※本誌ネタバレ注意!!
前置き
本記事では、漫画『青の祓魔師』に於けるユリ・エギンについて解説する。
テレビアニメ版『青の祓魔師』に於ける類似人物については「ユリ・フレデリク・エギン」の記事を参照。
概要
漫画『青の祓魔師』の登場人物で、奥村燐・雪男兄弟の母親。
当初は4巻で名前のみの登場していたが、その後の89話の霧隠シュラの回想にてようやく初登場を果たし、100話以降の話にて、ついに生い立ちが明らかになる。
人物
元財閥のエギン家出身であった女性「蓉子・エギン」の娘(父親は不明。またユリの祖父母は自殺している)。ただしエギン家は財閥が解体された後に没落し、一家散り散りになったという。
シュラ曰く「明るくてやさしい綺麗な女(ひと)だった。アタシなんか一生敵わない」とのこと。
優しい性格や目元は奥村燐に似ており、ほくろが多いのは奥村雪男に似ているようだ。
18年前、藤本獅郎に保護されたばかりのシュラと一緒に風呂に入ったり、手作りの料理をシュラや獅郎に振舞ったりした。
経歴
ユリは生後間もなくガラクタ置き場に捨てられていたが、オクという男の老人に拾われる。
それ以降は(当時はホームレスや犯罪者が住み着いていて危険とされていた)正十字学園町北低価格住宅区域でオクの家族であるニコ、オババの3人の老人たちと共に工場跡地で仲良く暮らしていた。
ちなみにこの頃からまだ自我に目覚めていなかった「燐火」(後のサタン)と会っており、一緒に遊んでいたようだ。
だが、ユリが生活していた工場跡地が火事に見舞われた際に彼女を育ててくれた3人の老人たちが焼死してしまったため、天涯孤独の身になってしまう。あてもなく彷徨ったユリはとある居住スペースにたどり着く。そこはアサイラムから逃亡した上、隠れて生活していた藤本獅郎の居住スペースだった。
獅郎とユリが話をしているところに獅郎の追手であるアサイラムのメンバーと黒妖犬(ブラックドッグ)がやってくる。その際に常人には見えないとされる黒妖犬がユリには見えたことから彼女はアサイラムで保護される。
祓魔師を養育する施設であるアサイラムに、正式に収容されることが決定したと一方的に通告されたユリは、アサイラムに収容されている仲間とともに義務教育や悪魔に関する教育などの訓練を受けることになる。
数年後、ユリは16歳で下二級祓魔師と認められ、手騎士の称号を得る。
その後も祓魔師として活躍を続ける。25歳の時点で養魔場に勤務しており、魔調教師(トレーナー)と魔育種師(ブリーダー)の資格だけでなく、祓魔塾生や手騎士向けの講習会や教本をいくつも執筆するほどの優秀な祓魔師へと成長を遂げる。
だが、帰宅途中に十三號セクションから脱走した齩郎(獅郎と同じく「氣の王」アザゼルのクローン被験体005号)に憑依した燐火と再会。それから1年3ヶ月にわたって十三號セクションに収容された燐火の面倒を見ることになる。
しかし、サタンとしての自我を得た燐火はセクション内にいた人物を殺した末に脱走。ユリの前から姿を眩ます。
それから2年後、サタンは朽ちはじめた自らの肉体をエミネスクに取り替えせるべく再びセクションに現れる。さらに、研究施設をのっとり、セクションに内にいる研究員を人質に物資を要求する。姿を眩ましてからサタンの身を案じていたユリは単身セクション内に侵入し、人質を解放するよう説得を試みる。一時は拒否され手下の部下に殺されそうになるものの、最終的にサタンに自分のそばにいるように求められ、共に暮らすことになる。
しかし、サタンと共に静かに暮らすため施設を脱出する際に情報が漏れ、2人は騎士團に包囲され引き離されてしまう。
さらに経緯は不明だが悪魔(サタン)の子を身ごもったことで母体を傷つける行為は全て詛いとしてはね返す超能力「魔揺籃(クレイドルバリア)」が発現していることが発覚。不可侵状態となったため自らも拘束されてしまう。
ユリはサタンの子供であることを承知の上で産み育てることを望んでいたがその代償はあまりにも大きかった。
多くの祓魔師に包囲される厳戒態勢で出産するも、出生して間もない燐の暴走、さらに自らに適合する肉体を得るためサタンが不特定多数の祓魔師や一般人に憑依(後の青い夜事件)したことによって多くの犠牲が出てしまった。
辛うじてサタンの憑依に耐え現場へ出向いた三賢者(グリゴリ)の一人シェミハザ(当時)はユリの行いによってあまりにも甚大な被害が出たと判断。サタンの執着を断つためシェミハザの指示によって殺害されかけるが、その場にいた藤本獅郎が共に騎士團から逃亡する。逃避行の最中に獅郎と共に生まれた子を育てる計画を立てていたが、出産で体力を大きく消耗してしまったため、力尽きる。
遺体は騎士團の実験台にされることを防ぐため、獅郎によって荼毘に付された。
死後、魂の存在となったユリは、物質(からだ)への妄執に取り付かれたサタンを救うべく生前と変わり果てた姿の状態で虚無界にいる彼の元を訪れる。
人間と悪魔は分かり合えるときが来るのを信じていること、自らが知っている愛を伝えようとするも、物質(からだ)に執着するサタンにその声は届かなかった。
サタンは物質(からだ)を持たぬユリを無価値の存在と判断。炎で彼女を攻撃してしまう。
攻撃を受けながらも何かを伝えるべく呟いた後ユリの魂は消滅してしまった。
悲劇的な結末を迎えたユリだが、今後のサタンの動きに大きな影響を与えることも考えられるため今後の話の展開が期待される。