「森に漂う蠱惑の誘い。憐れな獲物が罠へと落ちる──」
概要
第8期ブースターパック「JUDGMENT OF THE LIGHT」で登場したカテゴリー。地属性の植物族か昆虫族で統一されている。
なお「蠱惑魔」ではない。「コワク」と打っても「蠱惑」しか出ない上、「蟲」と「蠱」でパッと見の字面が似ている為誤字をしていても中々気付けないことがあるので辞書登録推奨。
英語名は「Traptrix」で、「trap(罠)」+「-trix(女性の行為者の接尾辞)」からなる造語であり、次いで「trick(策略)」も掛かっていると思われる。強いて訳すなら「罠を仕掛ける女」といったところか。
実在の英単語である「Tractrix(牽引線)」と似た語感の名称であり、中々凝っている。
モンスター一覧
所属するモンスターは、それぞれ罠を張る虫や食虫植物などがモチーフとなっている。
効果モンスター
モチーフは蜘蛛(蜘蛛の神格「『アトラ』ク=ナクア」)
モチーフはアリジゴク(英語名「Antlion(アン『トリオン』)」)
モチーフはウツボ『カズラ』
モチーフはハエトリソウ(属名「Dionaea(『ディオ』ネア)」)
モチーフはハナカマキリ(通称「『ランカ』マキリ」)
モチーフはゲン『リセ』ア属の植物
モチーフはム『ジナ』モ属の植物
モチーフはヒカリ『キノ』コバエ
モチーフはウツボカズラの一種「ネペンテス・『プディカ』」
罠モンスター
モチーフはキバナツノゴマ(学名「イビセラ・『ルテア』」。別名「ラムズ『ホーン』」)
エクシーズモンスター
モチーフはラ『フレシア』
モチーフはアリの一種「『アロメルス』・デケマルティクラトゥス」
モチーフはム『シトリス』ミレ
リンクモンスター
モチーフはモウセンゴケ(属名「Drosera(ドロ『セラ』)」)
モチーフはウサギゴケ(学名「ウトリ『クラリア』・サンダーソニ」)
モチーフはジグモ(属名「Atypus(『アティプス』)」)
詳細
外見・イラスト
所属するモンスターはいずれも昆虫族か植物族であるが、その容姿はというと両種族には珍しい少女型。
椿姫ティタニアルなどの属する植物族はまだしも、女性型モンスターの代表がインセクト女王や地底のアラクネーだった昆虫族においては、爬虫類族におけるレプティレス・ナージャのようないわゆる萌え枠であり、なかなか革新的なイラストとなっている
だがしかし
「蟲惑の落とし穴」を始めとする各種派生カードでは、嗜虐的に微笑む少女と共に、巨大で不気味な怪物の姿が確認できる。
未だ公式からの言及はないが、恐らく少女の姿は疑似餌やアバターのようなものであり、それに釣られた獲物を罠にかけ捕食するという設定なのだろう。一方で、少女たちも外敵から身を守るなど何らかの共生関係にある可能性も否めない。
霊使いなどと同様に「カードイラスト自体に需要がある少女テーマ」として急速に高レアリティカードが増加したり、書籍にて設定画が複数回掲載するなどコアな人気が開発側にも認知されていると思われる。
YU‐GI‐OH! CARD GAME ART WORKSによると、フレシアの蟲惑魔を堺にイラスト担当が変わっている事が読み取れる。、
性能
メインデッキの蟲惑魔は「『ホール・落とし穴』通常罠カードの効果を受けない」、エクストラデッキの蟲惑魔は「(条件付きで)罠全般の効果を受けない」という耐性をそれぞれ持っている。
また、各固有の効果として、落とし穴を始めとする通常罠カードに関する効果も持つ。
なお、この耐性効果は当初のテキストでは「「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠」という妙に長い表現がされていたが、これは英語版の表記との兼ね合いからの措置だと思われる(英語版では該当カードを全て「Hole」で括れる)。
