ラパトル
らぱとる
白亜紀前期末のオーストラリアに生息していたメガラプトラに属する獣脚類。
化石発見と記載は古く、化石の発掘は1900年代、記載は1930年代前半である。学名に用いられている「rapator」とはラテン語で「違反者」の意味とされるが実際にはほとんど使われない単語である。普通、学名をつける際には「どの様な意図で命名したか」が論文に書かれるのだが、ラパトルには説明がついていなかったため詳細は不明。命名したドイツの古生物学者ヒューネの誤解やスペルミスだった可能性が指摘されている(「raptor」ラプトルと記載したかったのにスペルを間違えた、など)。
発掘された化石はごく僅かで、前肢の一部などのみが知られている(明確にラパトルに分類できるのは左手親指の中手骨(手の甲、掌を構成する骨)の一本だけ)
特徴はコエルロサウルス類のものと近く、ティラノサウルス上科であるという説を裏付けるものとされることもある。
全長は9mに達した可能性があるとされるが、これはメガラプトラに分類される前の推定である点に注意。見つかっているのが手の骨であること、メガラプトラは手が大きいグループであることから、現状4〜5メートルに下方修正されている。ただし、「ラパトルの可能性があるが断言できない標本」を含めるならば6メートルに達した可能性がある。
2000年代のアウストラロヴェナトルの発見と研究で極めて断片的でしかなかったラパトルが注目されることになった(アウストラロヴェナトルも部分的な骨格しか見つかっていないが、前肢の化石は比較的まとまったものが発見され、その化石がラパトルと酷似していた)。
化石が部分的である故に、種としての区別が難しいため、上述のように互いの化石によく似た部分があるアウストラロヴェナトルや同じ地層から見つかったワルゲットスクス(こちらは尾椎の骨しか見つかっておらず獣脚類ということしかわかっていない)らと同種としてあつかわれることもある。しかし、生息していた時代的に少なくともアウストラロヴェナトルとは別種である可能性が高いと考えられている(ラパトルの方が1000万年近くも古い)。