概要
がい子くじん氏が描く、商人と奴隷たちの日常を描く4コマ漫画。
これだけ聴くとR-18、鬱、胸糞めいた作品に見えるかもしれないが、内容はまったく逆。
主人公である商人は外見こそ悪人のそれだが、実態はぐうの音も出ないほどの聖人であり、他の登場人物も一見すると怪しい人物だが、実はみんないい人である。
内容も3コマ目まではどれだけ不穏な内容であっても4コマ目で優しい世界が展開されるのがお決まりのパターンとなっている。
2020年9月23日にKADOKAWAから書籍版が発売。
ネタバレになるため詳細は割愛するが、描き下ろしで商人の過去や謎が明かされている。
主要登場人物
- 商人
本作の主人公(トップ画像右側の頭部にターバンを巻いた人物)。
いつも「グフフ」といやらしい笑みを浮かべ、これまたステレオタイプな悪役が言いそうなセリフを毎回のように連発するなど、外面と言動は見るからに悪人だが、その実態は人間の鑑とも言うべき商人と言うより聖人(しょうにん)。
孤児たちの学校から牧場農場、さらには投資まで幅広い業種を扱っており名士のような扱い
パッと見の印象のせいで初対面の人物からは非常に誤解されやすいのと、世話焼きっぷりがあまりにも半端ないので、もはや善人や聖人を通り越して「近所の世話好きおばちゃん」みたいになってしまっているのが玉に瑕。
奴隷たちを傷つけるようなことはせず(※)、保護者あるいは教育者として優しく、時に厳しく奴隷たちを養っている。
男のような見た目をしているが実は女性。本名は「マリア」。
作中ではそれなりに時間が経過しているように見えるが、ほとんど老けない。
夢は美男美女だけを集めて「美男美女の国」を作ること。ただし、この場合の「美男美女」とは、容姿ではなく「心が美しい人たち」と言う意味。
※フォー君とラッ君の姉弟を叱る際に体罰を行ったことはあるが、これは彼らが「刃物で遊ぶ」という危険な悪ふざけを何度も行ったがためであり、直後に「ごめんなさい」と素直に謝った姉弟を「偉い」と涙を流して褒めるなど、これも深い愛情あっての行為である。
- イーチェ
(トップ画像左側の人物)
住んでいた森を焼かれて奴隷になった女エルフ。普段は牧場で働いている。
見た目も言動も怪しすぎる商人を最初は辛辣に敵視していたが、なんだかんだで絆された。
お見合いパーティーでフタッタと出会い、結婚、後に二人の子供を産む。
なお、彼女に限らずエルフ族はみな感情が高ぶったりすると独特の「エルフ語」が口をついて出るようだが、この「エルフ語」は某県の方言にそっくりだったりする。ナイゴチ…?(エルフ語で「何故」)
このため「エルフは九州にいた!!」とネタにされることも…。
- フタッタ
商人がイーチェに紹介した青年。
幼少時は盲目で口もきけない捨て子だったが、商人に拾われて治療をしてもらった結果、見えなかった目が見えるようになり、そのまま商人に育てられるうちに話もできるようになった。
そのため商人に対する尊敬の念は人一倍強く、「育ての親」としてとても慕っている。
保育所で働いており、子供たちからも信頼されている。子供の頃アイガに対して淡い初恋を抱いていた。
- フォー君
- ラッ君
小さな獣人の姉弟。フォー君がキツネっぽい、ラッ君がタヌキっぽい外見をしている。
後に本名が「フォーク」「ラック」であることが判明した。
二人ともスカートをはいているのはフォー君がスカートだからラッ君も合わせているから。二人とも君付けなのはラッ君が君付けで呼ばれているからフォー君も君付で呼ばれたいと希望したから。
後にモヒカンの元に養子として迎えいれられた。
大人になってからはフォークはミャウの店で働いている。
- ミャウ
