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皇室祭祀

こうしつさいし

皇室祭祀とは、天皇が八百万の神と皇祖皇宗に対して国家の平和と国民の安寧を祈る儀式である。
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概要編集

天皇のお務めは、憲法で定める「公務」と伝統的な「祭祀」と大きく分けることが出来る。

「公務」は象徴あるいは元首として行われるのに対して、「祭祀」は神道の祭祀王として行われる。そもそも、天皇の古語は「すめらみこと」と言い、これはの言葉を受けてこの世を統治することを意味している。古代において統治=祭祀であり、天皇は統治権と祭祀権の双方を持っていた。統治権に関しては、時代によって専制、摂関政治、大権委任と変遷があるが、祭祀権は歴史上一貫して天皇にあり、神話から連綿として行われてきた。


また、祭祀は天皇にとって最重要とされてきており、鎌倉時代の第84代順徳天皇の『禁秘御抄』で「先ず神事、後他事」とされており天皇の祭祀の重要性がみてとれる。


歴代の天皇は常に国家の平和と国民の安寧を祈られており、それは現在でも変わらず神道の「祭祀王」として君臨されている


祭祀編集

現在の祭祀は、明治41年(1908)に制定された皇室祭祀令に基づいて、宮中三殿という皇室専用の神社で天皇直属の神職である掌典職とともに行われる。戦前は、国家の重大行事とされており、祭日休日とされていた。(例:天長節紀元節春季皇霊祭など)しかし、戦後になり政教分離を謳う日本国憲法が施行され、皇室祭祀は天皇の私的行為になり掌典職も国家公務員から内廷職員(天皇が雇っている労働者)となった。


祭祀は、「大祭」と「小祭」に分けられる。

  • 大祭とは、祭司の天皇が皇族および官僚を率いて祭祀に臨み、自ら「告文」を奏上する祭りのことをいう。「親祭」とも言われる。
  • 小祭とは、祭司は掌典長で、告文はなく、親拝のみが行われる。

一覧編集

1月1日四方拝早朝に天皇が神嘉殿南庭で伊勢の神宮、山陵および、四方の神々に遥拝
歳旦祭早朝に宮中三殿で行われる年始の祭典
1月3日元始祭年始にあたり皇位の大本と由来を祝い、国家国民の繁栄を宮中三殿で祈る
1月4日奏事始掌典長が年始にあたり、伊勢の神宮および宮中の祭事のことを天皇に申し上げる
1月7日昭和天皇祭昭和天皇の崩御当日に皇霊殿で行われる
1月30日孝明天皇祭孝明天皇の崩御当日に皇霊殿で行われる
2月17日祈年祭宮中三殿で行われる神恩感謝の祭典
(2月11日)(紀元節祭)宮中三殿で行われる。現在は「臨時御拝」という名目で行われている
2月23日天長節天皇の誕生日を祝って宮中三殿で行われる
春分日春季皇霊祭春分の日に行われるご先祖祭
春季神殿祭春分の日に行われる神恩感謝の祭典
4月3日神武天皇祭神武天皇の崩御当日に皇霊殿で行われる
皇霊殿御神楽神武天皇祭の夜に御神楽を奉奏
6月16日香淳皇后例祭香淳皇后の崩御当日に皇霊殿で行われる
6月30日節折天皇のために行われる祓いの儀式
大祓神嘉殿の前で、皇族をはじめ国民のために行われる祓いの儀式
7月30日明治天皇例祭明治天皇の崩御当日に皇霊殿で行われる
秋分日秋季皇霊殿秋分の日に行われるご先祖祭
秋季神殿祭秋分の日に神殿で行われる神恩感謝の祭典
10月17日神嘗祭賢所に新穀を供える神恩感謝の祭典。この朝天皇は神嘉殿において伊勢の神宮に遥拝
11月23日新嘗祭神嘉殿において、天皇が新穀を皇祖や神々に供えて神恩を感謝した後、自ら召し上がる祭典(神々との晩餐会)。皇室祭祀において最も重要とされている
12月中旬賢所御神楽夕刻から賢所に御神楽を奉奏
12月25日大正天皇例祭大正天皇の崩御当日に皇霊殿で行われる
12月31日節折天皇のために行われる祓いの儀式
大祓神嘉殿の前で、皇族をはじめ国民のために行われる祓いの儀式

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