概要
元軍の南宋侵攻に際しては、兵を率いて防衛にあたる。
当時、宋朝を殲滅せんとフビライ・ハーン(クビライ)が送り込んだ切り札の猛者であるバヤン将軍(宋朝を滅ぼす百目の魔王として恐れられた傑物)が降伏を促した時、
「正統な文明国(宋朝)を、北の蛮人である貴方達は滅ぼすのか、それとも生き永らえさせるのですか?」
と、中華思想を剥き出しにした態度でなじったため、捕まってしまう。
それから間もなくして帝都の臨安(今の杭州)が陥落し、同僚だった張世傑は海戦時に溺死し、陸秀夫も幼い皇帝を道連れに自害。各地でゲリラ戦を行っていた天祥も、のちに捕えられて大都(北京)に護送された。
最期は、仲間の悲惨な死を目の当たりにさせられた上に宋室が滅びても屈することなく、元に出仕せよとの勧めを拒んで刑死した。
逸話
- 元の帝都・大都に連行されても獄中で愛国と正義の思いをつづった名作と名高い正気の歌を作り上げ、最終的に彼は死を賜った。その生きざまは幕末の志士達に強い影響を与える事となる。
- 北京には、文天祥が捕えられた牢獄跡地に彼を祀った文天祥祠が存在する(今の建物は新しく建てられたもの)。明代や清代に彫られた石碑や、天祥が手ずから植樹した言い伝えのある棗の木もある。
- 体格が良く色白な、麗しき偉丈夫だったと伝えられる。
- 惜しむらくは人付き合いがヘタで気性が激しい部分があり、上司の賈似道と幾度となくトラブルを引き起こした。文武両道の秀才なれど、むやみに我を通せば排斥されてしまう好例とも言えなくもない。
文天祥が登場する作品
漢文学
歴史小説
- 田中芳樹氏の海嘯に登場する。
コーエーの歴史シミュレーション
蒼き狼と白き牝鹿シリーズでは皇帝を差し置いて主役扱い、信長の野望でも彼を操作できるなど優遇される。
元朝秘史では戦争に負けたためか武力は弱いが、それ以外は極めて高く、裏切りにくい人材。チンギスハーンでは南宋軍の主力として活躍するチート。
関連タグ
正気の歌 - 文天祥が大都の獄中で詠んだ名高い五言古詩。