イーチェの妹の褐色エルフ。やはり商人を警戒しており、姉をたぶらかしたと命を狙う事もあったが和解。
姉を取り戻すために悪魔を召喚したが、この悪魔は実はマリアとも関係があったりする。
初めはまるで料理が出来なかったが、後に店を持つまでに成長する。
- 悪魔
ミャウによって呼び出された悪魔。願いの代償に乳をもむことを条件として要求してくる。
商人に一目ぼれしており、当初の目的を忘れて小間使いのような働きをしている。
元は魔王であったが勇者に邪悪な気を斬られたのと、たまたまおっぱいを触ってたことから乳に興味を示すようになる。
- スミテ
商人が悪行を働いてると聞いてやってきた魔女。能力の割にドジっ子で自分の魔法で自分の服を破いたりしていた。
実はその名前は母の育ての親である商人によって名づけられたものであったりする。
- アイガ
幼少期のフタッタの面倒見たこともある。後に結婚し、スミテを産む。
実は四英雄の一人である魔女だった。
- モヒカン
牧場で働くモヒカンの男。頭部に傷のある禿頭の男(モヒカンいわく「兄貴」)とよく一緒に登場し、二人とも商人(マリア)と親交がある。
言動こそ、どこぞの世紀末救世主漫画に出てくる雑魚モヒカンそのものだが、彼らもまた商人に負けず劣らずの善人であり、特にモヒカンのほうは妻子持ちの良きパパでもある。
加えて、彼らの勤務先である牧場は妊娠中で働けない時でも給料が保証されているほか、各種相談にも気軽に乗ってくれるなどかなりのホワイト企業である。
ちなみにモヒカンは見た目だけでなく名前もモヒカン。
- 兄貴
牧場主のスキンヘッド男。いかつい顔な上に頭には傷痕がある見るからに悪人面だが、モヒカン同様に商人に負けず劣らずの善人。
実は四英雄の一人、剣聖ヘッド。
- 医者
眼鏡にちょろっと反り返った口髭(ダリ髭)をした男。
見た目の怪しさに反して腕は確かで、フタッタの目や予防接種、アイガの魔力酔いなど多種多様な面で働く。
実は四英雄の一人、治癒者モグラ。
- ハーチェ
- 族長の妻
エルフの森の族長、イーチェとミャウの実の親。
焼き出されたエルフ達を率いて森に隠れ住んでいたが商人とスミテの魔法によって発見され、親子再開のサプライズに巻き込まれる。
高い魔力を持っており心を読んだり、変身したりといった魔法を使える。
族長の妻の名前は「ナウナ」。作者のツイッターでさりげなく判明した。
- ヒー君
モヒカンの息子。素直で元気な少年。一緒に暮らしたフォークから好意を向けられている。
- スノラ
ゾンビ化の呪いを受けていた青年。アイガと商人と出会い呪いを解かれる。
この縁から後にアイガと相思相愛になり結婚する。
- ギーシャ
モヒカンの妻、綺麗な見た目に反して気が強く優しい女性。
- ジュード
- ゴード
イーチェとフタッタの二人の間に生まれた子供、兄がジュード、ゴードが妹。
- ユーシャ
四英雄の一人であった女勇者。ギーシャの妹。
人助けの旅をしていたが、連れ添いが欲しくなり戻ってくる。
商人を悪党と勘違いして国宝である聖剣を使ったことで、新たな問題を生んでしまう。
- 国王ロック
勇者たち四英雄を魔王討伐に使わせたショチュ国の王、邪悪のみを斬る破邪の剣を勇者に託す。
元は奴隷のエルフだった。本名はショチュ=ロック。
エルフ語
- あいがとさげもす:ありがとうございます
- オヤットサア:お疲れ様
- ケシンカギイ:一生懸命
- ズンダレタ:だらしない
- すんもはん:すいません
- ドゲンシタ:どうした
- ナイゴチ:なぜ
- ナントシレンヤツ:ろくでもないやつ
- ヒッタマガッタ:びっくりした
- ミゴチ:きれいな
- ヤゾロシ:うるさい
- よかにせ:イケメン
- ワッゼ:凄い
- ワッゼウ(ン)マカ:とても美味しい
- ンダモシタ〜ン:あらまあ