「行ってくるよ、希亜」
概要
9-nine-シリーズの主人公。基本的に彼の視点を通して物語が進行する。成人向けノベルゲームの主人公でありながら声がついている珍しいキャラクター。
人物
新海天の実兄。天が自分用の部屋をねだったことで実家を離れて一人暮らしをしている。最初のうちは自炊をしていたが、結局続かず九條都の祖父が経営する喫茶店「ナインボール」でよく食事をしている。都自身もこの店でバイトをしていたもののそれに気づいておらず、2年生になってから同じクラスになったことの挨拶をバイト中の彼女にされたことでようやく気付いた。
妹の天とは口喧嘩が絶えないが、これは彼らなりの仲の良さの表れであり、天が危機に陥った際には躊躇することなく炎の中に突入するなど、口にこそ出さないものの妹想いである。
しかめっ面が多く同級生などからは「怖い」という印象を持たれているが、彼を知る者たちは好意的に接しており、先述した都の祖父などは翔が「いただきます」や「ごちそうさまでした」を欠かさない、料理を美味しそうに食べることから彼のことを気に入っており、毎回料理に少しサービスをしたりしている。
アーティファクトユーザーの事件を追うようになったきっかけは都と仲良くなりたいという下心がきっかけだったが、様々な経験を積む中で「誰かが死ぬところを、もう見たくない」と思うようになる。
能力
不明。ソフィーティアの纏っていた、アーティファクトユーザー以外は姿が見えなくなる迷彩が効いていなかったことでユーザーであることは間違いないのだが、彼自身が自分のアーティファクトを見たことがなく、手にした瞬間に供給されるアーティファクトの基礎知識も得ていない。作品によってはそれがきっかけで街の人間を石化させて殺している犯人と疑われることとなる。
事件を追う際にはまともなユーザーである都や天の援護を行うなど、力を持たないなりに奮闘している。
その他、状況次第ではソフィーティアから借り受けたアーティファクトと契約したりしている。
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ネタバレ
この先、シリーズ全体にわたる重大なネタバレを含みます。
彼のアーティファクトは『世界の眼』。ソフィーティアやイーリスが持つ別の枝(並行世界)を観測するアーティファクトであり、白蛇九十九神社に祭られていた神器そのもの。1000年前にイーリス(ソフィーティア)が翔たちの世界に流出したアーティファクトを回収した際、世界の繋がりを閉ざすために閂として本来2つで1セットのそれの片方を翔たちの世界に残していた。
翔が自分のアーティファクトが何なのか理解していないのは、彼が所持しているのが厳密には『世界の眼』の欠片だから。アーティファクトとの契約方法は2つあり、1つはアーティファクトにユーザーとして認められること、もう1つは体内に取り込むことによる強制契約。彼の場合、物語序盤で発生した地震により破損した神器を掃除する途中に破片で指を切ってしまい、その傷口からごく一部が取り込まれている。
ごく一部であるためソフィーのように別の枝を観測することはできないが、これをきっかけとしてお伽話でしかその存在が語られていない伝説のアーティファクト、オーバーロードを手にするに到った、新海翔と同調できる魂を持つ別世界の存在と繋がり、この人物によって翔は記憶だけの時間遡行を繰り返していた。
この人物は作中世界に登場することはなく、結果として物語終盤まで翔は自分がオーバーロードのユーザーだと思っていた。実際にはこの人物が「選択肢」を通して翔に記憶をインストールすることなどで世界への介入を行っており、後にそれを観測した未来のソフィーティアから協力を打診されることとなる。
事態を解決するのに必要な9人目のユーザーということでソフィーからは便宜上「ナイン」と呼ばれるこの人物の正体こそが、本作のプレイヤーである。
終盤において自分がオーバーロードの所有者でないこと、そして所有しているのが世界の眼の欠片であることを理解し、別の枝の自分と同調することで他の枝で得たアーティファクトの能力をすべて使えるようになる。さらにナインの助けを得ることで、眷属化した各作品のヒロインを幻体として招集(正確にはそれぞれの枝から幻体を操っている)し、希亜以外のアーティファクトは全員で共有され、翔自身も使用する。その他、ソフィーティアに託された第1世代(危険性に応じて規制が入る前の強力なもの)のアーティファクトをいくつも取り込み、時間を巻き戻し続ける敵を一方的に蹂躙するほどの力を行使している。
作中で見られるのは、
- 魂を焼く炎
- 烈風
- 結界
- 魔眼
- 十数メートルの距離を1秒にも満たない時間で詰める高速移動
- 触れた相手を爆散する
- 幻体であるレナを召喚、分身であるためアーティファクトを翔と同等に使いこなす
など。
すべてのアーティファクトの適性を持ち、その力を十全に引き出すことが翔の才能であり、希亜はこの特性を『オーバードライブ』と呼んでいる。ヒロイン達の能力も本来の持ち主以上に使いこなし、天からは「もうあいつ一人でよくね?ってレベルに強くなってますね、あの兄上……」とまで言われている。
戦いののち、一連の事件の黒幕は倒され解決するが、ナインに「あんな思いをするのは……俺が、最後だ」「みんなの死は……俺だけが、覚えておく」と語り、他の枝の翔に共有するのは黒幕が消滅したという漠然とした印象だけにすることを託し、"休み"に就く。