ミゼルヒビィ・ヒュドラ・ネビュリス9世
みぜるひびぃひゅどらねびゅりすきゅうせい
「私はミゼルヒビィ・ヒュドラ・ネビュリス9世――さあ、この世でもっとも気高い力を見せてあげる」
彫りの深い目鼻立ちに、目が覚めるような青さの瑠璃色の髪をした長身のスレンダーな少女。
ネビュリス皇庁の三王家の一つヒュドラ家の次期女王候補の王女。ヒュドラ当主タリスマンの姪。
『光輝』という特殊な星霊を宿し。本来は、タリスマンと同じ金髪が、星霊の発現と同時に青く染まった経緯を持つ。
ヒュドラ学術院、先端星霊工学研究所――通称『雪と太陽(スノウ・ザ・サン)』で第907部隊を迎え撃つ。
愛称は「ミズィ」
皇庁の姫君に相応しい気品と優雅な仕草まで計算尽された淑女で非情に聡明だが、百戦錬磨の老獪さを誇る叔父に比べると沸点は非常に低く、激昂すると星霊光を放出した挙句髪がメドゥーサのように逆立って、口調も些か乱暴になる。
また、太陽という家のシンボル故かルゥ家とゾア家を太陽がなければ輝けない星と月と見下している様子もある。
自分の能力にも非常に自信があり、イスカと戦った際にはいくら攻めても倒れないイスカに頭に血が上っており、上述の弱点もあって逃げられてしまった。
仮面卿の提案した始祖復活によるデメリットを的確に見抜いて指摘するなど上記にもあるように非常に聡明。タリスマンをして今すぐ女王になっても何ら差しつかえない度量と絶賛されている。
保有する『光輝の星霊』は他人の星霊に力を与える代わりに己の軍勢たる『暁の軍勢』として操る力を持ち、ある程度の洗脳が可能。軍勢となる星霊使いの背に触れることで力を与え、通常の星霊使いを純血種クラスにまで力を引き上げ、これにより純血種十数人に相当する戦力を作り上げ『歩く星脈噴出泉《ボルテックス》』の二つ名で畏怖されている。
その真価は一人の純血種が五つの星霊術を放つより、五人の純血種が一つづつ術を撃つ方がはるかに早いという利点であり、交戦したイスカからも彼女単体の脅威度がせいぜい「要警戒」ながら暁の軍勢が加わった場合は、ネビュリス皇庁の中でも最強ならぬ最大戦力の一角に挙げられると高評価されている。
また、この力を己自身に使い戦闘を星霊に委ねることで強大な肉体能力を得る「光輝『太陽神の導き』(せいれいよ、わたしをいざなえ)」を持ち、その際には瑠璃色の髪が全身から立ち上る星霊エネルギーに吹き上げられ、蛇のようにゆらゆらと蠢く。
星紋は額にあり、濃紫色の歪んだ放射形をしており、星紋の色や上記の星霊の特殊性から鑑みて星の第二世代型に属す星霊と思われる。
これより先は重要なネタバレがあるので閲覧注意。
「あの魔人(サリンジャー)が求めているのはコレでしょう?」
『グレゴリオ秘文』
彼女が身に着けている、太陽を象った装飾品のイアリング。その正体はヒュドラの研究記録――『人工的な人と星霊の統合』の断片を納めたメモリチップである。
当初イスカらが『雪と太陽(スノウ・ザ・サン)を襲撃したのは、今襲撃に来たサリンジャーの手先としてこれを探し求めてのことだと判断し懐柔を試みるが、それはまったくの見当違いであり、余計なことを喋ったと懐柔から抹殺に切り替えるも、戦闘の最中にイアリングを奪われる失態を演じ、追撃するも今度はサリンジャーと会敵し、彼からは『グレゴリオ秘文』の原典を要求され戦闘するが逃げられた挙句に嫌がらせとして捕えていたルゥの従者シュヴァルツを逃がされる。
その後、星の災厄を求めてヒュドラの星霊部隊と共に星脈噴出泉へ向かうが、イリーティアと遭遇。自身の能力で部下を強化するが、基礎能力の差が大きすぎて全く効果がなかった。
幸いにも、彼女とタリスマンの星霊はイリーティアの歌に耐性があるのだが、それが却ってイリーティアの嗜虐性を刺激、完全に恐怖で戦意を失い、タリスマンが災厄の原液を注入したことで難を逃れるが、イリーティアの反撃でタリスマンも原液を押し付けられて魔人化してしまい、ヴィソワーズと共に何とか抑え込む。
撤退後、イリーティアへの復讐のために帝国の星霊研究所オーメンを襲撃して災厄の原液を手に入れて、魔女化を目論む。しかし、災厄打倒のために帝国との共闘を決意したアリスとキッシングが現れ、奇しくも三王家の決着をつけることになる。
が、部下全員に能力を分け与えたことが仇になり、消耗戦に徹したアリスとキッシングを相手に燃料切れを起こして敗北、そのまま逮捕されるが今度は魔人化したタリスマンが暴走、イスカも加わった激戦でタリスマンに涙ながらに訴え、アリスとキッシングを自分の星霊術で強化、タリスマンの暴走鎮圧に貢献し、タリスマンとヴィソワーズの治療を条件に、復讐もかねて帝国との協力に同意する。
彼女の同意をもって、イリーティア以外の次期女王候補全員が災厄打倒のために、帝国との共闘を決意したことになる。