「帝国は敵です」
「私たちを魔女・魔人と呼び、忌み嫌って迫害する者たちの巣窟。かつて帝国から受けた仕打ちは残忍な魔女狩りそのものでした。どれだけの数の星霊使いが犠牲になったことか。帝国を撃ち破って屈服させることが星霊使いの悲願です」
概要
星霊使い達の国・ネビュリス皇庁の現女王。金髪と紅眼の妙齢の女性。
人物像
女王として冷厳な女性で滅多に表情を変えず娘たちにも厳格な態度で接する。また歴代女王の中でも穏健とされ味方の犠牲を最小限に押さえながら国を保ってきた名君。
その一方でゾア家ほどではないが、彼女も帝国を自分たち星霊使いを不当に迫害してきた蛮人にして怨敵というスタンスは変わらず、帝国の打倒と屈服こそが星霊使いの悲願と公言して憚らず、娘のアリスやイスカのような和平の意思はまるでなく、始祖が覚醒した時も「帝国の打倒が見えてきた」といつになく凶悪な笑みを浮かべたほど(ただし、後にアリスからその詳細や中立都市での暴虐を聞いた時には再考し、後に仮面卿が再度の復活を提案した時には却下した。またそもそも全面戦争が皇庁側にとっても致命的な犠牲と損害を強いることを理解しているなど、そこまでの見境なしではない)。
それはアリスの帝国画家のフォトブック収集を忌々しく思い叱責し、文化人とはいえ帝国人である以上は敵だと即言するほど過剰で極端である(漫画版に至っては、燐に焼き払うよう命じるなど自身が非難する魔女狩りそのものな焚書も辞さない)。
一方で母として娘たちを気に掛ける面もあり、特にアリスがイスカの正体を伏せたうえで偽の彼氏として報告した際には娘に彼氏ができたことを喜び、大々的に宣伝しようとしてアリスを絶叫させるほどの親バカぶりを見せ、シスベルが密かにR18指定の恋愛小説を読んでいた時には目を剥いて赫怒し説教している。
ただし、イリーティアに関しては立派な淑女と認めながらも星霊使いとしては女王にそぐわないと切り捨てている上、アルサミラの一件でシスベルの外征先を漏らした嫌疑がかかった時も偽物かと疑い、本物のイリーティアならそんなことはしないと断じるなど、その心情と本質を慮っているとはお世辞にも言えない。
さらにはアリスの母だけあって残念に過ぎる面もあり、ある事が切っ掛けで少年の裸の魅力を力説するという性癖を暴露している。
次期女王には星霊使いとしての戦闘力や自衛能力を持つ者が次女のアリスだけなため、彼女と固く決めており、イリーティアとシスベルには立派な補佐官として支えて欲しいと思っている。
だが、彼女も良くも悪くも星霊至上主義という思想が根っこにある人物故かイリーティアを始めとした弱い星霊使いの心情を本質的に汲めず、事実星霊が弱いという一点でまともな職に就けず、寒い中暖を取ることさえままならない彼らに対し何ら福利厚生がまるで働いていないなど治世の名君とは言い難い側面もある。後に結果として皇庁そのものに惨事をもたらすこととなってしまう。
女王として怪しい行動を取るイリーティアを疑っていたが、巧妙な演技と自作自演に結局謀られている。
能力
既にアリスには及ばずとも彼女自身も女王に上り詰めたとあって超一流の星霊使いである。『風』の亜種である『大気の星霊』を宿しており、風を操るのではなく、より大規模な空気そのものを操作するなど事実上「風」の星霊の上位互換に相当する星霊で普段はその強大に過ぎる力を厚地の上着部分で抑えている。
それにより爆風を押し戻し、触れた者を台風級の渦に引きずり込む爆弾低気圧(ボムサイクロン)や爆撃機も真っ二つにする大気の大鎌、さらにはそこにあるものすべてを捻じりあげ殲滅する攻城星霊術である何百の烈風の層による無秩序な風がもたらす幾何学模様の結界——衝撃『風神風曼荼羅』をはじめとした多彩かつ強力な星霊術を持つ。
さらに若い頃は上記の強力な星霊術も然ることながら、暗殺術や格闘術といって身体的戦闘力にも優れる過去最強の女王候補と目される星霊使いであり、『静寂の風』のミラの二つ名で恐れられた。当時の彼女は無表情かつ無感情に敵を屠り、グロウリィからは「戦闘機械(オートマタ)」と評されるほど。
戦場に出たのはなんと十一歳という幼さである。以後十年、純血種のなかで最多の出撃数により帝国領土の実に三パーセントを奪うという破格の武功と武勇を誇った。
実はかつて大罪人のサリンジャーを一蹴してしまう実力の持ち主であった(それも腕力において彼に勝り、それらをはじめ星霊術が荒いだの、奇襲を仕掛けてその様かだの、とにかく冷たく辛辣なコメントを一方的に送っていた)。
しかし女王に就いた現在は全盛期に比べ幾分か衰えており、交戦したヨハイムからも指摘されている
関連タグ
イリーティア・ルゥ・ネビュリス9世 アリスリーゼ・ルゥ・ネビュリス9世 シスベル・ルゥ・ネビュリス9世 ???
王女時代ネタバレ
「……面白くない……この世界は面白くない……」
相手が欲しい
今から30年前の14歳の彼女は退屈を持て余す麒麟児にして野生児その一言に尽きる。
会議をサボって昼寝するのは当たり前。王女としての学問や教養もしっくりこないと断じ勝ち負けがはっきりしているものがよいと木登りや隠れんぼに興じ、そのために自分の部屋を改造し絨毯の下に自分だけが隠れられる溝を掘り5時間も隠れたり、木に登って体中を緑色のペンキを塗って迷彩するなど。
その自由奔放さと異端さには母のリリエルや世話役のシュヴァルツは愚か、当時の女王7世すら持て余した。そこには後の冷厳とした堂々たる女王としての片鱗は微塵もなくはっきり言って後の娘であり度々問題を起こすアリスやシスベルが可愛く思えるレベルである。
故に同じく後の長女であるイリ―ティアとは別の意味で「女王失格」の烙印を押されていた。
かと思えば星霊術を暇つぶしの遊びで習得しそれすら飽いたと言い切る天才児ぶりを発揮しその次に戦闘術を望むなどシュヴァルツからは人間性の欠如を危ぶまれたほどで帝国の音響兵器から救われた挙句に単騎で帝国部隊を蹂躙する様をグロウリィなどはその異質さに心底恐怖し次代の女王選抜の敗北を確信させた。
結果、前述の評価はたちまち逆転し「過去最強の女王候補」という不動の評価が与えられた。
だが、それだけのことさえ彼女はすぐに飽きてしまい上記の台詞を吐いてひたすらに退屈を倦んでいた。
そんな中で他者の星霊を強奪する大罪人の話を聞いた彼女は遂に格好の遊び相手と巡り合った。