ウィルソン・フィリップス上院議員
うぃるそんふぃりっぷすじょういんぎいん
わしは…
ウィルソン・フィリップス上院議員だぞーーーーーーッ
『ジョジョの奇妙な冒険』第3部「スターダストクルセイダース」に登場したアメリカ合衆国の上院議員。原作では国籍の言及はなく、OVAにて設定された。
エジプト旅行中に送迎用の車に乗ろうとしたところ、ジョセフと花京院の乗った車を追跡しようとするDIOが、運転手の腕をへし折って押しのけながら、無理矢理に車に乗り込んできた。
「若いお方というものは血気がさかんすぎていかんことだのう」と鷹揚に笑っていられたのも最初だけ、DIOはいきなり彼の上の前歯をへし折って、運転するよう命令する。激怒した彼は、
「 高校・大学と成績は一番で卒業した 大学ではレスリング部のキャプテンをつとめ… 社会に出てからもみんなから慕われ 尊敬されたからこそ政治家になれた… ハワイに一〇〇〇坪の別荘も持っている… 25歳年下の美人モデルを妻にした… 税金だって他人の50倍は払っている! どんな敵だろうとわしはぶちのめしてきた… いずれ大統領にもなれる! わしは… ウィルソン・フィリップス上院議員だぞーーーーーーッ 」
と、内心で己の輝かしい経歴を誇りつつ、そんな自分にこのような暴挙は許さぬとばかりに「いいか聞けこの若造ッ!終身刑にしてやるッ!絶対に終身刑にしてやるからなーッ」と凄むが、DIOは続けざまに彼の鼻をねじり折って、再び運転を強要した。さすがの彼も恐怖を感じて逃げ出そうとするも、ザ・ワールドの能力で何度逃げても車の中に戻されてしまう。訳もわからぬままやむなくハンドルを握り、
「なんで中にィ!?なんでェ~~~!そ…そうだ!わしが上院議員だからだッ!上院議員にできないことはないからだッ!ワハハハハハハハーッ」
と、彼の心はパニックのあまり現実逃避を始めていた。
しかし時間は夕方のラッシュアワー。渋滞で車は進めなくなったと、彼はDIOに訴えるが……
上院議員「渋滞ですゥ~…夕ぐれの通勤時間帯はギシギシなんですゥ」
DIO「行け」
上院議員「い…行けといわれてもこれでは進めません…」
DIO「歩道が広いではないか…行け」
上院議員「ほ 歩道~?仕事帰りの人があふれていますよォォォ!」
DIO「関係ない 行け」
無慈悲な命令にも逆らえず、彼は歩道に突っ込んで数多のエジプト市民を轢殺させられる羽目になる。
そして、
上院議員「ワハハハハハハハハハハハハハハハーッ!こ…ここまでやったんです!わたしの命はッ!この上院議員のわたしの命だけは助けてくれますよねェェェェ~~ッ!」
DIO「だめだ」
上院議員「わはははははははははははーッ!!(そ…そうか!これは夢だッ!この上院議員のわしが死ぬわけがないッ!夢だ!夢だ!バンザイーッ!)」
完全に錯乱した彼は、狂ったように笑いながら運転を続け、最期はジョセフと花京院の乗った車を破壊する為の飛び道具として投げつけられ(飛び道具にされる前に殺された可能性もあるが不明)、その華やかな人生に幕を閉じた。
とにかく理不尽で、悲惨で、不幸で、最悪極まりない死に方から「ジョジョシリーズで一番可哀想な殺され方をしたキャラは誰?」という話題になると、真っ先に彼の名前が挙げられるほど。
長々と経歴を誇ったり、言い訳したり、命乞いする彼を対照的に淡々と短い台詞で全否定してゆくDIOとの対比も人気の一つだろう。
このように同情されてはいるものの、長いモノローグで語られた、いかにも成り上がり者らしい輝かしい経歴や、上院議員を全能の神かのごとく思っている自惚れっぷりもネタにされ、別のカルト的人気を持っていたりもする。
彼の名前の元ネタはアメリカで1990年に結成された、女性3人組のコーラスグループ『Wilson Phillips』。なお、ネーミングによるトラブル回避の為、海外ではフィリップス上院議員と呼称されている。
車に乗ってきたDIOに対し、当初「若いお方」「若僧」と連呼していたが実際にはDIOは100年以上も前の人物で彼よりも遥かに年上である。
とはいえ、それを彼が知るわけもなく、当然外見年齢だけを考えれば別に間違ってはいない。
TVアニメ版では直接的な描写はカットされたが、歩道に突っ込んだ次のシーンでは車のバンパーが血塗れになっている。OVA版では、車で人を轢殺した描写は直接描かれている事を始め、車はライトが破損しバンパーは外れかけ、窓ガラスには血が付着し、ボンネットマスコットには血が滴っていた。 本人はショックで精神崩壊しており、飛び道具にされた後の彼の死体は腹から臓器が丸見えになってしまっている有様で原作・TVアニメ版以上にエグイ状態になっている。
また、OVA版では運転手の腕をへし折って車に乗り込んできたDIOに対して「これでタクシーにでも乗りなさい」と札束を差し出したりするような心の広さまで見せていたりするので、内心で思っていることがどうあれ、ファンからは本当に大統領になれてもおかしくないと言われていた。
「週刊少年ジャンプ」本誌掲載時には車に乗り込んできたDIOに対して「な…なんだきさまはッ!」と最初から驚いていたが、単行本掲載時に表情や台詞が差し替えられ先述のような鷹揚な態度に変更されている。また前歯を折られて運転を命令された場面では、本誌掲載時には彼の悲鳴の吹き出しのみが描かれていたのに対して単行本掲載以降はおののく表情が描かれている。
ちなみに、フリーゲーム『7人目のスタンド使い』では、とある条件を満たすと歩道を走らされそうになった際に「DIOに逆らう」選択肢が現れ「社会に出てからもみんなから慕われ、尊敬されたからこそ政治家になれた、そのわしがその民衆をひき殺すことなど出来るものか!」という啖呵と共にDIOとのタイマンに突入。勝利すると彼が本当に大統領になるエンドになる。
上院議員でありの作中でも語られているとおりかなりの高スペックだがスタンド使いでも波紋使いでもない分戦闘力がないが、DIOも思いっきり舐めプをしてくれるのに加え、通常プレイでアイテムはそのまま使用できるので難易度こそ高いものの倒すことは決して不可能ではない。特に劇薬や核弾頭を湯水のように使えるのなら簡単に決着がつく。
PS4ゲーム「アイズオブヘブン」ではファニー・ヴァレンタインが上院議員と同じような目に遭わされた。並行世界を何十と移動しても「真実を上書きする能力」によってDIOの前へと戻されてしまうというもの。
バカゲーと名高いコブラジョジョではエジプト市街地での戦闘が丸々カットされたので、おそらく上院議員は何事もなく生存していると思われる。やったね上院議員!