概要
『PSYCHO-PASS』の狡噛慎也×宜野座伸元のBLカップリング。
「コウギノ」と読むのが主流であるが、「コウギ」と読むこともある。
潜在犯の息子として複数の男子生徒に絡まれ暴言・暴力を受けていた宜野座を狡噛が颯爽と助け手を差し伸べる、という少女漫画を地で行く出会いから仲良くなり、同級生として日東学院での学生時代を過ごし、(2100年4月~2104年3月)
狡噛は宜野座に進路の影響を受け、共に厚生省公安局へ同期入局、同僚・相棒として二人で監視官を務めるも、(2104年4月~2110年2月)
標本事件を機に狡噛が潜在犯堕ち、その後執行官となり、生きる世界を違えた上司と部下という間柄になり、その事実に宜野座も犯罪係数を少しずつ悪化させてゆき、(2110年4月~2113年2月)※アニメ1期:2112年4月~
槙島事件を経て狡噛が公安局を去り行方不明の逃亡犯になったことで、最早会うことも困難・執行官となった宜野座は立場上は狡噛を問答無用で執行せねばならないと思われたが…(2113年2月~)※劇場版:2116年
ここにきて、なんと外務省行動課として同僚に復帰。(2119年?〜)※3期:2120年11月~
半生を共にしている無二の友人でありながら複雑な立場の変遷を経ている二人。
それぞれの時代で関係性や雰囲気の変化があり、味わい深くもシリアス・切なさ満載のCP。
その時代の豊富さから注釈として以下の呼び方も併せて使われることも。
学生狡噛×学生宜野座 | 学学 |
---|---|
監視官狡噛×監視官宜野座 | 監監 |
執行官狡噛×監視官宜野座 | 執監 |
逃亡犯狡噛×執行官宜野座 | 逃執 |
外務省狡噛×外務省宜野座 | 外外 |
万能型の狡噛と、不器用な宜野座。多くの時間を共にしながら、なにか何時もすれ違いが多く、互いに互いを心配しているのにきちんと疎通できていない様子ばかり見られる。クラスタ達は言葉にならないもどかしさや焦りを萌えに昇華している。
体格は宜野座の方が3cm背が高いが華奢で細く、狡噛の方がはるかにガタイがいい。
宜野座を「ギノ」と呼ぶのは狡噛ただ一人である。
以下、項目「アニメ」「WEBラジオ」において、狡宜クラスタが一喜一憂したシーンを紹介する。
注意
この記事には、Twitter等でよく見かけた内容を中心に記載していますが、一部主観も含まれます。
あくまで非公式カップリングであるので注意。
1期
【アニメ】
- 第3話「飼育の作法」
狡噛が初めて宜野座を「ギノ」と呼んだのがこの回。
これまで二人がまともな会話をしている描写が無かったため、視聴者に衝撃が走った。
- 第5話「誰も知らないあなたの顔」
宜野座と常守朱の会話において、宜野座が「かつて俺は過ちを犯した相棒を失った」と発言しており、宜野座が朱に送った人事課のファイルから、狡噛が3年前の標本事件(正式名称未解決事件・公安局広域重要指定事件102)より以前は宜野座と共に監視官であったことが発覚。
一部のファンからは「5話ショック」とまで言われており、狡宜民が一気に増えたのは、この宜野座の発言がきっかけとなっている。
- 第6話「狂王子の帰還」
八王子のドローン製造工場での金原による殺人と、コミュフィールドのアバターの狂信者であった御堂による殺人、この2つの事件の裏側に、3年前の標本事件との共通点を見出し、自分の書斎へと足早に向かう狡噛のあとを、宜野座は舌打ちしつつも追いかけた。
- 第7話「紫蘭の花言葉」
桜霜学園の生徒が遺体で発見された事件の捜査から外されてしまった狡噛が、自室での朱との会話の中で「あんまりギノを困らせてもな」と発言。
- 第8話「あとは、沈黙。」
桜霜学園の監視カメラの映像を一緒に見ている姿からは、かつては共に監視官であり相棒でもあった頃の二人を想像させる。
- 第9話「楽園の果実」
宜野座が狡噛を呼び出し、今まで「マキシマ(槙島聖護)」の存在を疑い、妄想だなどと酷評していたことを謝る。それに対し狡噛が、「マキシマ」の手がかりを掴むことが出来たことについて「俺は今 久しぶりにとてもいい気分だよ」と言い、その最後に野性的な笑みと声で「ギノ」と言うのを聞いたファンたちが、まだOP前だというのに発狂状態に陥った。
- 第10話「メトセラの遊戯」
槙島たちの罠に嵌まり、船原ゆきと共に60年前に廃線となった地下鉄銀座線周辺を逃げ回ることになった狡噛。これで狡噛が死ぬことになったらお前のせいだ、と朱に強くあたる宜野座だが、これはどう見ても、あまりに狡噛が心配で八つ当たりしているだけである。
ついに狡噛から連絡が入ったという場面で「ありったけのドローンを急行させろ!」「一台でもいいから到着させるんだ!」と必死の形相で叫んでいることからもわかるが、誰よりも狡噛からの連絡を待っていたのは、やはり宜野座なのだ。
標本事件で「戻れ」と叫んだのに、二度と"こちら側"に戻ってくることはなかった相棒が、また自分の前からいなくなってしまう。彼はそんな不安に駆られていたのだろう。
- 第11話「聖者の晩餐」
征陸が去った後、腹を鮮血に染める狡噛を見て、宜野座が息を呑む音に注意したい。「しぶといもんだな、まったく」などと発言しているが、内心安堵していたに違いない。
また、ラストのシーンで狡噛が担架の上で意識を取り戻したとき、彼が最初に見たのは、狡噛を見つめる宜野座の姿であった。それは、宜野座がずっと狡噛を不安げに見つめていたであろうことを想起させる。
- 第12話「Devil's crossroad」
ついに相棒同士であった頃の2人が登場。今では見ることは決して叶わぬ、2人してレイドジャケットを着ている姿や、頻繁に行動を共にする様子が描かれた。
標本事件さえなければ、2人はこの頃と同じように肩を並べ続けることができたのだ。
いつか、2人がまた相棒と呼び合える日は来るのだろうか。
