分近くを腐らせることができ、その守備力も相まって中々に強固な壁となる。
そして(2)の効果は、同名以外の味方の蟲惑魔達にいわゆる「ハムドオベリスク」耐性を付与するというこれまた強力なもの。元々妨害に長けた蟲惑魔達があらゆる除去を無力化するというのはその字面以上に強固で、特に効果は強力ながら維持に問題のあった「アトラの蟲惑魔」「カズーラの蟲惑魔」の2体にとっては心強いパートナーとなる。
対象にならないため「エフェクト・ヴェーラー」をスカすことができ、さらに効果破壊も防げるため「激流葬」などの落とし穴以外の全体除去を能動的に使用することが可能になる。
そして(3)の効果。それはなんと「デッキから落とし穴を墓地に送って効果をコピーする」というもの。要するに「デッキからトラップだと!?」がリアルでできる。
当然ながら1ターンに1度しか使用できないため、発動する「落とし穴」のタイミングと種類はよく吟味する必要があるが、相手からすればフィールドが空でもデッキの落とし穴に怯えなければならないという多大なプレッシャーとストレスを齎すものである。また、あまり注目されないが、名前指定による発動回数の制限ではないため、「フレシアの蟲惑魔」が複数体いれば当然その数まで発動できる。
なお、この効果はあくまで「『フレシアの蟲惑魔』の(3)の効果」として処理を行うため、相手の蟲惑魔を落とし穴に落としたり、「禁じられた聖槍」などで魔法・罠に耐性を持つモンスターに強襲を仕掛けたりもできる。
総じてランク4エクシーズ及び蟲惑魔の名に恥じない強力な除去・妨害戦術の使い手であり、しかもトリッキーかつ独特な効果の持ち主である。
蟲惑魔登場初期における「トリオン奈落」ではないが、その高い汎用性から多くのランク4デッキに数枚の「落とし穴」と共に出張、先攻で立ち塞がり睨みを利かせる場面が見られた。
余談
先述したように、このカードの素材指定が「レベル4モンスター2体」という完全な汎用枠であったことについて多くのデュエリストは驚愕した。(殆どの者が、蟲惑魔エクシーズが来るなら「地属性指定」か「蟲惑魔縛り」位はしてくるだろうと考えていた)
しかしそれ以上にデュエリスト達を震撼させたのはそのレアリティであった。
なんと、よりにもよってスーパーレア及びシークレットレアだったのである。
「強力かつ汎用性が高い」「イラストが可愛い」「レアリティが高い」という三拍子に、誰もが財布がぴょんぴょんする悪夢を想起し、そして実際そうなった。
もっとも、「他の光物の汎用性が極端に低い」というイレギュラーこそあったものの、前弾「クラッシュ・オブ・リベリオン(CRASH OF REBELLION)」より続く「光物の封入率上昇」というコナミのファンサービスによりシングル価格はそこそこ。
ただし、あくまで汎用ランク4であるため、採用するランク4デッキが増えれば当然比例してその価格も上昇していく傾向にある。
関連イラスト
関連タグ
ティオの蟲惑魔(イラスト左上) カズーラの蟲惑魔(イラスト右上)
トリオンの蟲惑魔(イラスト左下) アトラの蟲惑魔(イラスト右下)