王政ローマ
古代ローマの王政期における最高権力者が王である。ラテン語ではRex(レクス、レークス)と呼ばれる。
伝承によれば最初のローマの王は建国者であるロムルスで、以降代を重ね7代目の王タルクィニウス・スペルブスが追放されるまでローマの王政は続いた。
初代のロムルス、2代目ヌマ・ポンピリウス、3代目トゥッルス・ホスティリウス、4代目アンクス・マルキウス、そしてロムルス在位中に共同統治したティトゥス・タティウスの5人の王はラテン及びサビニ系とされている。その後のタルクィニウス・プリスクス、セルウィウス・トゥッリウス、タルクィニウス・スペルブスの3代の王はエトルリア系とされている。
これらの王の出身や個々の事績は何らかの歴史的事実を反映しているだろうとは考えられているが、そのような人物が実在したとまで断言する研究者はおらず、いずれの王も基本的には実在を疑問視されている。
放逐された王の伝承が残っていた共和政ローマでは、「ローマに君臨する王」に対し極めて強い嫌悪の感情が広く一般に共有されていた。このため王位を窺う者とのレッテルは政敵に対する有効な攻撃となり得た。
制度上、王の保持していた命令権(インペリウム)は公選のコンスルに引き継がれたが任期と同僚が設定されその力は制約された。また王の帯びていた宗教上の権威はコンスルを始めとする上位の公職や公選の神官職に受け継がれた。
王の存在を嫌ったローマではあるが王の名が完全に消されたわけではない。コンスルの空位という非常時に次のコンスルを指名するため中間王(インテルレクス)という役職が設置された。王政期に由来するものではあるが共和政期に非常設で断続的に使用され続けた。
ローマが帝政となりさらに東西分裂したのち、西ローマ帝国において「ドゥークス」の地位をゲルマン人が「レクス」と呼称したが、王政期のレクスとは当然ながら性格は大きく異なる。
神聖ローマ帝国
ラテン語:Rex Romanorum
神聖ローマ帝国では選挙において神聖ローマ皇帝に選出されてからローマ教皇より認められて即位するまでの間の称号としてローマ王が使用された。
またその後には、皇帝が自身の息子を後継者指名した後の実質的な皇太子の称号などにも使われた。
皇帝ナポレオンの息子
フランス皇帝の息子、ナポレオン2世が皇太子としてローマ王の称号を得ていた。
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レックス - Rexの英語読み