9期からカードの効果テキストのフォーマットが一新され、多くのカードの文言がシンプルになる中、蟲惑魔の効果は「「ホール」通常罠カードまたは(及び)「落とし穴」通常罠カード」という長いんだか短いんだかよくわからない感じの表記になっている。
登場から新規の情報がしばらくなく、よくある単発テーマかと思われていたが、2015年2月に新規カード「ティオの蟲惑魔」が、翌年には待望のエクシーズモンスター「フレシアの蟲惑魔」も登場し、以後もゆっくりとしたペースながら着実に数を増やしている。
とはいえ、その性質上「蟲惑魔」のテーマとしての強さは「落とし穴・ホール」通常罠の性能に左右される。
9期以降モンスターの展開力のインフレは凄まじく、単発の罠程度では追い付かなくなることも多くなったが、それを追うように「落とし穴」も多様化。出現時を狙えなければ弱いという弱点は相変わらずながら対応できる範囲も増えてきている。
因みに、「ホール」通常罠カードが効かないため自身の「ホワイト・ホール」の効果も無効化してしまい、「ブラック・ホール」の被害から守ることができない。だから何だというレベルのネタだが。
弱点としては、いわゆる「罠ビート」として見た場合に、モンスター効果への比重が非常に大きい問題点がある。
特に躍進の元となった「セラの蟲惑魔」への依存具合が凄まじく、徹底して除去・無力化されると簡単に行動不能に陥ってしまう可能性すらある。特にセラの特殊召喚する効果に「灰流うらら」を打たれると致命的。一応「キノの蟲惑魔」で回避する術はあるが、そうすると今度は普段なら抵抗出来る「原始生命態ニビル」が重くなるジレンマがのしかかる。
またメタビートの宿命で、相手の先攻ぶん回しからの大量展開や制圧布陣を逆転する力に乏しい。
つまることろ、このテーマデッキを握るうえで、「相手の動きを見切る洞察力と何が何でも先攻を取る運命力」こそが最も重要なスキルと言える。
戦術とその変遷
このカテゴリはその人気からちょくちょく強化されており、大まかに分けて3段階の戦術の変化が見られる。
登場当初
最初期は「落とし穴を操る」という個性的なテーマであるため注目されたが、何分カードが少なく、さしたる勝ち筋もデッキ切れまで粘るほどの持久力もなかった為、構築には何らかの混ぜ物が必要だった。
海外では「Hand(ファイヤー&アイス・ハンド)」「Artifact(アーティファクト)」「Traptrix(蟲惑魔)」という3つのテーマからカードを出張させ混合構築したメタデッキが開発され、「HAT」と呼ばれ活躍していた時期もある。
なお、このHATを始め、初期のデッキでは蟲惑魔要素が「トリオンの蟲惑魔+奈落の落とし穴」という出張パーツしかなかったため「蟲惑魔("T"raptrix)ではなくトリオン("T"orion)のTではないか」と揶揄されることも多かったが、後年には強力なシナジーを発揮する「ティオの蟲惑魔」も共に投入されるパターンも増えていた。
(そしてそもそもトリオンの英名(Myrmeleo)にTの要素は全くない)
「セラの蟲惑魔」の登場
リンクモンスターの「セラの蟲惑魔」が登場すると蟲惑魔デッキは大きなブレイクスルーを迎えることとなる。
リンク1で容易に展開でき、自分はおろか相手のあらゆる通常罠をも展開の起点にするセラによりテーマの展開能力が大きく改善、さらにデッキから任意の落とし穴をセットするためデッキ全体の回転率や対応力も大幅に向上したのである。
そしてセラによる蟲惑魔の展開は同種を並べることができない為、そのスペックをフルに発揮するには自然と採用する蟲惑魔の数を増やす必要があり、カテゴリの純構築として纏める明確なメリットも生まれた。
また、如何にモンスターの能力が向上しようと半ば型落ちの「奈落の落とし穴」が尚も採用圏内な程に「落とし穴」側が貧弱だったという課題も、そちら側の急速な成長によってほぼ解決。
