概要
プゴット(Pugot)とは、フィリピン北部にあるルソン島イロコス地方やパンパンガ地方に伝わる黒い首無し巨人で、名前の意味はそのまま「斬首されたもの」である。
普段は暗がりや空き家におり、現地に生えるデュハット、サントル、タマリンドなどの熱帯性樹木に住むことを好むとされる。
アスワングのように、豚や犬、人の姿に自由自在に変身することができ、首の切り口に当たる部分に木の枝で見つけた蛇や虫を突き刺すことで滋養を得て、とても素早く走ることができるという。
その怖ろしい姿に反し、基本的に人には危害を加えることはほとんどないとされるが、物干しから女性の下着を盗むという悪癖がある。
しかし、プゴット・マム(Pugot Mamu)と呼ばれる者は、親のいうことを聞かずに夜遅くまで遊んでいる子供を襲って食べてしまうブギーマンとして知られている。
なお伝承されている地域では、かつては首狩りの習慣を持つ少数民族がいたといわれており、スペインの植民地時代には多くの宣教師が犠牲となったために、怪談として伝わる自身の頭を探して歩き回る首無し僧侶の亡霊ヘッドレス・プリーストもプゴットの一種とされる。
ちなみにヘッドレス・プリーストは、現代では太平洋戦争時のアメリカ軍のプロパガンダによるものか、残虐な日本兵によって斬首された牧師という都市伝説に変化している。