概要
小野不由美の小説『十二国記』の登場人物。描写されている原作作品は『白銀の墟_玄の月』。戴国の人物。
驍宗麾下で、英章の師帥を務めていた男。驍宗登極後は文州師将軍へと任ぜられた。瑞州師将軍の李斎とは同輩に当たる。驍宗に対する大逆が起きた際も州師の将軍として、文州にきていた。
その人となりについて阿選麾下の友尚は、言うなれば好敵手である驍宗麾下と慣れ合わないとしつつも“臥信や基寮のように気のいい奴もいて、何度かその場の流れでやむを得ず一緒に飲んだが、すこぶる愉快だったな。連中と一騒ぎすれば面白かろう、とは思ったが”、と評価していた。
以下、「白銀の墟_玄の月」のネタバレを含みます。
驍宗への大逆が起こり、驍宗麾下の残党も狙われる中で大怪我を負い、山野をさ迷っていたところを老安の人々に救われる。
仙でなければ死んでいただろう重症で、まともに口を利けるようになるまで一月かかった。その後も自身を匿ったことで里が誅伐を受けることを懸念し、自分の名も身分も明かさないまま、一刻も早く傷を治して里を立ち去ろうと思い詰め、多少なりとも身体が良くなれば剣を握って振ろうとしたり、農作業に山歩きと、とにかく身体を作ろうと焦っては倒れることを繰り返し、やがて泰麒が戴へ帰還する直前の夏に体調を崩し、寝たり起きたりの状態が続いていた。当初は風邪かと思われたが、そも六年前の大怪我が身体を大きく損なっており、そこからの一進一退の長患いのせいで臓腑が膿んで、もう手の施しようがなかった。
秋ごろ、最後まで戴の行く末を案じ、“せめて台輔を”と呟いて永遠の眠りに落ちた。
名も身分も明かさなかったことで、里の者たちは「もしかして主上(驍宗)なのでは」と訝しんでいたが、基寮が「主上」と呼びかけられて返事をしたことは一度もなかった。
驍宗捜索の一環で、老安に怪我をした兵士が匿われていることを突き止め訪れた李斎たちは、とある事情により亡くなった兵士が“御髪は白で眼は赤”だった、と嘘を教えられ「間に合わなかったのか」と絶望する。
が、その後、その兵士が息子のように面倒をみていた、回生にだけ字(あざな)を教えていたことで、基寮であることが判明した。