結果、蟲惑魔というデッキは「自他の罠を起点に相手のリソースを食い荒らし、並んだ蟲惑魔や罠でトドメを刺す」という、待ち・受けの設定からは程遠い攻撃的でアグレッシブなデッキとして成立した。
「ストラクチャーデッキ-蟲惑魔の森-」の発売
2022年にて「ストラクチャーデッキ-蟲惑魔の森-」の発売で更なるパワーアップを果たす。
それまでの蟲惑魔は先攻1ターン目の展開力に乏しく存分な妨害が構えられない場合が多々あったり、またハーピィの羽根帚のような魔法罠全体除去魔法や落とし穴に落とすより先に展開されてしまったモンスターに対しては為す術がなかった。更に、先攻1ターン目の制圧こそ出来るものの火力不足で返しのターンに仕留めきれなかったりもしたが、この強化でその弱点がある程度克服された。
モンスターの先出しには除去効果がある「プティカの蟲惑魔」、相手ターン中の特殊召喚が出来てセットされた罠を守れる「キノの蟲惑魔」、蟲惑魔をサーチして伸ばすことが出来る「シトリスの蟲惑魔」、返しのターンで安定してキルを取れる程の火力を出せる「アティプスの蟲惑魔」、それまでの悩みだった召喚権不足を解消する「蟲惑の園」と、正に痒かった所全部に手が届くような絶妙な強化を貰った。
中でも最も大きな強化になったのは「ホールティアの蟲惑魔」の追加だろう。
手札コストこそ必要なものの、なんと後述の幻影騎士団シェード・ブリガンダインと同じ先攻1ターン目に発動できる通常罠の罠モンスター。しかもちゃっかり「"ホール"ティア」とホールを名前に含むため、トリオンの蟲惑魔やセラの蟲惑魔のサーチに対応している。
このカードの登場により、セラの蟲惑魔の効果から展開するルートが大幅に安定。デッキとしての安定感がとてつもなく上がった。セラの効果で呼んでくる蟲惑魔をティオの蟲惑魔にすれば、手札コストすら帳消しに出来たりする。おまけと言わんばかりに墓地効果で蟲惑魔の蘇生も行ってくれるため、エクシーズやリンクの素材として使っても無駄がない。
的確な強化がされた人気テーマに加えて増殖するGの再録と需要が高く、当時は再販まで入手が難しいストラクチャーデッキとなっていた。
そういった人気も相まってか、後に同一の内容で全てがウルトラレアorシークレットレア+25周年ロゴ付きの-決闘者伝説 QUARTER CENTURY EDITION-がイベント会場限定で販売された。
相性のいいカード、カテゴリ
「汎用性の高い”落とし穴”サポートカテゴリである」ことと「地属性の植物族or昆虫族である」ことの二点から、純以外でも様々な構築が取れる。
また、搦め手を得意とするカテゴリであるため、メタデッキ系統とも相性がいい。
「セラ」を絡めることで初手から複数モンスターを展開する際に有用なカード。
前者はリンク1の「セラ」をトリガーに場に出せ、同名を呼びつつランク4の素材になれるサイバース族。
後者は即座に使用できるレベル4罠モンスターであり、セラの効果と共にレベル4モンスターが2体並ぶ。
共にセラからの展開の強さを支えるカードであり、時にはリンク3以上の大型へ繋ぐことも可能。
各種種族サポート
種族の関係上サポートは多く、また両方を同時にサポートするカードもある。
特に全員を蘇生できる「ギガプラント」とは相性がよく、よく抱き合わせで組まれている。
特殊召喚能力を持ち植物族でもある「ヴェルズ・マンドラゴ」、自在な離脱能力により落とし穴を絡めたチェーン戦術も可能な「ヴェルズ・サンダーバード」、特殊召喚制限能力により、落とし穴とともに圧力をかけられる「ヴェルズ・オピオン」などを擁し、またカテゴリ自体の地力も高い。
主なモンスター及びサポートが植物族と昆虫族に集中している上、カテゴリ自体もロック主体であり蟲惑魔と傾向が合致している。特に永続罠「ナチュルの神星樹」は強力な展開カードとして候補に挙げられる。
手札から魔法・罠扱いで伏せることができ、破壊されることで特殊召喚できるカテゴリ。蟲惑魔の性質上魔法・罠の除去を狙われやすく、そこに絡めることで相手にその破壊をためらわせることができる。
