「裁き!」
声優:沢木郁也
概要
- 所属:反ガミラス統治破壊解放軍
- 肩書:導師
- 座乗艦:ゼルグート級一等航宙戦闘艦
『宇宙戦艦ヤマト2202 第三章純愛編』に登場するガミラスの政治犯で、反ガミラス統治破壊解放軍の指導者を務める初老のガミラス人(ただし、解放軍全体の指導者かは定かではない)。容貌はスキンヘッドに白い顎鬚を僅かに生やしたもの(かの収容所惑星の所長デバルゾ・ボーゼンに若干だが似ている)。服装は文官系を示すカーキ色の制服と、首元にガミラス国旗を記した緑色のスカーフらしき物を巻き、またボロボロになっているマントを付けている。また手元には杖を持つ。
かのデスラー政権に叛意を持っており、それが崩れて3年が経過してもなおデスラー政権の影が消えず、尚且つ周辺諸国が未だガミラス政権下に置かれている事を嘆き、その解放と自治独立を成し得る為に、反乱軍として武力闘争を続けていた。
なお、その解放や自治独立は新しき発想等によるものではなく、あくまでもデスラー政権以前の旧貴族社会体制に逆戻りさせるという、過激な復古主義者であった。ある意味で、彼はクーデター失敗で処刑されたヘルム・ゼーリック国家元帥の意志に同調した人物であると言える。ゼーリックもまた貴族社会主義に固執した人物であるからだ。
なおヤマトの存在に対しては、”恨み”というよりも、ある種の”感謝”や”尊敬”の意が含まれていた。その理由は、ヤマトがデスラー政権を揺るがせ、政権崩壊のきっかけを作ったこと、ならびに叛乱行為の切っ掛けを作ってくれたことが由来する。が、今回ばかりは見境ない攻撃がヤマトを敵に回すこととなり、対決する形となった。
結局、彼もまたゼーリックと同じく失敗し、業火に包まれる乗艦と共に没した。
反ガミラス統治破壊解放軍
略称:破壊解放軍。彼が指揮する(或は所属する)反乱軍は、現政権の意向に叛意を持ち逆らう政治犯が中心となって構成される組織で、ガミラス支配圏内で度々武力闘争を繰り広げている。その名目こと大義名分は、デスラー政権の尻尾でしかない現政権の打倒、並びに周辺諸国の解放と自治独立であるが、上記したように統一前の貴族社会体制の時代へ逆戻りさせる復古主義者でしかない。
反乱軍とは思えぬ意外なほどに装備が潤沢だった。今回の惑星シュトラバーゼに現れた部隊は全軍なのか一部隊かは不明であるが、ゼルグート級1隻、クリピテラ級航宙駆逐艦9隻、極めつけは惑星間弾道弾を10発以上も投入してきたのである。
これには、ガミラス士官カーゼットも驚愕しており「まさか、ここまでやるとは!」と予想外の兵器投入に驚いていた。
なお反乱軍の装備が意外なほどに潤沢である由縁は、やはり彼らの思想に共感するガミラスの貴族社会復古主義者たちの存在であるとされる。彼らが裏で手を廻し、反乱軍にひそかに装備を与えているとの事であった。
経歴
惑星シュトラバーゼにガミラス艦隊が居る事を知り、艦隊と惑星間弾道弾を用いて解放(という名の破壊活動)に向かった。なおこれも密かに暗躍するクラウス・キーマン中尉とカーゼットらの策謀によるもので、ヤマトに仕掛けをする為に隙を生じさせる前座でしかなかったが、導師本人には分かる筈もなかった。
ガミラス艦隊とヤマトが惑星上で民間人の移送作業を行っている最中に襲撃。ミサイル飽和攻撃でガミラス艦隊と民間人を巻き添えにする形で攻撃を開始した。デスラー政権の影を取り払う為の裁き、即ち正統なる大義名分であることを信じて疑わなかった。
だが、その場にいたヤマトが攻撃阻止に動いたことにより、かつては決起すべききっかけを作ってくれた戦艦だと敬意を現してはいたが、「邪魔する者は排除する」と目標をガミラス艦隊からヤマトに切り替えた。
なお小説版においては、この時に土方から呼びかけられており、戦闘の回避を申し渡されたものの一切耳を貸すことは無く、民間人厭わず攻撃する事を示した為、ヤマトに格好の自衛戦闘の大義名分を与えることとなった。
クリピテラ級9隻を差し向けて撃沈を狙うが、大した戦果も上がらずに全艦が撃沈されてしまい、座乗艦もヤマトの砲撃で艦首装甲に被弾する。そこで惑星間弾道弾1発を爆破させ、ヤマトを業火に巻き込むが成功せず、その後は両艦が突進し合いつつも苛烈な砲撃戦を展開する。その戦闘の最中に意気高揚した導師は
「大義は我にありィ!!」
と叫びあげるほどの発狂振りだった。
ゼルグート級は砲撃するものの艦首に展開した波動防壁に防がれてしまい、そのまま互いに艦首を突き合わせた。ただし質量からしてゼルグートの方が巨大な為か、ヤマトが押し切られて右舷にゼルグート級の艦首が押し当てられる状態になる。
ところがヤマトの主砲と副砲合計15門が全てゼルグート級に向けられる形となり、これを機に全火力をゼルグート級の上甲板や艦橋付近に叩き付けられる事となった。その総計は100発近くに上るが、それでも動じない導師は燃え盛るゼルグート級の中にあって自分の大義を最後まで曲げず、「裁き!」と叫んで惑星間弾道弾を自爆させていった。
なお、この間際に「死を恐れてはならん、死を!」と通信回線を通じて、その場に居る艦全てに自らの信念の固さを見せつけた。小説版では、この言葉に刺激を受けたのか、残存のクリピテラ級が特攻を仕掛けている。
結局は、敢え無い最期を辿ることとなった。かつては叛乱の切っ掛けを与えてくれたヤマトの手によって己の夢を潰えさせられる事となるという最大限の皮肉な結果であった。
余談
『2202』の公式サイトのキャラクター&メカニックページは各章の公開間際に前章までの内容を盛り込んだ更新を行っていたのだが、実はこの導師も四章前の更新時にコメントアウト状態で追加されていた。ちなみにそこの解説での組織名は聖ガミラス至上主義完全破壊復古軍となっている。しかし、再登場予定も無い単発ゲストキャラをわざわざ追加する必要はないと判断されたのか、結局正式に追加されることなく次の更新の際に消去された。
アイコンも用意されているが、顔の部分が錨マークになった仮バージョンである(リンク)