- 第17話「鉄の腸」
槙島の捜査権を剥奪されたことに激昂した狡噛に「監視官」と呼ばれ、宜野座は言葉を失う。
その一言は、二人の立場が変化してしまったという辛い現実を、改めて彼に突き付けるものだったのだろう。
- 第18話「水に書いた約束」
宜野座が初めて「狡噛執行官」という言葉を口にした。
また、一係の部屋で征陸と二人きりになったとき、無意識なのかそうでないのかは定かでないが、宜野座自ら狡噛の席に座るという事態が起こる。狡宜クラスタが震撼したのは言うまでもない。
その後狡噛を二係に引き渡そうとしたところを局長に見つかり、狡噛の身柄を拘束せざるを得ない状況に追い込まれた宜野座は、意を決してドミネーターを狡噛に向けるも、局長の手によりそれはエリミネーターへと変形する。
見開かれた双眸、頬を伝う汗、震える右手。その時の彼の表情は、我々が未だかつて見たことのないものだった。それに対し狡噛は、寂しげな笑みを浮かべ、宜野座から目を逸らす。
朱が狡噛をパラライザーで撃つ直前、宜野座は何か決意したような鋭い目つきをする。それは局長に反旗を翻すことへの決意か、それとも狡噛を己の手で殺すことへの決意か。
そして何より衝撃的だったのは、狡噛から朱に向けられた置き手紙である。18話時点では、狡噛が宜野座に逃亡の旨を告げたのかどうかはわかっておらず、狡噛にとって宜野座はもう眼中に無い存在になってしまったのだろうかという疑念すら浮かぶ。
「あんまりギノを困らせてもな」「あとでギノに殺されるからな」——、あれほど狡噛は、元相棒を気遣っていたというのに。彼はもう、執行官などではなく、ただの潜在犯なのだ。
その事実は、宜野座の心を深く抉ることになるのだろう。
- 第19話「透明な影」
カウンセラーに潜在犯認定の可能性も否めないことを告げられた宜野座は、突然笑い出す。「相棒が昔、今と同じ状況になったことを思い出し」たからだ。狡噛のようになるまい、と徹してきたというのに、結局自分も彼と同じ道に差し掛かろうとしている。宜野座の笑みは、自嘲的であった。彼の口から「相棒」という言葉が発せられたのは、実にあの5話以来である。
宜野座は局長に掛け合い狡噛の捜索を一係が担当することを求めるが、狡噛を追う以上、彼と「命のやり取り」をせねばならないと征陸は言う。この時ほど、宜野座の激情が露わになったことはなかっただろう。
「どいつもこいつも・・・俺を置き去りにして、勝手に向こう側に行きやがって・・・」
初めて、彼が本音を零した瞬間だった。自分にとって唯一の、かけがえのない相棒。その相棒に裏切られた彼の、癒えることのない深い傷が見て取れた。
「狡噛のバカは必ずこの手で止める。誰が何と言おうとだ」という彼の言葉からは、狡噛が潜在犯に成り果て、本当の人殺しになろうとしている今でも尚、狡噛を殺したくない、失いたくないという強い想いが感じられる。
- 第20話「正義の在処」
狡噛が残した音声データを聞いた宜野座は、眉を顰め「あいつ・・・!」と零す。
- 第21話「血の褒賞」
「突っ走りすぎた監視官の末路なんて、俺ぁそう何度も見たかない」という征陸の言葉を聞き、潜在犯へと堕ちていった狡噛の様子を思い出してか、宜野座は顔を曇らせる。
瀕死の征陸の傍に座り込んだ宜野座が銃声と足音に顔を上げたとき、目の前にいたのは、他でもない、彼が追い続けた狡噛だった。
カメラワークから考えると、狡噛が最初に視界に捉えたのは宜野座だったと思われるが、狡噛は重傷を負った宜野座には何も言わずに走り去っていった。
これが、二人の再会であり、最後の対面であった。
- 第22話「完璧な世界」
犯罪係数140前後となり、潜在犯となった宜野座は、執行官となる道を選んだ。かつて狡噛が、そうであったように。
朱との車中での会話で、彼は狡噛について次のように語った。
「あれだけ獰猛な猟犬から首輪が外れたら、それはもう狼と変わらない。寧ろ野生に戻った分、のびのびとやってるかもしれん」
「執行官だった頃のあいつが、気楽にやってた訳でもないだろう。しぶとくて、狡猾で。諦めの悪い男だった」
「どんな過酷な状況だろうと、あいつはきっと切り抜ける」
狡噛慎也という男から、目を逸らし続け、理解するまいとしてきた。
もう今は、そんな必要などないのだ。
【小説版】
- 第一二章「Youthful days」
アニメの12話とは内容が変わっている。狡噛と宜野座がそれぞれの過去を振り返り、また、二人の出会いの詳細が明らかになっている。
狡噛サイド
『執行官になる前、自分が何を考えて生きていたのか上手く思い出せない。最終考査で全国一位をとって、最も優れた人材が集まる厚生省へのシビュラA判定が出た。まるでそれが当然のことであるかのように、出世コースである公安局の監視官になる道を選ぶ。上手く思い出せないのは、そういった選択の際に何を考えていたのかだ。
「昔の自分」は濃い霧の向こう側にいる。俺はいったい、どんな大人になりたかったんだっけ?ただ、一つだけはっきりしているのは、刑事になる前の日々は、とても退屈だったということ。』
宜野座サイド
宜野座が幼少期、征陸に連れられてセーフハウスに行った際に、後に狡噛が持ち出すことになるスターム・ルガーSP101を征陸に見せてもらう描写がある。この部分は【PSYCO-PASS GENESIS 1】にも征陸視点で詳細が書かれている。宜野座はこの時のことを「父と秘密を共有できたことが誇らしかった。今となってはそれが現実にあったことかどうかもはっきりしない。それでも特別な一日だった。」と振り返っており、あの銃は狡噛にとっては復讐を果たしたものであるが、宜野座にとっては父親との特別な思い出の中にあるものだったことが分かる。そして劇場版の共闘後に宜野座が拾い、狡噛に突きつけ手渡すことになるのだった。
出会い
