概要
兵庫県中南部、神戸市の北西に位置し、東経135度線日本標準時子午線上に位置する人口約8万人の都市。市の南部に人口が集中している。
施政域は律令制における旧美嚢郡とエリアがほぼ一致する。
市内を流れる美嚢川(一級河川加古川水系の支流の1つ)沿いに建設された三木城を中心に発展した城下町。
戦国時代にはこの地を治める別所長治公が、それまで与していた織田方を裏切り毛利氏側に同調したことに端を発する「三木合戦」が勃発。結果別所氏は敗れ、落城。一連の戦闘は三木の干殺しの項が詳しい。
江戸時代においては「水戸黄門」こと徳川光圀を養育したことで知られる水戸藩士の三木之次(仁兵衛)が当地の出身である。この時期より旧城下町エリアを中心に金物の生産が本格的に開始され、地場産業として発展。「播州三木打刃物」として、1996年に当時の通商産業省(現:経済産業省)から「伝統的工芸品」指定を受けるに至る。
「播州三木」と呼ばれる事があるが、これは主には香川県にも同じ文字で表記される自治体の三木町(讃岐三木)が存在しており区別する必要があるため。(もちろん「三木」自体は他にも多くの地域にある地名だったりする)
「金物の町・三木」
播磨国は「播磨国風土記」にも「天目一命」と言う名で登場する、天目一箇神に所縁のある土地で、その天目一箇神を祖人とする大和鍛冶が盛んに行われていた土地だった。そこへ5世紀頃、朝鮮半島(百済)からの渡来人らにより韓鍛冶の技術が伝えられ、三木における鍛冶技術が粗方完成する。
その後16世紀末に上項の三木合戦にて荒廃した城下町の戦災復興の為、各地から大工が集まり、必然的に大工道具の需要が増したことで発展を遂げ、江戸時代には工業都市として栄える。
そして前述の通り「鋸」「鑿」「鉋」「鏝」「小刀」が経産省により「伝統的工芸品」の指定を受けるに至る。
特に鏝(金鏝)において三木産の物は国内9割のシェアを持つ。
尚、和式フォールディングナイフの代名詞とも言える「肥後守」も三木が産地で、同市に存在する金物製造会社「永尾駒製作所製造」の登録商標である。
上述の三木城の本丸跡に金物はじめ大工道具をテーマとする博物館「三木市立金物史料館」が所在し、昭和10年にはそこに隣接するように金物神社が建立されている。祭神は「鍛冶の祖神」天目一箇命(あめのま ひとつのかみ)、「製鋼の祖神」金山毘古命(かなやま ひこのかみ)、「鋳物の租神」伊斯許理度売命(いしころとべのみこと)の三柱。
特産品
上記の金物以外に、「葡萄」、「酒米」がある。
葡萄は市の北部にて生産されており、生食用の生産量は兵庫県一位。
酒米は昭和期に品種改良にて誕生した、「酒米の王様」との呼び名もある「山田錦」の生産量が全国トップを誇る。そもそも、古代において神功皇后に神酒(みき)を献上した事が三木市の地名の由来のひとつ(訛化による当て字)である。
ゴルフ場
丘陵地における高低差が少ないことから多数のゴルフ場があり、市単位で見れば西日本一のコース数を誇り、全国で見ても千葉県市原市に次いで二位を誇る。
また、日本を代表する会員制名門ゴルフコースである「廣野ゴルフ倶楽部」が存在する。
特徴的な施設
市の南東部、兵庫県立三木防災公園の敷地内に国立研究開発法人 防災科学技術研究所(略称:防災科研、NIED。本部:茨城県つくば市)が所有する世界最大の振動破壊実験施設である「実大三次元震動破壊実験施設(通称:E-ディフェンス)」がある。
実験棟には15×20mの振動台があり、鉄筋コンクリート6階相当の建造物に対し破壊実験を行う事の出来る世界最大のシステム。
その名の通り縦・横のみならず「垂直方向」の振動、そして近年注目されている長周期地震動も再現できるのは世界でもここだけ。