概要
本名:公子霞(こうしか)
「霹靂布袋戲」の登場人物。
「霹靂戰魔策」の主要人物の一人。
花凋族の六世花王。優れた美貌を持ち、歴代花王の記憶と力を引き継いで誕生した。
華麗を好む狂人で、魔界の主・天魔の宿敵になる。
プロフィール
初登場 | 霹靂戰魔策 第22章 |
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退場 | 霹靂戰冥曲 第36章 |
根拠地 | 花神殿 |
出身 | 花凋謎境 |
身分 | 花凋族の六世花王 |
化身 | 鳳陛下 |
仇敵 | 天魔 |
部下 | 女焱師、蘭鑲玉筆、三生雪、長宵、追惜、聖女司 |
その他 | 命蕭疏(客卿)、白無垢 |
武器 | 大不韙(妖刀) |
所有物 | 摺扇、神花龕、花王座 |
人物
金髪の美人で、華麗な錦の服まとう花凋族の六世花王。扇を手にして、優雅に振る舞う。華麗を好むが、常人離れの思想と人生観を持つ。大胆な言動や、世俗に反した行為を積極的に挑戦している。神花から生まれた特異な存在ゆえに、一般人より寿命が短い。そのため、この一生を自分らしく生きると、世間を轟く野望を心に秘めた。
花凋族の王族は両性具有で、花が持つ雄蕊と雌蕊のように、末世之豔も二つの性別を併せ持つ。自由に性別を切り替えることができ、普段は美しい男性の姿だが、美女に姿を変化して踊る場面も見られる。しかし末世之豔は、一つの性別に囚われず、自由に生きたいと思っている。
花凋族は冥界に生息する妖族の一種で、初代の開世花王だった時代に、天魔たち魔族と同盟関係を築いた。その際に、花凋族の女司祭が天魔の妻となり、魔界の聖母になる。いわゆる婚姻同盟を締結した。開世花王は弱小だったため、司祭の嫁入りは、当時の花王にとって屈辱だった。末世之豔は、歴代花王の記憶と力を引き継ぎ、強大な存在となった。誕生の際に、祇首魈嶢の邪術に加え、その屈辱は魔族への憎悪に変貌する。
経歴
かつて魔界の権力争いと、聖母の落命に加え、花凋族の人々は魔族を敵視するようになる。天魔は魔族再興の一環として、花凋族が住む花凋謎境にある魔脈を取り返そうとした。反撃に出た花凋族は、祇首魈嶢と協力して、花王の転生に手掛けた。
末世之豔は魔界の拠点の一つ・青蓮寒獄で六世花王として誕生。生まれて間もなく、青蓮寒獄に駐在する孤炬燎原ら魔族の将兵を殺害した。その存在は天魔と相生・相克する宿敵で、魔界側にとって大きな脅威である。
忠臣に恵まれ、歴代花王が積み重ねた記憶と戦闘力を巧みに使いこなし、魔族たちを追い詰めていく。魔界側についた、開世花王時期の旧臣・白無垢を人質に捕らえ、監禁の際に苦痛を与えた。その残虐さと、弱者になりたくない気持ちは、歴代花王と異なる生き方を体現したものである。
やがて白無垢が死亡し、花凋族と魔界の対立がさらに深まる。末世之豔は天魔と攻防を繰り広げる中、天物之澤と魔脈を利用して、魔界の滅亡を狙った。花凋族が優勢に見えたが、白無垢は実際に亡くなっておらず、末世之豔は魔界の策に嵌ってしまう。
最終決戦で天魔に敗北し、逃げ延びた先に部下の追惜と再会。夕焼けの景色を眺め、皮肉にも一生使わなかった本名・公子霞を思い出す。魔族に殺されたくないプライドから、追惜に命令して、刃で心臓が貫かれる。追惜に刺され、花王としての尊厳を保ったまま絶命した。
死後に命苗が冥河之母に持っていかれ、行く末が魔界に危惧される。
辞世の句
「霹靂戰魔策」の第40章にて、末世之豔は死ぬ直前に、踊りながら以下の句を詠んだ:
「君不見蕣華不終朝,須臾淹冉零落銷。
盛年妖艷浮華輩,不久亦當詣冢頭。
為此今人多悲悒,君當縱意自熙怡。」
これは南朝の詩人・鮑照が著した楽府詩『擬行路難』から一部取ったものであり、原文は悲観的で、苦しくて短い人生に嘆く描写が多い。末世之豔が詠んだ部分は、当時の心境を表している。
日本語に訳すと:
- 「君は朝にムクゲの散り際が見られない。瞬く間に、そして徐々に零れ落ちて消えるから。若盛りの頃は妖艶で虚栄な輩だったが、間もなく他の者と同じく、墓場に向かうだろう。これで当世の人々が悲しんで不安になるが、君は思うまま、喜んで散っていく。」
冥河の戦い
「霹靂戰冥曲」では、命苗が冥河流域に植えられ、天魔が放った技の反動により復活した。しかし、部下の三生雪たちが冥河之母・類神嫄(るいしんげん)にさらわれ、人質にされた。脅された末世之豔は、大切な部下たちを守るため、やむを得ず類神嫄の配下となる。部下思いな一面が見られる。
類神嫄との会話で、公子霞の名は二世花王の頃からあった名前であり、類神嫄が花王に名付けた。同時に二世花王の頃から、花凋族の女子に呪いが掛けられ、15歳になると冥河で入水自殺する怪奇現象が起きた。その呪いの元凶こそが、類神嫄による仕業である。類神嫄の目的は花王も含め、花凋族のすべてを支配する狙いであった。それゆえに、公子霞の名を使いたがらなかった。
これを知った末世之豔は、類神嫄に復讐する思いを心に秘めた。表では女王の姿・鳳陛下に化身し、冥河軍として戦う一方、裏では冥河軍の信頼を取るために働いた。だが類神嫄が追惜の肉体を乗っ取って、完全復活したことにより、失敗に終わる。蘭鑲玉筆をはじめ、部下たちは自分を守るために、次々と命を落とした。
再生
追い詰められた末世之豔は、魔族・金樹族と共同戦線を組んだ。冥河流域を覆う寰界が解除された後、天魔たちと共に類神嫄に対抗する。元初天魔と共闘して、類神嫄に挑みかかるも、敗れて致命傷を負う。この一生は自分らしく生き、王らしくも生きた。遺言を伝えた後、元初天魔の懐で息絶えた。
死後に魂は空元の中に潜み、最終決戦で再び類神嫄と交戦。敵討ちに成功し、六世花王の一生は終幕を迎える。類神嫄の消滅後、歴史の修正により転生され、七世花王・鳳陛下に生まれ変わった。
関連タグ
関連リンク
- 公式人物資料(末世之豔)※中国語