大まかな流れはラジオドラマと同様、高等教育課程で日東学院に進んだ宜野座が暴力を振るわれているところを狡噛が助け手を差し伸べるというものであるが、宜野座を中傷する具体的な台詞が明らかになっている。そして宜野座は学生時代をこう振り返っている。
『それから、よく二人でつるむようになった。宜野座にとって学生生活とは、狡噛とともに学んで遊びまわった時間のことだ。そのときからすでに、人生で最も楽しい時間になるかもしれない、という予感があった。』
狡噛の「刑事になる前の日々はとても退屈」だった中に宜野座と過ごした学生時代が含まれているかは定かではないが、宜野座の「人生で最も楽しい時間になるかもしれない」と比較してしまうと、少なからず二人の温度差がうかがえる。
進路
高等教育課程の最終年度に入ったある日、狡噛に「将来はどうするんだ」と聞かれた宜野座は「監視官になる。厚生省の出世コースだ」と答える。宜野座はいつ排除されてもおかしくない潜在犯の息子だからこそ、少しでも権力に近づくためにその道を目指していたのだ。それを聞いた狡噛は「へえ。じゃあ、俺もなろうかな」と言う。狡噛は抜群の成績を叩き出しているのに、進路に関して明確なビジョンを持っていなかったということが明らかにされている。
【別離】では「宜野座の熱意に当てられて公安を目指した(監視官時代)」と言っているが、
【一二章】では「じゃあ、俺もなろうかな(学生時代)」「そういった選択の際に何を考えていたか思い出せない(執行官時代)」とあり、
【一八章】では「誰かを守る役目を果たしたいと思って刑事になった(逃亡前)」と綴っているあたり、狡噛は何を思って宜野座と共に公安に進んだのだろうか…。
- 第一三章「深淵からの招待」
禾生から免罪体質者の存在を知らされた宜野座。
『宜野座の頭の中が、狡噛の思い詰めた表情で埋め尽くされた。彼の努力は、今、この瞬間踏みにじられた。いや、正確には、ずっと踏みつけられていたことに、ようやく宜野座だけは気づくことができた。』
- 第十四章「甘い毒」
『狡噛は、強すぎるがゆえに、近くにいる人間を弱くしているのかもしれない。たとえば宜野座だ。宜野座は、狡噛を責めているときが一番脆く見えるのだ。』
- 第一八章「水に書いた約束」
宜野座が狡噛に向けたドミネーターが禾生の手によってエリミネーターに変形した場面。
『宜野座の手中で震えるエリミネーターの照準を、しっかりと狡噛に合わせる禾生の手。宜野座の瞳が震えている。禾生は、どうしてもここで狡噛を撃たせるつもりだ。パラライザーではない、殺すために撃たせるつもりだ。宜野座の顔中から汗が噴き出している。彼はもう、狡噛を見ることさえできない。瞳を閉じて、禾生がかけてくるプレッシャーに抵抗している。』
『狡噛はもう「どうにでもなれ」とでも言わんばかりにポケットを叩いてタバコの箱を探している。最後の一服ができればいいのだが、こんなときに限って忘れてしまったとかー。』
- 第一九章「透明な影」
逃亡した狡噛が征陸のセーフハウスで宜野座を想う描写がある。
『そこに一枚の写真がある。セーフハウスで見つけたアナクロな写真立て。子どもの頃の宜野座を、まだ若い征陸が肩車している。二人とも幸せそうな笑顔で、それを見た狡噛は宜野座が無事にこの難しい状況を切り抜けられることができるように祈った。公安局のことは、もう狡噛にはどうもできない。そもそもシビュラシステムに対して狡噛はできることなんて何もない。だから神は信じていなくても祈るしかない。』
- 第二〇章「正義の在処」
狡噛を必ず自分の手で止めると決意した宜野座の強い気持ちがうかがえるモノローグ。
『ー狡噛は、自分のことをどう思っているのだろうか。
狡噛のことだ。槙島以外、どうでもいいと思っているのかもしれない。その可能性は高そうだ。だからこそ平気な顔で執行官に堕ちていったし、公安局からも離反していった。宜野座は狡噛を相棒だと思っていた。無二の親友だと思っていた。が、すべては一方通行に過ぎなかったのだ。狡噛の心のなかを覗いたわけではないが、そうでなければあんな身勝手な行動をとれるはずがない。そうに決まっている。佐々山が殺されたときに、すべては終わっていた。
ーそれでも、どうにか助けられないか。
ーそれが無理なら、せめて自分の手で殺すことはできないか。』
- 第二一章「血の褒賞」
宜野座が槙島のトラップにかかり、征陸が宜野座を庇い瀕死の場面。アニメ版と違い、狡噛が駆け付けた際に宜野座はまだ資材棚の下敷きになっている。
『伏せていた槙島がゆっくりと立ち上がる。宜野座にとどめを刺しに向かう。そのときー。銃声がして、槙島の左耳を弾丸が切り裂いた。逃げ出す槙島。すぐさま追おうとする狡噛。だが、血まみれの征陸と宜野座が視界に入ってきてたまらず足を止める。「とっつぁん…」立ち止まった狡噛を、宜野座が泣きそうな子どもの顔で見上げてきた。-そんな顔をしないでくれよギノ。こっちまでどうにかなっちまう。』
そして狡噛は「悪い、ギノ」と言い残して槙島を追うのだった。セーフハウスで宜野座の無事を祈っていた狡噛だが、復讐を優先したのだ。そして狡噛が去った後に宜野座は自力で資材棚から這い出すことになる。これが小説下巻で二人が最後に対面する場面である。
- ボーナストラック「失われたバレンタインデー」
取っ払いの一係時代のエピソード。佐々山にバレンタインに関して少々間違った知識を教えられた宜野座が、征陸と狡噛にチョコレートを渡す話が入っている。宜野座の素直な部分や佐々山と狡噛がそれぞれ宜野座のことを大切に思っている様子、征陸と宜野座の微笑ましいやりとりが書かれている。宜野座が狡噛にチョコレートを渡す際のやりとりも可愛らしく、狡噛に手渡す直前の宜野座の様子が漫画版よりも分かりやすくなっている。
WEBラジオ
音泉にて隔週配信されていたWEBラジオ「PSYCHO-PASSラジオ 公安局刑事課24時」では、各回の最初にオリジナルのショートドラマが撮りおろしで収録され、そこでも安定の狡宜が繰り広げられていた。
