概要
水木しげるの漫画『河童の三平』を原作とした東映特撮作品。1968年から1969年にNET系列にて放送。
同じ水木作品を実写化した『悪魔くん』に比べて低予算で制作されており、当時すでに『ジャイアントロボ』をはじめ、カラー作品となっている中でモノクロで放送されている。
あらすじ
名家・河原家の悪戯息子三平は悪友にそそのかされて自宅の開かずの間を開け、河童の世界に落ちてしまう。三平の64代前の先祖・河原三右衛門は河童たちを言葉巧みに利用して地上で財を成したことから河童の恨みを買っており、河童に捕らえられて尻小玉を抜かれそうになるが、その時河童の敵である妖怪水鬼が現れ、河童の長老の孫娘カン子が捕らわれる。三平はカン子を助けるため、人間界にしかない火(マッチ)を持って水鬼を倒すのと引き換えに人間界に帰る了承を長老から得る。三平は長老は妖力を授けられ、カン子のお付きの甲羅の六兵衛の協力の元、マッチと河童が嫌う燃える水(石油)を駆使して、これを撃退。その功績で先祖からの罪を許され人間界に戻された。
しかし、家に戻ると三平は死んだものとして扱われ、三平の母が記憶を失い消息を絶った。それは人間である三平が妖力を身につけた為、妖怪世界の掟を犯したことに憤ったもののけ様の祟りであるという。
三平は単身母を捜す旅に出ることを決心し、三平を気に入ったカン子と、彼女に付き合わされる形の六兵衛も共に付いていくことになった。
もののけ様の命により妖怪たちは行く先々で三平の前に立ちはだかる。はたして三平は母に会えるのか?
登場人物
- 河原三平(演:金子吉延)
名家・河原家の悪戯息子で、64代祟るという河童の先祖への恨みから(三平曰く「だからカッパ(8×8)=64か」)尻子玉を抜かれそうになるも、長老から水鬼を倒すために妖力を授けられてこれを倒す。そのまま地上へと帰ったことからもののけ様の怒りを買って、母を探す旅に出た。
与えられた妖力だけでなく、話術や知恵を駆使して妖怪たちを相手に戦う。
第13話でもののけ様と対峙して妖力を失うも、呪いそのものは失われてはいないようで、再び母を探す旅を続けることになる。
- カン子
河童の長老の孫娘。一族の掟などは頓着せず、河童の世界にやってきた三平に興味を抱き、そのままついてくることになった。
第14話で長老が危篤という知らせが届き、見舞いのため退場。これはカン子役の俳優が「作品がバカバカしくてやっていられない」からと言われているが、同時期に大映の怪談映画『蛇娘と白髪魔』にも出演しており、詳細は不明。
ただ「最初からいなかった」ことにはされず、最終話には彼女の友達であるくら姫が登場した。
- 甲羅の六兵衛
カン子のお目付け役で、彼女に河童の世界に帰るよう促すも聞き入れられず振り回されている。
カン子がいなくなった第14話以降は自分から三平の旅の道連れを申し出た。
顔が広く、砂かけ婆やがま令嬢の助言を仰ぐことも。
ビデオ「東映怪人怪獣大百科シリーズ『妖怪編』」では「悪魔くん」のメフィスト弟と共に司会を担当。
- いたち男
三平たちの行く先々で出会う妖怪。三平たちに協力もするが金に意地汚く、時々敵妖怪に利用されるというねずみ男的存在。
『バトルフィーバーJ』第6話では潮健児演じるヘッダー指揮官をゲストの少年が見て「イタチみたいなおじさんだ」と述べているのは本作及び『変身忍者嵐』のイタチ小僧からくる中の人ネタである。
- 河原好江
三平の母。もののけ様の呪いにより記憶を失い、三平と行き違いでどこかに行ってしまった。
第14話で三平が妖力を失ったことで記憶も蘇り、一旦は家に戻されたが、妖怪にだまされ再び行方不明となる。
- がま令嬢
六兵衛やいたち男とは知り合いの妖怪。話数の入れ違いにより、本来の初登場回より先に既にあっていることが前提の第3話が放送されることになる。
- 砂かけ婆
六兵衛の知り合いである妖怪世界のご意見番。
六兵衛いわく「砂かけのおばば」
- もののけ様
妖怪たちの上に君臨する謎の存在。
第2話から毎回冒頭で三平に呪いの言葉を投げかけ、三平たちに妖怪をけしかけているようだが、別口の妖怪も多く、どこまで関与しているのかは不明。
第13話にて三平と対峙し、「自分が罰を受けるのは仕方ないが、母さんまで及ぶのは道理が通らない」と啖呵を切られたことで三平から妖力を奪い、母の記憶も戻した。その後は冒頭姿を現さなくなるが、呪いの効力は残っている模様。
- ナレーター(CV:小林清志)
余談
低予算のため妖怪のほとんどは着ぐるみではなく、出演者が顔出しで演じている。
数少ない着ぐるみ妖怪の内、第3話の血なめは『ガンマー第3号宇宙大作戦』の怪物フローラの流用。
第1話で使用された河童のマスクと手、水鬼に襲われてミイラ化した河童の造形物は『キカイダー01』の地獄河童(水爆河童)に使用された。