破壊効果でカウンターする「アーティファクト・モラルタ」とエクストラからの展開を封じる「アーティファクト・デスサイス」が特に人気。
また、「No.61ヴォルカザウルス」等優秀なモンスターを擁するランク5にタッチできるようにもなる。
前述の「HAT」はこれらの発想を推し進めたデッキである。
韓国版「遊戯王TCG」で生れ、2016年夏に来日したレベル2罠モンスターテーマ。
罠に反応して墓地から出てくる性質上落とし穴を多用する蟲惑魔とは好相性で、ドローや多彩な戦闘補助・除去を行う効果が多い為デッキ全体を罠だけである程度完結させやすい。
また、強力なアタッカーである「バージェストマ・アノマロカリス」や「餅カエル」、その他粒揃いのランク2モンスター達を合わせて採用できる。
ただし、蟲惑魔側はバージェストマとの相性が良いものの、バージェストマ側は蟲惑魔との相性が良くないので採用バランスには注意。
闇属性・地属性チューナー
すでに出てしまった大型モンスターに対処できる大型シンクロを採用できる。
種族サポートをある程度共有できる「インフェルニティ・ビートル」、自己蘇生能力を持ち再利用しやすい「ゾンビキャリア」等の闇属性チューナーならフィニッシャーにもなり得る「地底のアラクネー」等が、先述のナチュルを始めとする地属性チューナーなら「ナチュル・ビースト」などのロックモンスター等を投入できるようになる。
ただし、基本的に蟲惑魔との直接のシナジーはないため事故要因になる可能性もあることには注意。
モンスター2体を破壊することで特殊召喚でき、それが指定の属性2体なら追加で効果を発動できる「真竜皇」の地属性担当。
その効果は「相手のエクストラデッキのピーピング除外」という強力無比な物であり、蟲惑魔が最も苦手とする「打点と耐性を併せ持つフィニッシャー」を出現前に始末できる。
先攻初手での発動は、決してリソースそのものが多いとは言えないこのテーマに置いてはかなりリスクが高いが、相手のデッキタイプを確認しつつ場合によってはそのプランを砕くこともでき相応のリターンが望めるだろう。
チェーン系
チェーンを重ねていくことで効果を発揮するカード群。「積み上げる幸福」や「連鎖爆薬」が該当する。
落とし穴が原則フリーチェーンであり、「サンダーバード」や「ゼンマイラビット」等のカードとも蟲惑魔が相性が良いことから、戦術の一つとして考慮できる。
大抵のデッキに刺さる強力なメタカードの組み合わせ。単純にロック性能が向上する。
ただし、マクロコスモス等を採用するいわゆる「次元型」にする場合、優秀なエンジンであるティオが投入できなくなり、虚無空間等で直接特殊召喚を封じるとトリオンやティオの特殊召喚時効果が使えなくなる。
また、デッキ全体の魔法・罠への依存度が上がるため、比例してそれらへの対策・除去カードに異常に弱くなってしまうことにも注意。
手札から見せることでセットカードを効果破壊から守ってくれる上、セットされた魔法カードが発動すると手札から特殊召喚できる。
罠主体の戦術と噛み合っており、ぽんと手札から出てくる攻撃力3000というのも蟲惑魔に足りない打点を補ってくれる。
墓地の昆虫族、植物族を除外して召喚する最上級モンスター。墓地からも出せるのでコストを確保し、除外さえされなければ何度でもフィールドに帰ってくる。
このカードがフィールドに存在する限り、自分の魔法・罠カードの発動に対して相手はモンスター効果をチェーンできなくする効果を持つ点も好相性。
通常罠を主体に戦うという共通点があり、相性が良い。特に迷宮城の白銀姫は全ての効果を活かせるのでよく出張している。
強力なテーマなのだが、強力故に採用しすぎるとデッキが乗っ取られかねないのでその点は注意したい。
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