- 第3回
(ショートドラマ)
狡噛が食べているカレーうどんの汁やネギが、宜野座の眼鏡に飛び散ったという。しかしこれは、普通に食べていたのでは起こりえないことである。このことから、二人がいったいどのような位置・体勢でいたのかという狡宜民たちの妄想が繰り広げられた。
――のだが、コミックス『監視官狡噛慎也』において、宜野座との食事中にカレーうどんの汁を飛ばしまくる狡噛の姿が描かれた。それどころか、宜野座からは「……狡噛、昔から言ってるがうどんの汁を……」という付き合いの長さを感じさせる発言が飛び出したのである。
- 第5回
(ショートドラマ)
ホロクラッキングの犯罪者を相手に、征陸智己がアニメ第5話でやっていたのと同じように、狡噛が酒を使って対処しようとするが、ホロによる物理的と見せかけた攻撃から狡噛を宜野座が庇おうとしたため、間違って狡噛が酒を飲み込んでしまう。
この酒はアルコール度数96度のスピリタスであったため、狡噛ですら明瞭な意識を保てず、代わりに宜野座がやろうとするも、同じくホロの攻撃から狡噛に庇われ、酒を飲み込む。
人生で初めて本物の酒を飲んだ宜野座は呆気なくダウン、その場で眠り込んでしまい犯人を取り逃がしてしまった、という話である。
二人が互いを庇い合うとき、押し倒す勢いでないと避けきれないのではないかと考えられ、これは六合塚弥生の前で二人が押し倒し合っている様子しか想像できない、との声も。
またこの話で最大の問題となるのが、二人が明らかに間接キスをしていること。狡噛が口をつけた酒瓶から、宜野座は躊躇うことなく酒を口に含んだのである。
最後に眠り込んでしまった宜野座を運んだのは誰なのか、ということについては、高身長の宜野座を運べるのは六合塚でなくやはり狡噛であろう、と推測される。
- 第6回
(ショートドラマ)
厚生省の最新型オートサーバーについての取材で、二人はコミッサちゃんの姿で鍋を披露することになった。宜野座は「お前と二人で鍋をつつき合うのは、俺だって気が進まん」などと文句を言っていたが、結局は狡噛に鍋料理を食べる際の注意を熱く語りすぎて撮影スタッフに怒られる始末である。
それをいいことに宜野座をからかう狡噛と、震え声で必死に演技しようとする宜野座も、なんとも可愛らしい。
(トーク)
関智一(関)「執行官は一人じゃ外出できませんから~、宜野座さんとか朱ちゃんがいないと、みんなは買い物にもいけないという」
野島健児(野)「いちいち朱ちゃんを連れて行けるっていう特権があるんじゃないですか?ちょっと温泉行きたいからみたいな、一泊(笑)」
関「お前監視官なんだから、同室で一緒に朝まで過ごす義務があるんじゃないのか?とかっていう同人誌が作られそう(笑)それが~、うん、同人誌だとそれは朱じゃなくて宜野座で~、そう、『俺は隣の部屋で寝る』みたいになるけど『待てよ』みたいな~」
野「『俺の眼鏡は取らないでくれ・・・』」
関「絶対そういうノリになりそうですよね(笑)そういうのも、まぁ、1回ぐらいやってもいいんじゃないですか?公式でそういうのやっちゃえばみんなも同人誌作りやすいでしょ」
・・・※念のため記しておくが、これは公式のラジオである※・・・
- 第8回
(ショートドラマ)
父親に会うため公安局を訪れた少女が、父親の特徴を「前髪(正しくは前上)」「眼鏡」と言ったことから、狡噛はこの少女を宜野座の隠し子であると勘違いしてしまう。
お父さんのことは好きかい、という問いに返された「大好き」という少女の答えを聞いた狡噛の反応は、どこか寂しげに聞こえる。
- 第9回
(ショートドラマ)
愛犬家協会の会長に接触すべく、狡噛たちはドッグショーに参加する。狡宜クラスタからすれば、もはやデートも同然である。
最後に狡噛が「ダイム、お互い小煩い飼い主には苦労するな」と、ギノを「飼い主」と称した発言をしている。
- 第10回
(ショートドラマ)
犯人の追跡中、深い森の中で道に迷った二人は、ホテルの廃墟で一晩明かすことになってしまう。そう、電波も届かない状況で、二人きりで、一夜を共にするのだ。
狡噛の怪談に怯えた宜野座が突然の物音に驚いてあげた悲鳴や、それを笑い一連の話が作り話であることを明かした狡噛の「嘘だよ(イケボ)」、用を足しに行った宜野座への「気をつけてな」など、とにかく公式有難うと叫ばざるを得ない回であった。
本編18話でショックを受けたファン達の心の支えとなった。
- 第12回
(ショートドラマ)
この回のドラマは、小説「PSYCHO-PASS(下)」の発売に先駆けて、そのボーナストラックとして収録されている狡噛と宜野座の学生時代のエピソードを、ラジオ用に部分的に調整したものである。
これはどこのBLCD、いや少女漫画だと言わんばかりの馴れ初めだったことが判明しただけでなく、狡噛は宜野座の「監視官になる」という言葉を聞いて監視官になることを決めたというのだ。
また、これを聞いたPSYCHO-PASS関係者の感想ツイートをいくつか記載する(敬称略)。
高羽彩 ”学生時代の狡噛と宜野座が仲良しすぎて、口から桜吹雪出た。”
foca ”@高羽 宜野座曰く、学生時代→狡噛と過ごした日々って、どんだけベッタリだったのかと!(>_<)”
高羽彩 ”@foca ほんとですよ…。それを考えると、公安局を去った狡噛ってほんとに……。恐ろしいヤロウですね!!”
古林美里 ”ちょっと待って なんで本編で狡噛と宜野座の高校生時代やらなかったの 描きたいマジ描きたいうわあぁかわいい!!”
古林美里 ”@ゆーぽん 高校生回想アニメ化…して欲しいです…監督…(´;ω;`)”
ゆーぽん ”@複数人 こんだけ仲良しだったのだから、同じ監視官だったこうがみさんが執行官になった時の気持ちを考えると!ぎのさあん!!高校生編もっと!”
