概要
東方Project第15.5弾作品である『東方憑依華』の略称。
日本語で本作を指し示す場合にその略称として多用される。
作品版語を通した略称としては「 TH15.5 」。
pixivのタグとしても本作を略称で表現する場合は『憑依華』の称が用いられることがある。
作品名とファンの間での様々な想像
『憑依華』は作品の制作発表時点からそのストーリーとして『東方深秘録』以後、幻想郷に発生していた「都市伝説異変」に並行して発生する(またはその一端である)「完全憑依」という現象が生まれる「完全憑依異変」が軸となることが語られていた。タイトルにも物語の中心軸がそのまま表現されている。
東方Projectの各作品には、そのタイトルに作中に登場するキャラクターに関連した、またはタイトルに含まれる言葉と共通する漢字などを名前に持つキャラクターが登場することがあり、『憑依華』においても作品発表を楽しみにするファンの間ではそのタイトル名称が新しく登場するキャラクター、または既存の登場キャラクターの再登場ともかかわりがあるのでは、と想像されていた。
例えば、まさに「憑依」の語そのものである「完全憑依」が物語の中核にあることは先述の通り先行して語られていたため、この完全憑依異変を発生させた(異変の首謀者)、もしくは発生させた本人でなくとも強く関係する何者か(関係者)に「憑依華」のいずれかの文字が含まれるのではないかなどの想像はその一例である。
また既存のキャラクターの再登場という点では、「依」の語をその名に持つ綿月依姫や「華」(花)を操る風見幽香などが想像されていた。
特に依姫については『憑依華』に至る都市伝説異変が依姫の住まう月の都の騒乱に端を発するものであったことやまさにその月も舞台の一つとした『東方紺珠伝』でその動向が語られなかったことなども相まって、『憑依華』にみる「依」の文字には耳目を引くものがあった。
幽香については、作品発表こそ『憑依華』に先行したものであったがナンバリングでは『憑依華』以降のものである『東方天空璋』(第16弾作品)が幽香がwindows版に再登場した作品である『東方花映塚』と関係した作品であったこともあり、ファンの間でも一連の物語の結びつきの中で幽香の存在が垣間見られるのではと期待されたりもした。
この他「憑依」という語に見る「霊が憑りつく」という点からは東方Projectにおける亡霊・幽霊・怨霊などである西行寺幽々子や村紗水蜜、蘇我屠自古といった面々の参加を想像したものもあった。
実際の『憑依華』作中では「依」の文字を姓に冠した依神紫苑・依神女苑の姉妹が登場し、二人はまた「 最凶最悪の二輪の華 」のひとつとして『憑依華』のタイトル名いずれにも関与することともなった。
様々に想像された既存のキャラクターについては先述のような例にみる面々の登場は見られなかったが、「霊」に関係してルナサ・プリズムリバー、メルラン・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバー(プリズムリバー三姉妹)の三名について作中のとある場面に登場が見られている。
物語の中では三人の「霊」の性質が「憑依」と関連して語られることもあるなど、その独自の存在感が描かれている。
「完全憑依対談」によれば
『憑依華』については『東方外來韋編』(2018 Spring!)において上海アリス幻樂団のZUNと黄昏フロンティアの海原海豚の対談が掲載されており、制作に至る経緯や過程などが語られている。
海原によれば本作はシステム面で「 恐らく今までZUNさんと一緒に作ってきた中で一番の難産 」となった作品であり、ZUNもまた『憑依華』の「 タッグ 」という点にその理由も含めてストーリー上の難関を見ることとなった。
『外來韋編』対談中では制作段階でのZUNのアイデアや作業量などとの関係で没になった野心的な試みなど『憑依華』のさらなる可能性が語られている。
逆に制作の過程で新たに生み出された要素もあり、二つ名が交錯するタッグ名の他、ストーリーにも関わる点ではとあるキャラクターの存在が新たにZUNから提示されるなど製品版にも至る具体的な要素が後から生まれたケースもまたある。
作業上で困難だったキャラクターは、海原によればイメージ構築の難関はドレミー・スイート、グラフィックの難関は八雲紫であった。性能面では女苑が困難だったとしている。
紫については「 担当の人渾身の作 」(海原、『外來韋編』)としており、pixivにもその魂のこもった作の一端がうごイラとして発表されている。
なお、先述のタイトルにも関連して、ZUNによれば本作のタイトルはもともと『憑依花』であった。
『憑依華』に変更されるに至る経緯も同対談中で語られている。
『憑依華』の完全憑依とPS4版『深秘録』
先述の通り『憑依華』には「完全憑依」という要素が登場することが語られていた。
完全憑依の現象については、Play,Doujin!のプロジェクトを通してPlayStation4(Sony)に追加要素を伴って移植された『深秘録』においてその一端、あるいは端緒の様が先行して描かれており、この「EXRTA」の物語が『憑依華』にもつながっていく。
ただしEXRTAを体験しなければ『憑依華』の全貌を知ることはできない、ということはない。PS4版『深秘録』EXTRAストーリーは完全憑依前日譚として、『憑依華』は本編としてそれぞれの物語として楽しむことが出来る。
PS4版『深秘録』と『憑依華』での大きな違いは、『憑依華』では実装されている二名のペアによる決闘中の「マスター」と「スレイブ」の入れ替えの有無で、PS4版『深秘録』の時点ではこの現象を知るものがいなかったためにマスターやスレイブなどとして応用することも出来なかった段階であったことや、『深秘録』がそれまでの『東方心綺楼』などの弾幕アクション同様に基本的には一対一(各種都市伝説の発現は除く、メインキャラクター同士)でステージが展開されるものであることなども関係する。
関連イラスト
- 完全憑依コンビ
- 本作初登場の女苑と紫苑の姉妹二人