「わけなんているのかよ?
人が人を殺す動機なんて知ったこっちゃねーが… 人が人を助ける理由に、論理的な思考は存在しねーだろ?」
概要
本編開始から1年前、新一と蘭が工藤夫妻を訪ねて渡米した際のエピソード。
原作34巻FILE.11「ゴールデンアップル1」~38巻FILE.4「ゴールデンアップル5」に相当。時系列的には『工藤新一 最初の事件』の続きにあたり、新一自身が解決した2件目の事件となる。
テレビアニメ版は三部作の大長編として放映された。前話『中華街 雨のデジャビュ』の終盤、蘭が回想する形でストーリーが展開されていく。
ストーリー
工藤夫妻の住むLAに到着した新一と蘭だったが、有希子とすぐに飛行機でNYへ向かうことになった。有希子が無理だと思っていたNYで流行っているミュージカル『ゴールデンアップル』のチケットを入手したためだ。ブロードウェイの劇場に向かっている途中、有希子はサマータイムを忘れていたことに気づき、現在NYに若い女性ばかりを襲う通り魔の男が出没しているためパトカーが多く走っている中で、待ち合わせ時間に間に合わせるべく、構わずジャガーを爆走させた。
開演の一時間前に無事到着……なんてわけにはいかず、案の定スピード違反で捕まる。それを救ったのは知り合いのNY市警.ラディッシュ警部……ではなく、機転をきかせて彼に変装した友人で大女優.シャロン・ヴィンヤードだった。有名人との思わぬ邂逅に蘭は「神様に感謝しなきゃ」と喜ぶが、シャロンは「この世に神様なんているのかしら?本当に存在があるなら…一生懸命生きている人間は誰も不幸にはならないんじゃない?そう…私にエンジェルは微笑みかけてはくれなかったもの…一度もね…」と言い、哀しい笑みを浮かべていた。
その後、シャロンの案内で楽屋を訪ねた新一たちは、4人の舞台女優(リラ、アカネ、ローズ、イベリス)と劇団のトップスター.ヒースに出会い、3日前に金色にコーティングされ、動物の血で『For the Fairest “最も美しい女性へ”』と書かれた林檎の贈り物が劇団に届いていたことを知る。
更に舞台裏に案内された際、天井に吊るされていた鎧が突如落下してきた。服が引っ掛かってその場から離れられない1人を蘭が救い、出演者5人は開演に向けて舞台へ。シャロンは有希子たちとミュージカルを鑑賞する予定を取りやめて帰ってしまった。
そしてミュージカルが始まり、クライマックスに差しかかった時、新一はレーザーサイトらしき光を目撃する。やがて舞台上に現れたのは、胸部を撃たれているヒースの姿。映画の話が来ていた彼は、今夜が最後の舞台であった。
「でも神様はちゃんと私の事を見守ってくれたみたいだわ…」
「鎧を落とした時、偶然クギが引っ掛かって逃げられなかった私を助けてくれたんだもの…」
「ありがとう可愛い天使さん…おかげで想いが遂げられたわ…」
事件が解決し、タクシーでホテルに向かう途中、新一と蘭は廃ビルで例の通り魔と鉢合わせした。階段の手すりが壊れて落ちそうになった通り魔の腕を思わず掴んで助けた蘭。なぜ自分を助けたと問い詰める通り魔に、新一は前述の台詞を投げかける。
「わけなんているのかよ?」
この言葉は、「自分が犯人を助けたせいでヒースが殺された」と悔やんでいた蘭の心を救った。幼なじみとして新一に好意を抱いていた蘭が、新一を本格的に恋愛対象として意識し始めたのも、本作のエピソードにおける新一の言葉がきっかけだとされている。
ゲストキャラクター
名前 | 声優 | ゴールデンアップルの配役 |
---|---|---|
リラ・サンチェス | 安藤麻吹 | ヘラ(結婚の女神) |
アカネ・ニールセン | 林摩理子 | アテネ(知恵の女神) |
ローズ・ヒューイット | 山本雅子 | アフロディーテ(美の女神) |
イベリス・ハミルトン | 野沢由香里 | エリス(争いの女神) |
ヒース・フロックハート | 千葉一伸 | トロイアの王子/大天使ミカエル |
名前 | 声優 | 職業 |
シャロン・ヴィンヤード | 小山茉美 | 大女優 |
ラディッシュ・レッドウッド | 石田太郎 | NY市警の警部 |