概要
誰もが一度は見た事のある小人宇宙人がトレンチコートを着た男二人組に捕獲された写真。
1950年3月29日にドイツ(当時はドイツ連邦共和国・西ドイツ)のケルンで発売された週刊紙『Neue Illustrierte』4月1日号(創刊号)の3ページ目に掲載された記事の写真が出処。
その記事によればアメリカアリゾナ州の砂漠地帯において、これまで数週間に渡って米軍が追っていた空飛ぶ円盤が、急旋回して空中で急停止した時に対空ロケットの攻撃を受け墜落。
地上に激突する直前に円盤から放たれた銀色の20個ばかりの円形のカプセルに搭乗していた火星人の内の一体を捕獲したと書かれている。
半ば都市伝説化していたが、2012年に海外のサイトの検証により、週刊紙のエイプリルフール企画、嘘記事だったという事が発覚した。
もとより、最初からエイプリルフールネタの嘘記事であると書かれていて、翌週号にも「嘘記事」である旨掲載されていたのにもかかわらず、世界にこの話が伝わるにつれて実際に起きた事件だと歪曲して広まってしまい、日本にもそのまま伝わった。
タネあかし
空飛ぶ円盤を対空ロケットで撃墜したD.Ussel軍曹はもちろん実在しないばかりか、その名前はドイツ語で赤ちゃんを意味する”Dussel”のもじり。
ちなみにこの写真に写っている火星人はローラースケート選手の写真を縮小して加工したもので、当時ドイツで活動していた“Lidstones”と言うローラースケートのグループのメンバーがその正体。
しかも火星人達が乗って地上に降りてきたとされる円形のカプセルは一見して偽物だとわかるくらい作りが雑。なにしろ銀色に輝くカプセルの下半分はしわだらけで銀箔を貼ったものだとすぐに判る上に、そのカプセル自体歪んでいる。と言うか、カプセルなのに上半分が素抜けってどういう事よ。
またこの宇宙人が書いたとされる文字も『Die Erde gefällt uns nicht. Wir möchten wieder nach Hause.』と言うドイツ語を鏡文字(上下反転)にしただけで、意味は“我々は地球が嫌いだ。家に帰りたい。”
ちなみにこの写真を元ネタとするイラストに「ロズウェル事件」のタグが付けられる事があるが、ロズウェル事件は墜落であり撃墜ではなく、しかも既に死亡していた宇宙人を回収した事になっているので当該の写真の事件とは別の事柄である。
なお、宇宙人の後ろに写っている二人の婦人のうち、向かって右側の婦人の左脚が不自然に伸びている事と服装が季節と合わない事は殆ど話題にならない。もっとも脚に関しては合成の際のミスではあるのだが。
もちろんFBIだのCIAだのKGBだのが捕らえたとか、ドイツに移送されたとか、その途中で溶けたとかは後付けの尾ひれである。
第一アメリカで起こった事件がなぜメキシコで起こった事になっているのか。その時点で察しが付いてもよさそうなものなのだが。
それから一般に流布している写真は元ネタの写真をトリミングしたもの。しかもコピーをしまくったせいかかなり不明瞭になっている。
元の写真は4~5枚の写真を合成したのにもかかわらず全体が鮮鋭であり、流石かつての写真大国ドイツの面目躍如と言った所である。
関連イラスト
主に、元ネタの様に背の高い二人の人物に挟まれた真ん中の背の低いもしくは小さな人物や動物、人外などが、両手をそれぞれ掴まれて立たされているイラストである。
一部宙ぶらりんになっているイラストもあるが、元ネタでは立たされているのであり、宙ぶらりんにはなっていない。