概要
アメコミ「Hitman」に登場するキャラクター。
溶接工のようなコスチュームを着込み、アーク切断機と犬の死体を持っているヒーロー。分類としてはヴィジランテ(クライムファイター)に当たる。
能力は「犬の死体を悪人の顔に溶接する」こと。相手は死ぬ。
犬の死体は野良犬を罠に掛けて調達しており、必要に応じて予備も持ち歩く。
ヒーローである。
もう一度言うが、ヒーローである。ヴィランではない。
繰り返すが、あくまでもヒーローである。
素顔を見せるどころか喋ることすら一切なく、時にヒーローやチームメイト相手にすら襲い掛かるという完全なキチ……怪人のような有様でもヒーローである。
ちなみに活動拠点はなんとゴッサム・シティ。
つまりバットマンが活躍する裏で、彼も活躍している。犬を悪人に溶接して。
あと、彼が持っているのはガストーチであって電気溶接機ではなく、溶接方法がトーチを使ったロウ付けだとしても必要となるロウ剤の棒も無いのだが、何故か犬の死体を溶接できる。
溶接した犬の死体も原型を留めているため、もう何かそういう超能力なのかもしれない。
……実際、後述の真実が明らかになった事により、ある種の超能力だと確定してしまったが。
他、犬の死体を複数使うことで吹き出しを出して会話する事も可能になった。
本人は話さない(話せない)のだが、腹話術なのだろうか。
詳しくはtogetterまとめを参照のこと。
「犬溶接マン」は海法紀光氏が仮に和訳した名前であり、英語での名前はDogwelder。
「Dog」は「犬」、「welder」は「溶接工」という意味なので「犬溶接マン」は正しく直球な訳である。
尚、犬溶接マンは読者の選ぶその年の新人ヒーロー賞を受賞している。
その正体
遥か古代エジプトより、あらゆる時代、あらゆる場所に歴代の犬溶接マンが存在していた。
その力の源は溶接マスクであったが、これも時代と場所によって形状が変化している。
犬溶接マンとは特定個人一人を指すのではなく、このマスクを被った者たちの名前なのである。
かつてエジプトの神々が、テーパイに暮らす一人の鍛冶職人に人の体と犬の頭を接合するように依頼し、犬であれば星々でさえも溶接することができる力を授けた。
鍛冶職人は仕事を成し遂げ、これによって生み出されたのがアヌビス神であった。
しかしアヌビス神は人と犬の頭を繋いだ自分の姿に怒りを爆発させ、鍛冶職人に呪いをかけた。
その力を振るい、未来永劫に渡って罪に対する制裁を加え続けること。
―――――こうして犬溶接マンは誕生した。
以来、人類の歴史の影には必ず犬溶接マンの姿があり、彼らは人知れず悪へ犬を溶接し続けてきたのだ。
劇中での活躍
『HITMAN』本編で活躍する最初の犬溶接マンは白人であり、ヒットマンことトミーの要請を受けて銃の悪魔や宇宙賞金稼ぎロボと戦ってきたが、やがて異次元の悪魔との戦闘で戦死("Hitman Super Guy Part2")。
中古ショップに流れた呪われた溶接マスクとガストーチは、それを目撃した黒人男性に取り憑き、彼はマスクとトーチを盗み出して失踪。次の犬溶接マンが誕生した("All-Star Section Eight #2")。
当初は記憶喪失となっていた二人目の犬溶接マンだが、ついに戦いの中で記憶を取り戻す。
彼はごくごく平凡な溶接工で、妻もあり、愛する子供もいたのだ。犬溶接マンはかつての家族の元へと向かう。
しかし妻はすでに失踪した夫と離婚し、再婚相手と平和な家庭を築いており、子どもたちも異様な姿の犬溶接マンを見て怯えてしまう。
彼らに必要なのは溶接マスクをかぶり、犬の死体を持ち、ガストーチで悪に犬を溶接する男ではなく、頼れる夫であり家庭を愛する父なのだ。
迷い苦しむ犬溶接マンの前に現れた先代の犬溶接マンは、彼を犬溶接マンの殿堂へと招き入れる。
語られるのは犬溶接マン誕生の物語と、そして代々の犬溶接マンへと受け継がれてきたその使命。
「自分の全てを奪われ、悪と戦い、犬を溶接する、この奇妙な人生……その果てに何があるというんだ?」
その問いに対する答えは、無言のまま指し示された犬溶接マンたちの像であった。
やがて犬溶接マンは、宇宙の危機に立ち向かわざるを得なくなる。
おおいぬ座の恒星シリウスが異常発光し、このままでは宇宙そのものが崩壊しかねないのだ。
セクション8の仲間たちと共にジャスティス・リーグの宇宙船を奪い、シリウスへ向かう犬溶接マン。
自分の使命、存在意義、仲間たちとの友情、葛藤。
全てを背負い、歴代の犬溶接マンのパワーを引き出した彼は、シリウスを相手取った史上最大の犬溶接に挑む。
戦いが終わった後、誰がどうやって世界を救ったのかを知る者はおらず、そしてそれを信じる者もいない。
だが「シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)」だけは知っている。彼は酔い潰れ、泣きながら、星をみて、叫ぶのだ。
俺の仲間が、俺の友達が、犬溶接マンこそが宇宙を救ったのだと――――……("Sixpack & Dogwelder: Hard Travelin' Heroz")。
セクション8
ゴッサムシティで活動しているヒーローチームであり、犬溶接マンの仲間たち。
リーダーの「シックスパック(酔って酒瓶で頭を殴るマン)」他、「デフェネストレイター(窓から投げ捨てるマン)」「フレンドリー・ファイア(誤射マン)」「ブエノ・エクセレンテ(変態性欲ソドムマン)」「ジャン・ドゥ・バトン(フランス人マン)」「シェイクス(貧乏揺すりマン)」「フレムジェム(痰吐くマン)」と濃過ぎるメンツが揃っている。
どうみてもアーカム行き(実際収監されている者もいる)なメンバーだが全員ヒーローである。
というのも彼らは仲間のため、友達のため、正義のため、悪に立ち向かう事をためらわない。
どんなにバカバカしく滑稽で、嘲笑われようと、敵がどれほど強大な存在であろうと、自分たちが何者で、何のために戦うのかを理解している彼らは、決して逃げ出す事はない。
セクション8がヒーローでないなら、この世にヒーローと呼べる者がどれほどいるだろうか。
ちなみに「セクション8(section8)」とは米軍で使用される軍事用語で
「精神的問題により入隊(任務着任)不可」
という意味の単語。
こんなチーム名がつくのも納得の狂いっぷりである。