- 復刻版第1回
(ショートドラマ)
近く一係に配属される新人監視官の教育方針について宜野座が狡噛に対してアドバイスを求める。先輩として新人には厳しく指導するべきか優しく接するべきか、二人で色んなシチュエーションを想定して演じる様にかつて同じ監視官として切磋琢磨していた頃を見るようであった。
- 復刻版第2回
(ショートドラマ)
エリアストレスが上昇した原因を調査するべく江戸川シーガーデンにやってきた狡噛と宜野座が海パン姿で捜査をする話である。様々なストレスで最近思い詰めている宜野座の気晴らしにと狡噛が連れてきたのだが、肝心なストレスの要因が狡噛であることを本人は気付いていないところが微笑ましい。だがとある事がきっかけで二人が口論となり水泳で勝負をつける事になる。
- 復刻版第3回
(ショートドラマ)
代官山で起きた謎のエリアストレス上昇についての捜査で狡噛と宜野座が仮装パーティに参加することになり、狡噛は地底怪獣ボジュラ(縢が選択した)、宜野座は吸血鬼(禾生局長をモデルにしている)の格好で潜入する。
劇場版PSYCHO-PASS
【アニメ】
劇中二人が会う前、それぞれが互いに向けたアクションとして、
宜野座は「奴(狡噛)と再会できたら、俺の代わりに一発ぶん殴っておいてくれ」と常守に頼み、
狡噛は本編唯一と言っていい世間話として、開口一番「…ギノは元気か…」と常守に尋ねている。
「あのあと執行官ですよ」という返しに、わずかの後「そうか…」と声のトーンを落とす狡噛。
言葉少なながら、互いへの強い思いが見て取れる。
「それはつまり、俺の判断であいつを処理していいんだな?」
とうとう3年ぶりに二人に再会の時が訪れる。
エレベーターの中で狡噛とデズモンドが死闘を繰り広げ、デズモンドのナイフがまさに狡噛の喉元に刺さらんという瞬間、宜野座が乱入しデズモンドを蹴り飛ばし、ついに狡噛と宜野座の共闘が実現する。
宜野座の持っていたドミネーターは早々に吹っ飛ばされ、2対1の激しい肉弾戦に入る。
互い違いに息の合った応酬を繰り広げ、宜野座が巴投げからデズモンドを抑え「投降しろ」と言うと、デズモンドが口内を動かし、自爆の気配を察した狡噛が焦りの表情で瞬時にデズモンドの首を折り絶命させる。
二人激しく息を切らしながら、狡噛はニヤリと宜野座を見上げるが、宜野座の表情は変わらない。
場面が切り替わり、エレベーターは1階に着き、外は明るくなっている。
正座する狡噛に宜野座が拳銃を向けている。狡噛は抵抗せず寂し気な表情で、宜野座を見て俯く。宜野座の向ける銃口に対して狡噛が無抵抗の姿勢を示すのは、これで1期を含め2度目である。
宜野座は狡噛に近づき、「…狡噛」「…お前には、借りがある」と言いながら拳銃を手渡す。
その拳銃は、幼い頃に父と共有した思い出の中にあったものであり、その父が狡噛に託したものでもある。
「ギノ…」と言いかけた狡噛に、宜野座は「今すぐ消えろ。…そして、二度と俺たちの前に姿を現すな。常守監視官に、これ以上余計な重荷を背負わせるんじゃない」と淡々と言い渡す。
「…お前は、それでいいのか?」と聞く狡噛に、微かに笑みを浮かべて目を逸らし、「俺は、妥協を覚えた」と答える宜野座。
そして狡噛を右手で小気味よくぶん殴る。
この演出は2カメであった。2カメであった。(大事なことなので2回言いました)
(ちなみに、共闘中にも宜野座のデズモンドへのパンチが一発狡噛に当たっている)
「これで、良しとしておく」と去る宜野座と、清々しくも見える表情で天を仰ぐ狡噛。
「お前は、それでいいのか?」という台詞は「二度と俺たちの前に」に対しての発言であると小説版のモノローグで明かされている。「もう俺に会えなくなってもいいのか」という意味であり、狡噛は傲慢にも、宜野座は当然自分に会いたいはずだと思っているのである。これに対する宜野座の返答は「俺は、妥協を覚えた」であった。
宜野座は狡噛に会いたいことを言外に認めたのだ。その上で、逃亡犯の狡噛とそれを執行する立場の宜野座がこれ以上関係を続けることはお互い危険であり、そうなれば常守に余計な負担をかけることになるため、狡噛と会えないことを選ぶ(=妥協する)と言っているのだ。
淡々と紡がれた「俺は、妥協を覚えた」という言葉は、もう二度と会うことのない狡噛への告白ともいえる。
また、この会話の応酬から、「今すぐ消えろ」という宜野座の強い語気の中に暗に含まれる狡噛への心配を、狡噛は正しく感じ取ったと思われる。狡噛が執行官になって以降の彼らは、かわす言葉こそ少なくなったかもしれないが、その分、言葉にされない多くの想いを互いに察する三年間だったのだろう。
決定的な変化として言えるのは、これまでは絶対的に狡噛が上手・先手で、彼の言動に振り回される宜野座という図が常であった彼らの関係性がフラットになった、もしくは逆転したことである。ある意味で宜野座の方が大人になり、狡噛の方が身の振り方を決め兼ねモラトリアムのような状態にある。
宜野座の怒りは、無二の友人である狡噛の身をずっと心配していたにもかかわらず、当の狡噛が何も言わず出て行ったことを思えば当然であるが、男の友情としては一発殴ったことで清算されたと考えるのが妥当で、このわだかまりを解消したゼロ地点から狡宜がまた始まる、というのが大筋の見方である。
なお、ノーカットのシナリオでは宜野座のシャワーシーンがあったり、「狡噛を失って以降、無茶ばかりしている宜野座は体にいくつか傷が増えている」という破壊力抜群の地の文があったりする。他にも、宜野座から狡噛への思いやりが本編よりわかりやすくなっている文章もあるため、狡宜民は必読である。(【小説版】の項目にて記載予定)
また、キャストインタビューにおいて、野島氏は狡噛と宜野座の再会を「彦星と織姫」に例え、その時の宜野座の気持ちは「やっと会えた!大好き!でもばかやろー!」というものであり、その拳には「よかったな」という気持ちが込められていたであろうことを語った。
【小説版】
- 第二章
・執行官として過ごす宜野座が狡噛を想う描写がある。
【こうしてダイムを可愛がっていると、最近宜野座にまとわりついてくる孤独感が少しは和らぐ。
最近ー?
