北アジアとは、アジアをいくつかに区切ったときに最も北部に位置する地域のことである。
主にロシアのシベリア(ウラル連邦管区、シベリア連邦管区)と極東地域(極東連邦管区)、それにモンゴルが含まれる。
ロシア極東地域とモンゴルは東アジアに含めることもある。
自然
地誌
シベリアを中心に、タイガと呼ばれる森林が広がる。またその北側、北極海に近い地域には、ツンドラが広がる。地下には永久凍土と呼ばれる泥交じりの氷の層が広がっている。
おもな河川にオビ川、エニセイ川、レナ川がある。また世界一深い湖として知られるバイカル湖もこの地域にある。
気候
気温の年較差が60度以上と極めて激しい。夏場は30℃以上になることもあるが、ほかの時期は気温が低く、特に冬場の寒さはきわめて厳しい。南極以外での世界最低気温を記録したオイミャコン村もこの北アジア地域にある。モンゴルのウランバートルに至っては「世界一寒い首都」とも呼ばれているほどである。
また、世界的に見ても降水量の少ない地域である。そのため積雪が少なく、氷河期でも大規模な氷河が形成されなかった。このため、ヨーロッパや北アメリカなどと比べて氷河地形が発達していない。
わずかに降る雨や雪は永久凍土層に阻まれて地下に浸透しないうえ、暖かい時期になると永久凍土層の地表に近いところが融けるので、地面が水浸しになる。これが夏のツンドラに出現するおびただしい沼地の正体である。
社会
世界でも最も人口が希薄な地域。すぐ南に世界で最も人口が稠密な東アジアがあるが、この格差は驚くべきであろう。
帝政ロシア時代に流刑地として利用されたり、ソヴィエト連邦時代に強制移住政策がとられ、鉱山開発や軍事施設や収容所の設置があったりしたが、定住者を数多く引き寄せたとはいいがたい。現在はロシア領の部分は総じて過疎化が進んでいる。
民族
チュルク系の民族やツングース系民族、モンゴル族、あとから入ってきたスラブ系民族や朝鮮族(高麗人)、その他の少数民族が暮らす。
サハ族が暮らすサハ共和国(ロシア)は世界最大の面積を誇る地方行政単位として知られる。
産業
寒冷なのと土壌が痩せているため、南部の一部を除いて畑作農業には向かない。遊牧、鉱業や林業、水産業やこれらを下地にした軽工業などが主要な産業となる。