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概要編集

1936年に公開されたアメリカの映画。

監督はチャールズ・チャップリン

製作・脚本・主演・作曲も彼が務めている。


原題は「Modern Times」。


資本主義や機械化の中で、労働者たちがまるで歯車のごとく扱われる様を風刺した喜劇映画である。

チャップリンが演じる主人公の放浪者=英語ではトランプと呼ばれるキャラクターは、常に意識しないまま偶然的に労働運動を盛り上げたり、資本主義の中でトラブルを起こす。


この映画が作られた背景として、アメリカでは資本主義の高まりによる大量生産・大量消費や、証券取引の危機である大恐慌フォーディズムによって人が自動機械の補助をするためのパーツとなっていた社会状況があった。


黄金狂時代独裁者などと並び、チャップリンの代表作の1つに数えられる。


基本的には無声映画だが一部にセリフが入っており、チャップリンが初めて肉声を発した映画として有名。

しかし、この時の彼のボイスアクトは、どこの言語でもない似非言語で出鱈目な歌を歌う、というものであり、こうした演出は当時流行していたトーキー映画に対するチャップリンのアンチテーゼであった。

肉体言語の表現者であったチャップリンは、でたらめな意味をなさない言葉を話すことによって映画で人が話すことを皮肉ったのである。


風刺編集

本作は、直接的な怒りではなく、笑いに置き換えることで資本主義を批判している。

本作には様々なメタファーが含まれている。


  • 映画の冒頭で、羊の群れが移る。これは畜群となって管理され、支配の軛に繋がれる大衆を表現している。また、その中に一体だけ黒い羊毛を持った羊が映る。英語で black sheepは集団の中で浮いた存在、厄介者、無頼漢、或いは面汚しを意味する慣用句である。これは、資本主義の非人間的な様式にネイチャーな気質によって反発する主人公=チャップリン、小さなトランプを暗示している
  • 主人公が仕事をさぼっていると、トイレの壁が突然モニターに切り替わって、社長が仕事に戻るように𠮟りつける。1984年的な管理社会・監視社会を表現している。
  • 本作で登場する工場の社長は、業務を行っているのではなくクロスワードパズルを解いている。これは、彼が勤勉で有能な人間ではなく、支配者の立場にいるのが遊んでいる無能な人間で、不労所得を得ている様子を示している。
  • チャップリンは機械に巻き込まれてから行動が狂ってしまう。人が機械に吞み込まれて狂気に陥っていることを表現している。
  • 本作ではアメリカの大都市の街中にたくさんの警官が存在しており、トランプ(主人公の役名)が大量の警察官の一軍に追立てられるシーンがある。資本主義社会は暴力装置である国家権力による監視社会・管理社会と同期することが示されている。実際、この映画よりも後になって中華人民共和国などの開発独裁国家や、新自由主義と超保守主義的な国民への弾圧強権や拷問を駆使したアウグスト・ピノチェトといった政権が生まれてくる。日本国も格差の増大と新自由主義に伴って警察権や軍事力が増大化された。
  • チャップリンが浮浪者の少女と親しくなり、共に暮らすことを空想するが、空想の家庭の中でチャップリンが食べている肉は中々切れない。貧乏なので、素敵な生活を空想しても安くて硬い肉しか想像できないのであった。

関連タグ編集

映画 アメリカ映画

喜劇 風刺

チャップリン チャールズ・チャップリン

資本主義 共産主義 社会主義 ディストピア

星のカービィ:第28話がこの映画のパロディとなっている

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