彝族
いぞく
中華人民共和国四川省・雲南省を中心にベトナム北部、ラオス北部に983万人(2020年)が暮らしている、中国政府が公認する56の民族の中で7番目に多い。
彼らの先祖は古い時代の「羌族」だといわれており、漢民族に支配領域を奪われた末に四川省を通り雲南省に辿り着いたとされている。
中国語の汉語の様に文字一つの発音が決まっていて、声調言語と呼ばれる声の感じで意味が変わる言語を使っている。
発音と文字が漢字の様に紐づいているの日本を意味する「ꏝꀪ」(リッブ/ryp be)もリッ+ブで簡単に発音出来る。問題は四川彝語以外だと文字が違う場合が有る為、生活に使われる基本的な単語や外来語以外は発音と文字が一致しない可能性が有る事だ。
標準語の四川彝語では819字だが、他方言も含めると合計8000字有る表音文字「彝文字」を使っていて、日本は「ꏝꀪ」(リッブ/ryp be)と書く。
日本語でも別方言話者同士では会話が困難な時が有るが、彝語の場合は別方言だと文字の音が違う場合が有る為会話の音も違って通じないとの事。
彝語が統一されてない為か汉語で授業する事が多く、彝語の文字で授業する事が少ない為若い人は彝語の文字を殆ど読めない人も少なくない。
農耕をしている為、麦・米・トウモロコシを主食としてツアンパと呼ばれるムギ粉を水で練ったパンを食べる。
宗教ではバイモイズム(彝語: ꀘꂾ、簡体漢字: 毕摩教)と呼ばれるアミニズム信仰をしている。
火、丘、木、岩、水、土、空、風、森、先祖を神々として崇拝し、ビモと呼ばれる司祭が祭祀を聖典通りに行う。
奴隷制が有り、呷西(彝語: ꒉꇤ)(ィガ)→安家(彝語: ꑱꋦ)(イッズル)白彝→黒彝と4階級ある。階級ごとに言語自体が変わっており、別階級の別方言では会話が困難となる。
10か月で終わる暦を使っていて、彝暦の6月24日～26日まで松明祭り(彝語: ꄔꊒ、簡体漢字: 火把节)をして豊作を願ってイナゴと悪霊を払う。
各家庭が松明を持って音楽隊と共に畑や町を練り歩いてイナゴと悪霊を追い出して最後は事前に集めた薪を使って10m以上の巨大な炎を作って終える。
彝暦の10月中旬から11月になるまで「クシ」と呼ばれている祭りをする。主に伝統舞踊や闘牛と闘羊、草競馬や相撲等をして新年を迎える。
男女共にチャルワ(察尔瓦)と呼ばれるマントを男女共に年中羽織っていて、女性は主に花が刺繍された服にカラフルな裾を持つスカートを履いて華やかな耳飾りを付けて生活する。
若い女性は大きい布を頭に巻いて髪を使って四角形の形を作ってから羊毛と紙で束ねる。既婚女性の場合は頭に丸い飾りをつける。
男性は頭にターバンを巻いて正方形等の模様が刺繍された服を着て生活する。地域によっては英雄髻(英雄もとどり)と呼ばれる髪を上向きに束ねて角の様にして強さを示す髪型をする。
ペー族(白族)と呼ばれる民族とは長い間同じ民族だったが、三国時代に有った爨国(さん国)が隋唐の時代に東西分裂し、東爨は烏蛮(彝族の先祖)西爨が白蛮(ペー族の先祖)になり、300年程経ち、ペー族は漢字を使う様になり彝族は彝文字を使う事で別々の民族となった。