つまり、あいつが去っていった「あの日」以降。
父親が潜在犯になったときに味わった、胸が締め付けられるような孤独感。あんなに辛いことは二度とない、と思っていたがそんなことはなかった。】
宜野座にとって、狡噛の存在がどれだけ大きく、そして特別だったのかが分かる。
- 第六章
・抵抗軍拠点での狡噛と常守との会話。映画と異なり、二度狡噛から宜野座のことについて触れている。
【「…ギノは元気か」
「あのあと、執行官ですよ」
「そうか…」
狡噛の顔に、かすかな後悔がにじんだ。】
【「それにしても、ギノが執行官か…」
と、少しだけ悔やむように狡噛がつぶやいた。
「昔…とっつぁん…征陸さんが言ってた。『伸元の執行官落ちなんて見たくない』ってな。あの世で再会したら言い訳できない」】
- 第九章
・狡噛と宜野座の共闘で、宜野座がルタガンダを床に押さえつけた際の二人の詳細な様子が明らかになっている。
【そのとき、狡噛と宜野座の目が合った。
「‥‥‥‥‥」
狡噛が日本を離れる前、最後に見た宜野座は、父親ー征陸智己ーの死体を前にして崩壊する寸前に見えた。海外脱出の際に、あの顔が心残りにならなかったといえば嘘になる。元気そうでよかった。それが、狡噛の率直な気持ちだった。】
【それに対して宜野座は、狡噛を見て目つきを険しくした。
どれだけ人に迷惑をかければ気がすむんだ?いつだってお前はそうだった。自分一人でなんでもできるような顔をしておきながら、結果的に他人を巻き込んで必ず何かを破綻させる。それでいて、何か重大事があったらいつの間にかその中心に居座っている。】
そしてここでルタガンダのモノローグが入る。
【おいおい、そこの日本人ども。俺たちは殺し合いの真っ最中じゃないのか?勝手に妙な雰囲気作ってんじゃねぇ。】
・ルタガンダの自爆後の場面
【宜野座は、リボルバー拳銃を狡噛に向けて構えている。
もとはといえば、宜野座の父親ー征陸智己のセーフハウスにあった拳銃だ。それを狡噛が譲り受け槙島を殺し、ルタガンダに奪われて、息子である宜野座伸元の手に握られている。
こういう運命なのかもしれない、と狡噛は思った。この拳銃は、征陸が用意したそのときから、宜野座の手によって狡噛に突きつけられるために存在していたのかもしれない。こうして思い返してみると、学生時代すでに知り合っていたというのも皮肉な話だ。
狡噛は静かな表情で考える。
ー潜在犯になったんだってな、ギノ。
ーシビュラシステムは、お前がどんな犯罪を起こすと判定したんだろうな。
ただな。
俺にはお前が俺を殺す場面がどうにも想像できないんだよ。】
このリボルバーは、『PSYCHO‐PASS 小説下巻』と『PSYCHO-PASS GENESIS 1』にある通り、宜野座にとって父親との特別な思い出の中にある銃である。
【狡噛慎也は逃亡執行官だ。
これを見逃せば、宜野座の色相、犯罪係数はますます悪化するはずだ。シビュラシステムとはそういうものだ。しかし宜野座はしばし悩んだ末、銃を逆さに持ち直し、狡噛に差し出す。
狡噛は少し驚いたが、なんとなく撃たれはしないだろうという予感はあった。
「もし槙島聖護が死んでなかったら、俺は以前のお前のように、復讐に取り憑かれておかしくなっていただろう。‥奴を殺してくれたお前には、借りがある」】
宜野座は狡噛が槙島を殺してくれたことを「借り」とし、狡噛の復讐に関してどう思っていたのかここではじめて明らかになる。そして宜野座自身の色相、犯罪係数悪化のリスクを背負ってでも狡噛を逃がす決断をしたのだった。
・決別を告げられた狡噛
【それより引っかかるのは「二度と俺たちの前に」という言葉だ。
「…お前はそれでいいのか?ギノ」】
・殴られた後の狡噛
【宜野座は強くなった、それは純粋に、狡噛も嬉しい。
「‥‥‥」
宜野座はそのまま、振り向きもせずに立ち去っていく。
殴られた狡噛は、天井を見上げたまま寂しげな苦笑いを浮かべる。】
狡噛は去っていく宜野座に何を思ったのだろうか…。
最後に宜野座は常守との会話で「土壇場でドミネーターを破壊された。俺のミスだ」「あいつは変わった。もうただの悪党だ。あなたが執着するほどの男じゃない。放っておいても、どこかで野垂れ死にするのがオチだ」と言っているが、「宜野座を見透かして、常守はやや意地悪く微笑む」とあり、「宜野座さんは変わりませんね。今でも全部自分一人で抱え込んでばかり」と言われてしまうあたり、この会話の中での狡噛を逃がした言い訳、狡噛への想いが嘘であり、たとえ狡噛に対しては決別を告げたとしても、宜野座自身は狡噛のことを今までも、そしてこの先も一人で抱え込んで生きていこうとしていることが分かる。
PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.1 罪と罰
【アニメ】
舞台は2117年2月、青森。劇場版PSYCHO-PASS(2116年7月)より後の物語である。
青森の潜在犯隔離施設、特別行政区〈サンクチュアリ〉で発生した事件の中で、宜野座はある少年と出会う。少年の名は久々利武弥。宜野座と同じ、潜在犯の息子であった。
潜在犯となった母親の代わりに武弥を育てた〈サンクチュアリ〉心理カウンセラーの夜坂泉は、武弥に処方されていた洗脳薬を身代わりとなって服用し、脳機能障害を起こしてしまう。徐々におかしくなっていく彼女を見ていたのに何もできなかった、と涙を流す武弥。その姿と嘗ての自分を重ね合わせてか、宜野座は己の過去を語った。
「……おじさんには、親友がいてね。正確に言うと腐れ縁なんだけど……その親友が、一人で悩んで苦しんでいた時があったんだ。でもその時、何もしてやれなかったんだ。そのせいで結局、彼は居場所を失ってしまった。正直、今はとても後悔している……どうしてあの時、もっと力を貸してやれなかったんだろうってね。自分の弱さを恨んだよ」
「久しぶりにこの前会ったら、元気でやっていたよ。改めて、強い奴だって思ったね。ちょっと羨ましかったかな」
