ブラックカラー
ぶらっくからー
講談社の雑誌『モーニング』2024年25号(同年5月23日発売)から連載が開始された漫画作品。話数の単位は「AGENDA」。単行本は既刊1巻(2024年10月現在)。
なお、福田の体調面などの理由から、連載形態は短期集中連載を間を空けて行うブロック連載となり、2024年11月現在では第1巻所収分となるAGENDA 6までが掲載されている(同年12月に連載を再開しAGENDA 7以降が掲載)。
正義の戦隊が活躍する社会で、うだつの上がらない人材コンサルタントが悪の組織に拉致されたことを契機に、その悪の組織のブラック企業的体質を改革すべく乗り出してゆく物語である。
あらすじ
さえない人材コンサルタントのスガワラがある日酔って帰宅しようとタクシーに乗ったところ、タクシーにあらぬ場所へ連れて行かれた。そこは悪の組織「ブラックショック団」の基地であり、幹部のファク大佐曰く、たまたま聴いていた彼の講演内容に感銘し、正義の戦隊ヒーロー「人類防衛戦隊イノベイションレンジャー」が出現してから業績が低迷していることから組織改革を依頼しようとしてのことであった。
ところが、それを聞いたブラックショック団総帥は、その必要はないとファクに制裁を加えたので、それを見かねたスガワラは怒りのあまり総帥に啖呵を切り、世界征服できる組織への改革を宣言した。
こうして、スガワラによる悪の組織の業務改革が始まった。
過変態症(エビル・シンドローム)
作中世界での20世紀初頭に発見された、原因も発病の機序も不明の疾患。身体に角や鱗や触角などのヒト以外の動物に見られる外見的特徴が発現するとともに身体能力が強化され、個体によっては超能力(「ギフト」と称される)を得るものも出現する。これゆえ当初は超人としてもてはやされたが、次に述べる柳島事件以降は一転して患者は「エビル」と呼ばれ、「怪人」として差別と迫害の対象となった。
柳島事件(やなじまじけん)
一人の過変態症患者が起こした超能力による大量殺戮事件。前記の通り、これがきっかけで患者は被差別階級となり、差別と貧困のスパイラルから犯罪に手を染める者が続出した。
スガワラ
主人公。自宅兼事務所で人材コンサルタント「スガワラ人材研究所」を自営している。作中、長男・涼太と長女の一男一女の子を儲けた妻・すずと離婚していること(養育費をすずに渡す場面あり)や、涼太がすずの元で育っていること(すずから涼太が描いた絵を渡される場面あり)、また長女が事故死していることが示唆されている。
タクシーに乗って帰宅しようとしたところ、タクシードライバーが実はブラックショック団の戦闘員で、基地に拉致されたことから改革の物語が始まる。
ブラックショック団
"MAKE EVILS GREAT AGAIN"という、どこかで聞いたようなスローガンを掲げている悪の組織だが、体質はどちらかというと日本企業であり、またスガワラは総帥に啖呵を切る際に「大日本帝国さながら」と言っている。上記の柳島事件の後の怪人の劣悪な状況から結社された。
ファク大佐(ファクたいさ)
ブラックショック団の人事部門を掌握する幹部。
人類防衛戦隊イノベイションレンジャー
「イノベーションレンジャー」ではない。"VISIONARY RED"、"TEC BLUE"、"COMPLIANCE YELLOW"、"SUSTAINABLE GREEN"、"INFLUENCE PINK"の5人からなる戦隊。各メンバーのネームは戦隊名の"INNOVATION"ともども今日日(概ね2010年代以降)の日本の大企業が掲げがちな標語が使用されている。
戦隊マスクのデザインは口から下が露出したものとなっている(メイン画像参照)。
ブラックショック団の台頭から市民を守るという大義名分の元に発足し、短期間で急成長した。自警の他、その自警行為の動画配信収入やスポンサー収入が資金源となっている。
研究開発担当の酒水(さけみず)博士はどこかで見たようなマッドサイエンティストのような風貌である。
戦隊タブー:同時期にモーニング系列のWeb配信サイトコミックDAYSで連載配信が開始された、一風変わった戦隊もの。
戦隊大失格:版元を同じくする一風変わった戦隊もの。これも登場する戦隊の戦隊マスクは口が露出したものとなっている(一人を除く)。
AGENDA1 これからの「悪」の話をしよう:第1話(コミックDAYS)
イーロン・マスクら経営者の“熱狂”は世界を滅ぼすかもしれない…テスラやアップルと「ブラック企業」の共通点:現代ビジネス(『週刊現代』のWebサイト)に掲載された、モーニング編集部による本作紹介記事。