胡桃ちのの4コマ漫画。芳文社の4コマ漫画雑誌『まんがタイムスペシャル』に2000年8月から連載された。同誌現連載陣の中では最古参となる作品となり、それは『まんがタイムスペシャル』が休刊となった2019年12月まで続いた。
『まんがタイムスペシャル』休刊後(2020年1月 以降)は姉妹雑誌である『まんがタイムオリジナル』に移籍しており、引き続き連載回数を重ねている。
スペシャル時代を含めた上で『まんがタイム』関連雑誌全体を見ても、2020年8月で連載年数20年を超えた、まれに見る長期休載ナシによる超長期(長寿)連載作品である。
この連載期間記録は『まんがタイム』系列雑誌においては植田まさしの『おとぼけ課長シリーズ』(1981年開始。シリーズ総連載期間約39年)、ひらのあゆの『ラディカル・ホスピタル』(1998年開始。連載期間約21年)に次ぐ大記録であり、連載作品の入れ替えスパンが緩い四コマ漫画雑誌であってすら、達するには困難な記録である。(前述の『おとぼけ課長シリーズ』でも2017年にリニューアルしており、現在は『おとぼけ部長代理』としてシリーズを継続している)
作者である胡桃にとっても十分な実績を持つ代表作といえる作品。(胡桃は速筆多産の作家であるため代表作といえる作品は多く、活躍期間も長い。4コマ界においては本作以外の胡桃の代表作を答えることで世代がバレてしまうレベルの大御所作家でもある)
ちなみに作者・胡桃は、以前この長期連載について「芳文社から何も言われてないから続けられている。芳文社が『もうやめてくれ』と言うまでは続けてみせる」とコメントしている。
(胡桃ちのは「ネタの使い回し」に定評のある作家のため、ネタストックは事実上の無尽蔵である)
が、2024年に出された単行本15巻において、ついに「次巻(16巻)完結宣言」が出された。結局、前述した現在も長期発表記録を更新し続けている各作に追い付くことは無かった。ちなみに芳文社から「もうやめてくれ」と言われたかどうかは不明である。
ちなみに本作メンバーの男女比(男性4人・女性1人)はONE_PIECEが元ネタであるとのこと。
また「7to7」とは舞台になる深夜営業のレストランの営業時間で「夜7時開店・朝7時閉店」が由来。その元ネタはアメリカのコメディ映画である『9時から5時まで』(9to5)より来ている。なお、この営業時間設定、思いっきり労働基準法違反(やるならメンバーを増員してシフト制にしなくてはいけない)であり第1巻のカバー裏表紙おまけマンガにてガッツリとネタにしている。
2020年以降、芳文社は作品に対してコンプライアンス(遵法意識)の強化を積極的に打ち出している側面があり、その意味で、この設定は予てより本作の存続に対して危ぶまれていた(背景設定の根幹かつ作題でもあるため、ここを否定されては打ち切るしかなくなる)ので、この部分が完結宣言に傾いた可能性は示唆されている。
そのため新幹線車窓の看板広告でお馴染みな大阪のコスメメーカー「727」(セブントゥーセブン / セブンツーセブン)は全く関係がない。また、元ネタと紛らわしいドラマ化もされた漫画作品(相原実貴『5時から9時まで』小学館「Cheese!」連載)があるが、それとも当然関係はない。(ネタ元が同じである可能性はあるが)
あらすじ
大阪はキタのオフィス街の一角にある公園。その中にあるビルの地下に晩の7時から朝の7時まで店を開く「ミッドナイトレストラン」が存在する。
店を切り盛りするのは、元ホストのオーナーの下で自らの腕を振るう、その腕(と腕とは関係ない何らかの欠点)ゆえに世間から弾き出された最高のスペシャリストたち。
そんな愉快な仲間たちが集うレストランで、もしくは彼らの行く場所で、今日もさまざまな騒動が繰り広げられる。
登場人物
- 天四郎(てんしろー)
- 7to7店長。元ホストのプレイボーイ。(料理以外は)最強の俺様イケメン。実家は北の方の山の中でアウトドアはマイフィールド。ジビエなどを食べると里心がついて、ついうっかり方言が出る。
- 織作(おりさく)
- 羽音(はのん)
- 7to7バーテンダー。癒し系童顔……と思いきや族総長の過去を持つ7to7の裏番長。童顔の仮面が剥がれると恐ろしいことになる7to7最強の腕っ節を持つ男。16歳の時にレディースの先輩とヤッてヤンパパとなるも、18で件の先輩であるところの妻と死に別れ、子供を育てるためにバーテンダーになったという若くして濃い人生を送ってしまった知恵袋。さらに現在は再婚して妻の連れ子も家族となったため二児のパパとなっている。なお自分の店を持てるほどの腕を持ってはいるものの7to7にいる理由は「若いころに界隈でイロイロやらかして」いて、自分が顔となって店を出すと過去の敵(族のみならず、族あがりのその筋)から攻撃される可能性があるから。
- 咲耶(さくや)
- 本名は此乃花咲耶(このはな さくや)。7to7の料理長(といっても厨房には実質彼一人しかいない)実は19歳の未成年……なのだが「料理の味見」「素材の確認」の名目で飲酒も平気でやらかす。(連載初期は喫煙もしていたが、これはさすがに早いうちから鳴りを潜めている)天四郎と気が合うプレイボーイだがツメが甘いため、いつも女難に出くわす。そして懲りない。出会う女性は「個性的な」タイプが多く、通称「レアものに出会う男」と呼ばれることも。
- 長らく…本当に長らく(連載20年間の間)未成年であったが、13巻(2021年8月刊行。掲載としては2020年5月号ごろ)で、ついに20歳となった。(メタ的な事を言えば連載元である芳文社のコンプライアンス強化が主な原因らしく、オリさんが作者の代弁者として「時流に負けた」と忸怩たる思いを溢している)
- 雅美(まさみ)
- 本名は遠矢雅美(とおや まさみ)。通称はマサ。7to7のパティシエ。国際的一流ホテルの総パティシエ長すら勤めた日本最強のパティシエ。しかし三白眼かつ頬に傷、低い声と、その風体はどう見てもヤクザ。ホテルを追いやられたのも、腕を嫉妬していた一派から外見を攻撃材料にされたため。しかして頬につく深い傷はハンドミキサーの暴走によるものであり、いわば職人としての名誉の負傷ともいえ、誇りでもある。その外見には似合わぬ少女趣味&甘党。暴走癖を持ち時折、周囲を混乱に陥れる。生まれは大阪だが、両親の都合により小学生時に転校し、実家は金沢にある。
- 和美(ワビ/かずみ)
- マサの幼馴染で本業は一流デパートに所属するトップバイヤー。交渉成功率100%のスーパーキャリアウーマン。愛称は本名を音読みにしたワビだが、本来はかずみと読む。マサと同じく金沢出身。小学生時代のマサのクラスメート。出会って間もないころに風邪をひき学校を休んだ際、連絡のために見舞いに来てくれたマサによってフレンチ・トーストを作ってもらい、それ以降マサに惚れ込み続けた一途な女性。マサの顔を怖がらない、ほぼ唯一の女性である。単行本10巻でついにマサとゴールイン。
pixivコミック
pixivコミックにて不定期掲載されている。