概要
「黒執事」にて、初めて「死神」が登場したのは切り裂きジャック編(単行本2巻、3巻)から。この時、ロンドンで起きていた娼婦連続殺害事件、通称「切り裂きジャック」事件の犯人が、マダム・レッドことバーネット男爵夫人とその執事グレル・サトクリフであった。グレルの正体は、「神と人との中立である存在(セバスチャン)談」である死神であることが発覚した。
「死神」の特徴と役割
- 死神は、自殺した人間が罰としてなる。いつか「許される」日まで人の死を観察・記録し上に報告しなければならない(22巻で判明)。人間だった頃の記憶があるのかは不明。だが作中の描写から「自分が自殺した人間」と言う事は認知していても、生前の記憶はない可能性が高い。
- 死神の基本的な仕事は死んだ人間の魂の回収。上から配られた「死亡予定者リスト」に従いデスサイズ(死神の鎌)で魂を刈り取る。その際、「走馬灯劇場(シネマティック・レコード)」で対象者の今までの記憶を見て審査する。これは「世界に有益となり得る存在」だったもののみリストから除外されるので、万が一そのような存在がないかのための審査であるが、人間にそんな価値のある者など皆無に等しい(ウィル談)ので実質形式的なものである。死神にとって「魂の回収は絶対」。
- 死神は、「死神派遣協会」という組織に所属している。公式キャラクターガイドブックの作者の発言から、死神は「公務員のようなお堅い職業」らしい。「死神派遣協会」は普通の会社のようにいくつもの課に分かれており、ウィリアム・T・スピアーズは「管理課」、「グレル・サトクリフ」、「ロナルド・ノックス」等は「回収課」に所属しているが、人手の足りない時は別の課から回収業務のヘルプに回されることもある。魂の回収は基本的にこの「回収課」に属する死神が行う。回収が定時までに済まないと残業させられる。また、悪魔に魂をかすめ取られる、魂を狩り忘れる等の失態を犯すと始末書作成などをさせられる。回収課の死神にはそれぞれ担当地区が割り振られており、基本的に物語の舞台のイギリス・ロンドン地区担当が多いが、別の区担当もいる。またイギリスだけではなく、各国に支部があるらしく、「緑の魔女」編ではドイツ支部の死神も登場した。今まで判明している課は、他にも「秘書課」「総務課」「庶務課」、23巻では「科捜課」所属の死神も登場した。公務員らしく、リストにない者の殺害や、デスサイズを勝手に改造などの規定違反を犯すと始末書作成や謹慎処分をくらう。
- 死神はあくまで死亡した人間の魂の審査と回収が目的。なので、「死神による人間界への人の生死に関わる干渉はルール違反」(豪華客船編のグレルの台詞より)。よって、死神は生きている人間を殺してはいけない。また、「“死”はこの世で絶対に覆せないルールであるべき」という価値観を持っているようで、それを乱す者は「イレギュラー」「違反者」と呼ばれ非常に困るらしい。
- 最新23巻の「青の教団」編までに登場した死神は全員男性だが、女性もいるらしい。人間に対しては基本的に情などもっておらず、「仕事上の客」としての認識だが、まれにグレルのマダム・レッドに対する共感、葬儀屋のファントムハイヴ伯爵への執着などの例外も存在する。
- 服装は全員黒服。これは喪服という意味がある。(公式キャラクターガイドより)グレルはマダム・レッドの赤い上着を修繕し常に羽織っており、ドイツに出張した際にも赤のロングコートを着ていたが、特に咎められている描写はないので、服務規定違反というわけではないらしい。
- 死神の「死神の鎌(デスサイズ)」は、「命を刈り取る」という意味で、全て園芸用品になぞらえている(同上)。それぞれが自分のデスサイズをカスタマイズすることは可能(総務課の審査を通らなければいけないらしいが)。デスサイズは引退時に絶対回収される。
- アニメ1期では、正式に引退したらしき葬儀屋が死神の鎌を振るうシーンがある。非常時ゆえに一時的に貸し出されたのか、単に設定が固まってなかっただけなのかは不明。
- 死神は全員近視であり、眼鏡をかけている。これは人間には見えないものが見える代わりに視力が弱いため。瞳の色は黄緑色。
- 身体能力は、腕力と聴力は人間と同程度だが、重力に影響されず、高い運動能力を発揮できる。「切り裂きジャック編」のグレルの活躍を見るに、どうやら瞬間移動することも可能らしい。また、公式キャラクターガイドブックのグレルのインタビューによると、死神は神と人間との中間の存在なので、食事、睡眠どちらもするらしい。「ノアの箱舟サーカス編」でウィルが「悪魔と違って死神には睡眠が必要」と言っている。味覚も人間に似ているらしいが、グレルの入れる紅茶はまずくなる(本人もなぜかわからないらしい)ので、微妙に味覚は違うのかもしれない(単にグレルが料理下手なだけかもしれないが……)。
- 「死神の鎌」(デスサイズ)は「記憶も、魂も、空間も、悪魔も切れる」(3巻のグレルの台詞より)。現段階で判明している悪魔を傷つけ、消滅させることのできる唯一の武器。「なんでも切れるデスサイズ」が謳い文句だが、デスサイズ同士は切ることも傷つけることもできない(豪華客船編の葬儀屋の台詞より)。また、「切り裂きジャック編」にて、ウール製のコートをチェーンソー型デスサイズの回転機部に食い込ませることによって摩擦で回転を停止された描写から、人間界の物質による干渉は可能で、やりようによってはデスサイズの殺傷能力を低下させることは可能であるらしい。
- 「魂の回収が絶対」なので、それを邪魔する(人間の魂を食らう)悪魔は侮蔑の対象であり、「害獣」とまで呼ばれている。
- 死神になったときに、協会から「冥籍」という登録番号を割り振られる。通常死神になった者は生前の名前を名乗る者が殆どだが、「葬儀屋」は冥籍番号で通していた。
- 詳細は不明だが、まれに死神派遣協会から抜け出そうとする「離脱組」というのがいるらしい。本編では「葬儀屋」がそれにあたる。
作中で登場した死神
英国支部
回収課
・グレル・サトクリフ(本人曰く「英国支部回収課の紅一点」)
管理課
科捜課
・オセロ
ドイツ支部
・ザーシャ
・ルドガー
離脱組
・葬儀屋
ミュージカル
二人はミュージカルのオリジナルキャラクターであるが、原作にて回想のシーンとして一コマのみ登場。