概要
1952年に制作されたディズニーの短編作品で、原題は「Lambert the sheepish lion」となっている。Sheepishとは、つまり「内気でおどおどした、おろかな、まごついた」などのネガティブな意味を持つが、「羊の様な」という意味と掛けられている。ランバートの名前自体が「子羊」を意味する「ラム」を含んでいる。
ストーリーとしてはみにくいアヒルの子に似ている部分もあるが、こちらは親子愛の美しさを謳っている。美しい名作であり、昭和天皇が気に入ったために寄贈されたという経歴もある。
「Social Lion」に出てくるライオンは、鬣が赤い事以外は姿と声がランバートと似ており、ランバートの兄弟なのでは?とされることもある。喜んで動物園のスターになった。
ストーリー
コウノトリが世界中の母親となる雌達に子供を届ける世界にて、ある夜羊の群れに子供達が届けられた。子供達に母親を選ぶ権利があるため、リーダーの雌の羊はあぶられてしまい、涙した。しかし、南アフリカのジャングルに届けられるはずだったランバートが、名前の為か子羊に紛れ込んでいた。ランバートはリーダーの雌が泣いているのを見付けると甘え、羊もランバートを受け入れて親子に成れた。コウノトリがランバートを取りあげようとしたのを母親が阻止した。
次の日の朝、ランバートは他の子羊たちと遊ぼうとしたが、種類が草食動物でないために力負けし(草食動物は生き延びるために肉食動物よりも遥かに成長が速い)、見た目や声の違いも馬鹿にされ、イジメられてしまった。涙するランバートだったが、母親はランバートを精一杯の愛情で育てた。
年月が過ぎ、ランバートは大人のライオンに成長し、羊達よりも圧倒的に大きくなった。ランバートの母親も息子を誇りに思っている。同世代の羊たちからのイジメは止まなかったが、優しいランバートは怒らずにあえて「sheepish」な対応を取っていた。
ある夜、狼が群れを襲撃し、ランバートの母親が狙われた。羊達と育ったため、そして、子供のころの敗北とそこからのイジメによって弱気になっていたランバートも狼に怯えていたが、最愛の母親の危険にランバートの群れを守る本能が発揮され、初めて吼えた。そして、無事に母親を守りきったランバートは笑いものから英雄へと変わり、ランバートの母親も息子も誇りで一杯になる。
書籍
絵本では、ランバートの心情がよりフォローされており、やはり実際は同年代の羊たちからのイジメに辟易していたこと、そして、自分が別物ではないかという悩みに苦しんでいたことが判明している。
ただし、絵本では母親は狼に襲われていない。ランバートと一緒に茂みに隠れており、怯える母親を見てランバートが奮起した。
ちなみに
ダンボ同様、この世界ではコウノトリ達が母親となる女性・雌達に子供達を届け、子供を持つ為に生殖行動も必要ない。また、子供達が母親を選ぶ事から血縁の縛りもない。ランバートがおそらく草を食べて成長できた事、羊達と共に暮らして食欲を起こさなかった事、狼が毎年春に咲く苺があるから餓死もしないと説明されているし、その細い枝におそらく一生掴まっていられるだろうことから、根本的に生物や世界の構造が違う。
そのため、南アフリカにいる筈の「ランバートの母親になる予定だった雌ライオン」とランバートの間に血縁はそもそも無く、ランバートと入れ違いになった子羊が仮に存在していても、また、仮にライオンの母親の元に届けられても無事に成長し、ランバート同様、異種ではあるが素晴らしい親子になれたと予測できる。また、ランバートも一般的なライオンとしての幸せを堪能できなくても幸せになれたのだろう。
- ある動物の母親が別種の子供を育てるという話は昨今よくテレビでも放送されている話であり、野生でも、子供を失ってしまった雌ライオンがインパラの子供を育てようとするという記録も存在している。
その他
ディズニーとも縁が深いドリームワークスによるマダガスカルでは、主人公のライオンが空腹の際に草食動物の親友達を見て空腹と友情の狭間で苦しみ乗り越えるという話がある。
なお、アフリカにはこんな例がある。バッドエンドかはともかく、考えさせられる話である。
2016年に保護された雄ライオンのランバート (Lambert)は、飼育下で産まれた。最初のオーナー一家が彼とよく一緒にベッドで睡眠を取っていたが、その一家が育てきれなくなったため、ランバートは保護施設へと移された。野生化させるにはペットとしての性格が強すぎるため保護施設で暮らしているが、毛布がないと眠れないという状態になっている。実情は不明だが、このランバートはディズニーのランバートから名付けられた可能性がある。
関連タグ
ライオンキング…ランバートの鬣には黒赤の2パターンがあり、ライオンキングシリーズのライオン達と同じである。