概要
日が沈んだ。
DIOへの「陽の光」という強力な対抗手段がなくなってしまったジョースター一行。圧倒的に不利な状況であるため、ジョセフは一時撤退を選択しようと提案するが、ポルナレフは反対した。逃げることだけはだめだと、そして花京院もポルナレフに賛同する。
DIOを追うことを決意した一行は承太郎とポルナレフ、花京院とジョセフで二手に別れ、ハサミ討ちの形でDIOを追跡を開始した。すると、ジョセフ達の車の後ろにDIOが追ってくる。すかさず花京院はハイエロファントグリーンのエメラルドスプラッシュを放つ…が、DIOは指一本でやすやすと弾き飛ばし、殺害したウィルソン・フィリップス上院議員の死体を投げ飛ばしてジョセフ達の車を大破させた。
間一髪の所でジョセフ達は建物の屋上へと避難できた。だが、なぜか避難の途中に花京院はDIOの方に向き直る。何をしているのかと問うジョセフに花京院は言った。
「 思いつきました 」
「 DIOのスタンドの正体を暴く方法を… 」
花京院には秘策があった。その間、花京院は自分のスタンド、そして自分の過去を思い返した。
花京院は生まれつきスタンドを持っていた。それが周囲との断裂を生み、花京院を孤独にした。このスタンドが見える友達は一生現れない、スタンドが見えない者に自分の気持ちがわかるはずがない、そう思って今までの人生を過ごして来た。だが、花京院は素晴らしい仲間と出会い、この旅を過ごすことができた。
「 アヴドゥルとイギーのことを考えると背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。それは、目的が一致した初めての仲間だったからだ。 」
「 DIOを倒すという この旅!数十日の間だったが気持ちがかよい合っていた仲間だったからだ。 」
独白が終わった。覚悟が決まった。ハイエロファントグリーンの結界を半径20メートルに展開。そこに侵入してきたDIOに告げる。
「 くらえッ!DIOッ!半径20m エメラルド・スプラッシュをーッ! 」
DIOが結界に触れた瞬間、雨のようなエメラルドが宙を舞った。
「 「世界」!! 」
DIOの声と共にエメラルドが止まった。崩壊した瓦礫も、花京院の動きも、時計の針すらも止まった。世界の時が止められた。DIOの能力はまさに「世界を支配する」。静止した時の中でDIOは1人ゆうゆうと動き、結界を破り、花京院の腹にスタンドの腕を貫通させた。
時間が再び動き出した瞬間、花京院は衝撃で吹き飛ばされ、貯水タンクに激突した。死の淵に晒されたもうろうとした意識の中、花京院は1つの「奇妙な疑問」を抱いていた。
エメラルドスプラッシュを放った次の一瞬には、結界が切断され己の腹に穴が空いていた。一万分の一秒の差もなく同時にだ。
「 少しの時間差もなく…時間差 時間…時間 」
「 「時」 」
花京院は気がついた。DIOのスタンドの能力の正体を。それをジョセフになんとかして伝えなくてはいけない。
ジョセフにDIOの毒牙がかかるその直前、エメラルドによって時計塔が破壊された。DIOへの最後の攻撃?それにしてはあらぬ方向に打ち込まれている。DIOは断末魔…最期の雄叫びと解釈したが、ジョセフはこの破壊は何か意味のあることだと確信した。
「 メ…ッセージ……で…す… 」
「 これが…せい…いっぱい…です
ジョースター…さん 受け取って…ください…
伝わって……… ください…… 」
花京院典明
ー死亡ー