「大丈夫。俺が、君もおばさんも必ず助ける。もう誰にも、後悔して過ごす生き方はさせない」
SEAUnで狡噛を殴り、その一発だけで全てを飲み込んで立ち去った宜野座。
それでも彼が、未だに拭い切れぬ後悔を抱えながら生きているのだということが明らかになった。
物語のクライマックスで、宜野座は〈サンクチュアリ〉保全官で元公安局執行官である松来ロジオンと熾烈な戦いを繰り広げた。
ロジオンは宜野座と対照的な存在として作られたキャラクターであり、パンフレットのスタッフインタビューには「自分の欲望を貫いて生きている人」「宜野座がこうなったかもしれない可能性のあるキャラクター」「諦観とか絶望の象徴」と書かれている。
前作では狡噛とルタガンダが拳を交えたが、ルタガンダは狡噛にとって「このまま旅を続けているとルタガンダになるかもしれない、到達点のひとつ」であった。
つまり、狡噛と宜野座は同じ構図で死闘を演じたことになる。
決着の時。ヘリ諸共ヘリポートから落下した際に生じたガラスの亀裂(恐らく施設全体を覆うドームの一部と思われる)にロジオンが叩きつけられ、ガラスが崩壊する。奈落の底へと落ちゆくロジオンとの最後の会話は、こうだ。
宜野座:「俺が望むのは事件の解決、それだけだ」(人間はもっと欲に正直であるべきだという言葉に対し)
ロジオン:「お前もそのうち、他人を信じられなくなる……俺と同じ、潜在犯だからな!」
激しい戦闘の末に満身創痍となった宜野座もまた、ロジオンが落ちたところへと倒れ込みそうになる。しかし、何者かがその腕を掴んで引き上げた。
朦朧とする意識の中で宜野座が見たのは、狡噛の幻であった。
この狡噛は、公安局支給のオレンジのダウンジャケットを羽織り、ネクタイをし、まるで監視官時代のような精悍な顔つきをしている。直近で会った狡噛は戦闘服を着ているが、宜野座が死の淵で咄嗟に思い出す狡噛がこの姿であるならば、宜野座の時間はもう何年も止まったままである。
武弥に狡噛のことを穏やかに語った様子から、狡噛に対する気持ちに整理がついているように思われたが、あのセリフは武弥に語っているようでいて、自分に言い聞かせているのかもしれない。
【小説版】
(後日加筆予定)
【関係者コメント】
- 関さん
「恐らくこの作品で狡噛がしたことは、『この世界を否定すること』。シビュラに従わず、彼なりに答えを出してどこかへ行ってしまった狡噛は、宜野座からは『得体の知れない恐れと憧れ』が入り混じった存在に見えているのかなと思う。宜野座は執行官として、狡噛と対立する立場に残りながらも、ずっと揺さぶられているんでしょうね」(Newtype 2019年3月号)
- 野島さん
「狡噛は宜野座にとって、自分のアイデンティティや正義を覆された存在。その影響はとてもショッキングだったと思うし、だからこそ狡噛の存在が、宜野座の生きる意味に繋がっている。だからこそ、生き続けなくてはいけない。宜野座の中で、狡噛の問題はまだ回収しきれていないことなのだと感じた」(Newtype 2019年3月号)
「宜野座にとっての狡噛は、”心の中に残っている消化しなきゃいけないもの”という風に捉えていた。『Case.1』の宜野座は、彼自身が過ごしてきた時間、自分の中でまだ傷として残っていた部分を、『それでよかったんだ』とひとつひとつ撫でていくような作業をしていたようにも感じる。最後に出てきたのが『脳裏によぎる狡噛』。『ああ、まだ回収してないものがある。まだやらなきゃいけないことが、ここにあった』と、自分の中で印象づけられるようなシーンだった」(アニメージュ 2019年4月号)
- 塩谷監督
「宜野座は一係の中で、狡噛が消えた後、自分がその位置を補完しようと思っていた。今まで狡噛が無茶したり体を張って盾になったりといったことを、今は彼がやろうとしている。だから、やられても立ち上がっていった」(アニメぴあ Shin-Q vol.6)
「宜野座と狡噛の関係性に、彼視点でスポットを当てたかった。宜野座が子供と話す場面があるが、本人がいないからこそ内面を吐露できることがある。それを踏まえた上で、宜野座のバトルシーンをフィーチャーした。なぜ戦わせたかというと、一係から狡噛がいなくなったから。宜野座は、自分がそこを補うポジションだと思っている。だから、何度も倒れたり傷ついたりしながらも立ち上がり、戦っている。そしてピンチの時に、狡噛の存在を思い出す。そういう彼の内面を描きたかった」(エンタメステーション)
(舞台挨拶を後日加筆予定)
3期
【アニメ】
2120年、開国政策施行後の物語。一係のメンバーは雛河のみを残して一新された。
外務省の花城フレデリカとともに帰国したであろう狡噛、および長年一係を支え続けてきた宜野座の所属が不明のまま、放送を迎えることとなった。
- 第1話「ライラプスの召命」
Cパートにて宜野座が登場。刑事課課長となった霜月との通信にて、「状況次第で我々も動かざるを得ない」と、現在彼が組する組織の存在を匂わせた。
その通信画面には、外務省のマークが浮かんでいたのだった。
- 第2話「テウメソスの生贄」
〈出島〉への逃亡を図るセブンインスペクターの些々河を追い、有明空港を駆ける灼と炯。
その前に立ちはだかったのは、二人の男——狡噛慎也と、宜野座伸元だ。
炯が宜野座に掴みかかった瞬間、狡噛は一瞥もくれず、その後も二人が拳を交えるのを見つめていただけであった。逆もまた然りで、入江と廿六木の二人を相手にする狡噛に、宜野座が加勢することはなかった。
その後、些々河を捕らえた花城の発言から、二人がともに外務省海外調整局行動課特別捜査官であることが判明。
狡噛と宜野座——20年前に出会い、すれ違い、離別した二人が、長い年月を経て、再び対等な立場で肩を並べているのだ。
【小説版】
- 第2話「テウメソスの生贄」
