伝奇ロマン
でんきろまん
元々は『SFマガジン』編集長であった南山宏の発案であるとされる。
後にノベルズなどの大衆小説やコミック作品などの類別としても用いられるようになった。
Wikipediaではその草分けを『戦国自衛隊』の作者であることで有名な半村良としていて、その定義を伝奇のなかでも
『物語の舞台は読者の住む「現実世界」と連続していることが求められ』『歴史ファンタジー・SFミステリー・今日残る実在の神話伝承ectで現実側の視点での幻想成分を割り増しにしたもの(要約)』『読者の住む世界と繋がりのない異世界の物語は基本的に伝奇ロマンとはなり得ない』『幻想的・(作品発表当時の水準で)科学的要素を含むことが必須条件』
…としているが、記事そのものは出典が極少であるため独自研究として扱われている。(2021年5月時点。参考)
なお、この記事では「この概念からさらに派生ジャンルが生まれているので実質的にそれらの総称である(大意)」みたいなことが書かれているが、同じく出典不詳である。
身も蓋もない言い方になるが、70~90年代のノベルズをはじめとする大衆小説などの中には読者の購買意欲をかきたてる目的で「伝奇○×」や「超伝奇」といったインパクト重視のジャンル設定が横行したがその類別は作家や編集者が感覚で行っている部分が多く、事実として伝奇の派生ジャンルに限ってみても今まで確固たる規定が設けられたことはない。
例えばメイン画像の漫画『海獣の子供』のジャンルは海洋伝奇ロマンであり、内容は現代の女子中学生安海琉花と海獣に育てられたという兄弟の出会いを通して『世界創生の秘密』を知る…というもの。この部分だけなら前述の通り現実世界と幻想世界との接触こそが「ロマン」であると解釈することもできる。
しかし、他の伝奇ロマン作品には明らかにバトル要素を含むものも多数あり、他ジャンルとの垣根は非常に曖昧である。現状では『現実世界(もしくはそれに類似した世界線)で展開される伝奇風作品』の大部分が該当しかねないものとなっている。
以上、伝奇要素のメイン。
それぞれ、SFやミステリー要素強め、バトルシーン多め、エログロ重視などの解釈が可能だが、前述の通り明確に細分化されている訳ではない。特に後者2つは極論異能バトルものに統合可能である。
『五大湖フルバースト_大相撲SF超伝奇』(西野マルタ)などのように見るからにカオス度が高い作品のジャンルとされる。現在のノベルズでは半ば菊地秀行の著作の専用ジャンルと化しているが、もちろん何をもって「超」とするかの明確な規定は無い。
文芸誌「ファウスト」の編集長太田克史が提唱した「漫画、アニメ、ゲームの表現を1度くぐり抜け、再び文芸に戻ってきた青春伝奇小説」のこと。
そんなあなたは、「ファウスト」の連載陣が『ブギーポップは笑わない』の上遠野浩平、『化物語』の西尾維新、『空の境界』の奈須きのこ等々だと知って「ああそういう…」とだけ思っていてください。
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