概要
元ネタはビビッドレッド・オペレーションの7話。
他の二葉あおいから友情の証として一色家栽培のトマトをもらう黒騎れいだったが、本当は彼女らと友達になりたかった気持ちと自分の家族が消滅した原因の一つである一色健次郎への憎しみが複雑に絡み合い、そのトマトを握りつぶしてしまう。
その演出はまるで血しぶきのように描かれ、トマトを握りつぶしたにしてはあまりにグロテスクであり一部の視聴者にはトラウマを、一部にはシリアスな笑いを誘った。
これだけなら単なる一アニメのワンシーンネタに過ぎなかった。
…そう本来ならそうなるはずだったのである。
ビビオペの亡霊
ビビオペは制作費や宣伝費に相当な額を注ぎ込んでおり、2007年のプロジェクト立ち上げから2013年のアニメ化までに6年もの歳月を費やしている。
さらにミリタリーアニメとして人気を博したストライクウィッチーズの高村和宏監督を起用したり、放送当日の朝日新聞一面を使って番宣するなど大ヒットを見込んだ大規模なプロジェクトとして売り出していた。実際第1話は深夜アニメとしてはかなりの高視聴率を獲得した。
しかし…話が進むごとに全体を通して突っ込みどころ満載の陳腐な展開が浮き彫りになっていった事から徐々に客が離れて行き、アニメは一色あかねの伏線を完全に放置したまま、続編も作られることなく1クールで終了。さらに同じく力を入れていたゲームもクソゲーオブザイヤーの烙印を押される追い討ちを受ける。6年かけたプロジェクトはわずか1年足らずで終了したのである。
さらに同時期にやっていて電撃G'sマガジン内でもビビオペの1/3程度しか特集を組ませてもらえなかったラブライブ!が予想以上のヒットを記録したため、ニコ生の客層もどんどんそちらに流れていき、ミリタリーというカテゴリーでも前クール放送のガールズ&パンツァーに人気を取られてしまう。皮肉にもビビオペで成し遂げようとしていた事はほぼ全てラブライブ!とガルパンが代行する形となってしまった。
そんな大層な金と時間をかけたプロジェクトの呆気ない終わり方を引きずっているリアタイ視聴者は多く、放送終了から3年経った現在でも「今週のビビオペ面白かった」などのネタで散々いじり倒されたり、「前情報で期待を煽っといて蓋を開けてみればつまらなかった竜頭蛇尾なアニメ」や「メインキャストがビビオペとキャスト被りしているアニメ」、「似たような構図のミリタリーアニメ」が放送されるたびにトレンドにビビオペの名前が浮上したり、ビビオペの話題が出るたびに本作の象徴として上述のれいがトマトを握りつぶすシーンのキャプが貼られるなど見事に亡霊のような存在と化してしまった。このためビビオペを知らない者からはビビオペ=トマトを潰すアニメで定着してしまっている。
ビビオペの亡霊は現在も成仏することはなく、今日もどこかでトマトが握りつぶされている…
リアタイでは声優の棒読みも問題視されたものの、メインキャストの佐倉綾音、村川梨衣、大坪由佳、内田彩、内田真礼はいずれも後に出世していった有望な人材だったため、この点は失敗だったとは言い難い。
そんな本作の唯一の救いはミラクルガールズフェスティバルに参戦出来た事とそのミラクルガールズフェスティバルの評価が高かった事であろうか。
あと『ENERGY』(オープニングテーマ)は名曲。
最近では2017年には本作を題材にしたスロット版、2021年にはパチンコを導入することから、何だかんだ言って公式も本作を完全に見放しておらず、人気もそれなりにあった模様。