狡噛が宜野座たちの戦闘に加わらなかったことについて、灼は「相棒のことを信頼しているのか、加勢する素振りひとつ見せず、咥え煙草で事の成り行きを見守っている」と感じている。
また、狡噛と宜野座が歩んだ20年間についてもまとめられており、最後は「二度と再会するはずのなかった二人。完全に切れてしまったはずの縁は、数年前に起きたある事件を経て、再び合流を果たした。そして今、外務省行動課の特別捜査官として共に職務を遂行している」と締めくくられている。
さらに、アニメでは二人の間に会話は無かったが、宜野座と霜月が対峙する直前の追加シーンが書かれた。
「『——ギノ』
横を歩く狡噛に肩をぽんと叩かれた。面倒事は任せたと合図するように。
狡噛は咥えた煙草に火を点け、霜月の傍を素通りしていった。まったく勝手な奴だった。やりたくないことはやらない。狡噛は時折、子供みたいにワガママな振る舞いをする。それは日本を出る前も、日本に戻ってきてからも変わっていない。」
【漫画版】
- 第1巻#EX002
おまけ漫画として外務省行動課の鍋パーティーの様子が描かれている。オフィスで突然鍋をはじめようとする狡噛を宜野座が怒るシーンではじまり、第二期以降、穏やかな言動が多い宜野座がガミガミしている様子を久しぶりに見ることができる。
・狡噛の鍋の食べ方に対し口うるさく小言を言う宜野座に対し、キメ顔で「ギノは相変わらずだな」と返し、黙って成り行きを見守る須郷にマウントを取る狡噛
・手慣れた手つきで料理をする狡噛を見ながら、アンニュイな表情で「どこで経験してきたんだか」と呟く宜野座
・シメのごはんを持ってきたフレデリカに「シメはうどん!」と息ぴったりにユニゾンする狡噛と宜野座
といったシーンがある。
狡噛は、髪型も言動も大きく雰囲気を変えた宜野座の中に、昔と変わらないものを見つけ安心し、宜野座は、外見はあまり変わらない狡噛の中に、自分の知らない一面を見つけ、あらためて離れていた時間を自覚することになる。そんな二人の妙な雰囲気を感じ取った須郷は、彼らの世界には介入できないなとでもいうかのように、困ったような微笑むような複雑な表情を浮かべた。二人だけの世界を構築しがちな狡噛と宜野座に挟まれる須郷の胃が心配である。
PSYCHO-PASS ASYLUM 2『別離』
PSYCHO-PASS LEGENDシリーズにおける、宜野座を主人公としたスピンオフ小説。
狡噛と二人で監視官として一係を率いていた頃の事件にまつわる話(2107~2108年頃)である。
夜遅くに狡噛が宜野座に電話をかけ、日東学院の同窓会に参加するか否かについて話し出すシーンがある。
その中で宜野座は学生時代を振り返り、誰もが宜野座を「潜在犯の父を持つ可哀想な奴」と見なす中、狡噛だけが宜野座を「宜野座伸元」というひとりの人間として捉えてくれたことを思い出していた。学部が違い、家も互いに逆方向ではあったが、暇を見つけては会い、二人で時間を過ごしたという。
三係から一係へと異動してきた狡噛を見て、潜在犯である執行官を信頼し仲間として扱う彼の態度に疑問を抱き、狡噛はまるで変わってしまったと思っていた宜野座。しかし、目の前の相手をありのままに受け入れ、理解し、境界線をあっさりと踏み越えてしまうという狡噛の気質は、学生時代から何も変わってなどいないのだということに気付く。自分が勝手に「監視官に相応しい狡噛慎也」というイメージを作り上げ、現実との乖離にイラついてしまっていただけなのだ、と。
そして、宜野座が同窓会に行かないことを知った狡噛は「お前が行かないなら俺もいいかな」と言い出すが、宜野座に出席を勧められてすぐに「じゃあ、そうするか」と思い直すなど、少し優柔不断な面を見せた。
このやり取りで、狡噛もまた学生時代を思い出し、宜野座の熱意にあてられて自分も公安局を目指したことを明かしている。
最後に狡噛は、本題である宜野座の監視官としての在り方について、「親友(ダチ)だと思うからこそ言わせてほしい」と切り出す。優れた猟犬は正しく扱うべきであるということ。監視官という職と真剣に向き合っている宜野座が指揮官となりメンバーを動かせば、どんな事件でも解決できるだろうということ。
それを受けて宜野座が「当たり前だ。おれたちは監視官だぞ。その務めを果たさなければならない」と返し、通話は終わる。
狡噛と宜野座はそれぞれ、自分たちについて
「狡噛は狡噛で、宜野座(おれ)は宜野座(おれ)だ。どちらも、決して成り代わることができない。どれだけ生き難くても、その交換できない事実こそが、何より互いが唯一無二の価値を掴んだということなのだから」(宜野座)
「適材適所だな。それ(交渉事)はギノに任せておくよ。俺は現場で犯人を追うのが性に合っているらしい」(狡噛)
と考えている。二人は、互いを補い合うことのできる最高の相棒と言えよう。
時は過ぎ、2113年4月。
執行官となった宜野座が、先述の事件を機に(短い間ではあったが)飼っていた犬・ロンの墓を常守と共に訪れると、そこには白いイヌサフランの花束が置かれていた。「ゆいいつの親友であり、誰よりも背中を預けられる男」であった宜野座の相棒、狡噛が置いていったものだ。
イヌサフランは宜野座の誕生花であり、その花言葉には「悔いなき青春」「私の最良の日々は過ぎ去った」とある。作者である吉上亮氏は、これについて「宜野座はこの花の花言葉を知っているが、狡噛はその勘の良さから選んだのではないか。宜野座の誕生花であったことは自分にとっても偶然」といった趣旨のコメントをしている。(大森望のSF喫茶 #10)
狡噛はいったい、どのような思いを抱えて花を供えに来たのだろうか。
PSYCHO-PASS 選択なき幸福
Xbox Oneで発売され、後にPS4とPS Vitaに移植されたゲーム。ストーリーは一期作中となるが、完全オリジナルストーリーである。
主人公はオリジナルキャラクターだが、選択肢によってはアニメ本編で見られなかった狡噛と宜野座が一緒に捜査をする姿が見られ、展開によっては共闘シーンもある。