概要
同型艦はレキシントンとサラトガの2隻であり、どちらも独立戦争における古戦場に由来する命名がされている。
1927年就役。
信濃(日本海軍)の竣工までは世界最大の空母であり、その大きさから二隻とも「Queen of the Flat-Tops(空母の女王)」と呼ばれた。
空母という艦種そのものの実験台であったラングレーに続く二番目の艦級だが、ワシントン海軍軍縮条約で建造中止になった巡洋戦艦が母体となったため、基準排水量33,000トンという、当時としては極めて大型の空母となった。全長は270mと「信濃」より長く、ミッドウェイ級航空母艦が建造されるまで世界最長であった。
同時期の日本海軍の赤城・加賀が三段飛行甲板と言う異形だったのに対し、レキシントン級は後世に標準となる広大な一枚甲板となっている。
上部構造物は飛行甲板右舷側に細長くまとめられ(アイランド)、ガスタンクと形容される高く巨大な煙突の前に艦橋があり、煙突と艦橋の前後に55口径8インチ連装砲が各2基・計4基8門が設置されていた。この部分だけ見るとまるで重巡洋艦のようであった。これは当時の艦載機の低い攻撃力や短い航続距離から、前衛として突出してくる敵の巡洋艦や駆逐艦と接触して交戦することが危惧されたためである。この辺りの事情は赤城・加賀と同様である。
艦首は耐波性に優れたエンクローズド・バウ(密閉式艦首)となっている。
機関は蒸気タービンで発電機を回してスクリューに繋がったモーターを動かすターボ・エレクトリック方式、つまりHVである。これによってギアボックスが不要になったほか、機関配置が自由になった。低速時の燃費も向上した。機関制御も配電盤で行えるので操作も楽になった。
発電能力は約14万kwで、レキシントンは1939年冬に大停電に陥ったワシントン州タコマ市に1ヶ月に亘り電力を供給した。電気モーターの総出力は21万馬力を超え、最大速度はレキシントンが34.59ノット、サラトガが35.6ノットを発揮し、第二次世界大戦中最速の航空母艦である。
両艦のシルエットが酷似していたため、識別塗装として、サラトガは煙突側面中央部に太い縦帯を、レキシントンは煙突頭頂部をぐるりと黒く塗っていたようである。
この他にも識別塗装は飛行甲板にも行われており、艦尾側に「LEX」及び「SARA」と書かれていた。
そのため単に「レックス」、「サラ」と呼ばれ、愛称である「レディ・レックス」、「シスター・サラ」の由来にもなっている。
次級はワシントン海軍軍縮条約の保有枠の関係で、小型化したレンジャーである。日本は同様に龍驤を建造した。
レキシントンは、1942年5月8日に発生した初の空母同士の海戦である珊瑚海海戦で五航戦が繰り出した攻撃隊の攻撃によって航空機用燃料のガソリンタンクにひびが入って漏れ出し、気化したガソリンに引火して大火災となり、味方駆逐艦によって雷撃処分された。
レキシントン級は密閉式格納庫だったため、気化したガソリンを逃がす術がなく、爆発の圧力を逃がすこともできず、大火災に発展したである。
サラトガは第二次ソロモン海戦やラバウル空襲、硫黄島の戦いなどに参加し、エンタープライズとともに第二次世界大戦を乗り切ったものの老朽化しており、新型のエセックス級が多数就役していたため、1946年7月25日、核実験「クロスロード作戦」での標的艦として最期を迎えた。