概要
ミュータント・ビーストウォーズとは、ビーストウォーズのサブグループの一つである。
玩具は全部で四種類が発売された。
ロボットモードを持たず、二種類のビーストモードを持つ事が特徴。また、メンバーは『ミュータンツ』と呼称。サイバトロン(マクシマル)、およびデストロン(プレダコン)の両陣営とも距離を取っている、中立の陣営である。
元となった玩具はトランスフォーマーとは関係のない、ハズブロ社の「アニモーフ」の玩具。
しかし、実際に発売されたものではなく、企画・製造段階でキャンセルされた製品を改修し、ビーストウォーズのシリーズへと転用したものである。
「アニモーフ」は、変身能力を有する、異形の宇宙人「アンダライト」から、変身能力を授かった地球人の少年少女が活躍するドラマで、劇中でもメンバーが人間から動物に、または宇宙人がモンスターに変身する。ハズブロからトランスフォーマーよろしく、人間から動物に変身する玩具も発売されている。
元々は、ミュータント・ビーストもこのアニモーフのシリーズとして出す予定であり、アンダライトの能力で、二種類の動物に変身できる人間、という玩具だった(下記余談、および当該項目も参照)。
テックスペック上では、ビーストウォーズの最中に出現したように描かれているが、はっきりとは明言されていない。パッケージは、トランスメタル2の頃のものが用いられている。
なお、アニモーフともども、本シリーズは日本では未発売。別の製品に転用などもされていない。
設定
ビーストウォーズにおいて、メガトロンは反変形ウイルスを作成し、それを戦いに用いようと企んだ。このウイルスは、感染したトランスフォーマーの変形機能を封じ、永久的なシャットダウンをもたらすのだ。
しかし、予定と異なり、ウイルスは数名のフューザー戦士に感染。その体内で変異し、宿主の変形機構を組み替えてしまった。結果、彼らのロボットモードは、二つのビーストモードに封じられる事に。
彼らミュータンツは、ともに集い、反逆の集団を形成した。これが、ミュータント・ビーストウォーズである。
メンバー
四名のミュータンツは、ロボットモードを持たず、二種類のビーストモードを有する。
しかしその代わりに、ボディの一部が展開し、内蔵されたインナーヘッドが露出するギミックを有している。
これは「ロボットヘッド」と呼ばれ、かつてのロボットモード時の頭部であり、トランスフォーマーだった頃の痕跡、とされている。
本来はアニモーフ時の、人間、またはアンダライトが変身している事を示す、正体暴露ギミックだった。
戦士・レイザークロウ
「大いなる破滅は、大いなる運命をも従える!」
ヴェロキラプトル/クズリ(ウルヴァリン)に変形。忠誠心と自己犠牲の精神を有する有能な戦士。マクシマルには好感を抱いていないが、全ての有機体にとって彼らの戦いが必要だという事は理解している。ロボットモードに変形できるマクシマルに嫉妬をしている。
クズリのスピードは瞬間移動とほぼ同じくらいの速度で、クズリ時の前足、ラプトル時の後足の鉤爪で敵を切り裂く。
ロボットヘッドはラプトルモードの、ラプトルの頭部内に内蔵されており、後頭部を展開する事で露出させる事が可能。
特殊任務・ポイズンバイト
「強靭なスパークは、逃げることなく幾多の災厄にも耐えるべきである」
サソリ/オニカマスに変形。司令官のアイスバードに忠誠を誓っている。ミュータントのこの身を好んではおらず、セイバートロン星のオラクルから見捨てられたと思っている。マクシマルに戦いを挑まないが、つとめて助けようとも思っていない。カマスモードでは水中を自在に泳ぎ、その牙で攻撃。サソリモードでは合金をも切れる両手のハサミと毒針の尾で攻撃する。また、両モードでも30mほどの瞬間移動が可能。
ロボットヘッドはサソリモードの尻尾の先端に内蔵。サソリの毒針部を展開させ、顔を露出させる事が可能。
戦士・サウンドウェーブ
「空から海に至るまで、奴らは俺に畏れと敬意を抱くだろう」
コウモリ/アリゲーターに変形。仲間にとって歓迎すべき存在だが、暗く陰鬱な性格で、大げさでやや芝居がかった発言をする。コウモリモードで空中哨戒任務に就き、内蔵したレーダーで障害物を感知する。アリゲーターモードでは合金をかみ切る顎と、強力な尻尾を武器にする。尾の一撃は、敵の回路を狂わせるほどの地震を起こす衝撃波を発生させる。シリーズの最後に発売された製品。なお、デストロンのサウンドウェーブとは、同名なだけで全く関係のない別人。
ロボットヘッドはコウモリモードの口の中に内蔵。口部分を開き、口の中からロボットモードの顔をのぞかせる(上記画像参照)。
ミュータントビースト司令官・アイスバード
「怪物と闘う者は、自らも怪物と化さぬよう心せねばならない」
フクロウ/シロクマに変形。ミュータント・ビーストたちにとって賢者であり頼れるリーダー。賢く、指導力も優れている。機械技術を完全に破棄し、純粋な有機体へと進化する事が己の使命だと信じている。マクシマルとは戦わず、彼らはむしろ有機体にとって必要な存在ととらえている。ビーストコンボイに対しても、寛大さをもって見守っている。フクロウモードでは無音飛行能力を、シロクマモードではその巨体と腕力を武器とする。テレパシー、透明化、読心術、機械を自在にシャットダウンする能力などの超能力を有しており、メガトロンには恐れられている。
ロボットヘッドはシロクマモードのボディ内に内蔵され、シロクマモードで直立させ、ロボットヘッドを展開させる事で疑似的なロボットモードにさせる事が可能(あくまでも、それっぽい姿に見立てるだけだが)。
余談
原作となった「アニモーフ(Animorphs)」は、K.A.アップルゲイト原作の児童文学。海外では1996年より刊行され全54巻+外伝数冊にも及ぶ長期シリーズとなった。
日本では、2004年に最初の5巻までが翻訳されている。
後に実写ドラマ化もされた。
ストーリーは「ジェイク」「レイチェル」「トバイアス」「キャシー」「マルコ」の5人の少年少女が、異形の宇宙人「アンダライト」と遭遇。
瀕死のアンダライトより悪の宇宙人「イェルク」の地球侵攻を知らされ、それを防ぐ為に動物(アニマル)に変身(モーフ)する能力を与えられた…というもの。
玩具はトランスフォーマー同様に、ハズブロから発売。主人公の少年少女たちが、原作同様に動物に変形するギミックを内蔵して発売された。
アンダライトは異形の存在であり、少年少女に変身能力を授けた「AX」、およびAXが敵であるイェルクに寄生された製品も発売されている。
ミュータントビーストは、本来はこのアニモーフのシリーズの製品だった。各メンバーのロボットヘッドはその名残であり、それぞれアンダライトや動物に変身する少年少女たちの顔がそこに露出する予定だった。
アニモーフの詳細に関しては、当該項目を参照。