概要
事件の詳細
2021年10月31日の夜、東京都調布市を走行していた京王線の列車の車内で、調布駅から乗車した男が突然他の乗客の目に殺虫剤を吹きかけ刃物で刺した。その後、男は別の号車に移動しライター用のオイルをまき火をつけた。これにより煙を吸うなどして18人が負傷し内1人は重傷だったが、幸いなことに死者は出なかった。
その後、列車は国領駅で緊急停車し犯人の男は警察に逮捕された。
犯人の動機と裁判
逮捕された男(当時24歳)は犯行の動機について「恋人との別れや仕事での失敗等から自殺願望を持つようになり、事件を起こすことで死刑になりたかった」「ハロウィンの日なので多くの人が乗っていると思って列車をターゲットにした」などと供述したほか、同年の8月6日に小田急線の列車内で起きた別の刺傷事件を参考にしたと話した。
その後、逮捕された男は翌年3月11日に殺人未遂、銃刀法違反、現住建造物等放火により起訴され、2023年に懲役23年の判決が確定した。
模倣した事件
前述の通り、この事件は小田急線の列車で起きた別の事件を模倣したものであるが、さらにこの京王線事件を模倣した新たな事件が、約1週間後に発生した。
2021年11月8日、熊本駅と新八代駅の間を走行していた九州新幹線(さくら401号)の車内で、乗客の69歳の男が液体(オイル)を撒き着火した(ただし火はすぐに消えた)。この事件での人的被害はなかった。逮捕された犯人は「京王線で起きた事件の真似をした」と供述した。
事件の影響
令和5年3月、京王電鉄は車内での通りぬけのできない運転台が編成中間に存在する6+4両の7000系電車を順次廃車にすることを発表した。
本事件を受けて、万が一の時に乗客が走行中の車内で他車両に避難することの必要性が明らかになったためとしている。
また、京王電鉄以外のJR東日本やゆりかもめなどの交通事業者もこの事件を受け、警備員の巡回など車内での警備を強化する方針を発表した。