概要
独特の表現方法で数多くの詩を残した。著書「にんげんだもの」はミリオンセラーとなる。
伝統的な書道界に反旗を翻し、仏教の思想に基づいた平易な詩を書として記す独特の作風を確立。ひらがなを多用した書も非常に独特であり、難解であることを是とするような書道の世界では異端と言えるほど読みやすく印象に残る字体であった。
一方で、これらの作品は膨大な失敗や練習の末に生まれたものであり、決して即興や天啓に頼ったものでは無かった。みつをのアトリエは常に膨大な書で埋め尽くされており、満足のいく書を描くためなら心血を惜しまない人であった。
大衆的な人気とは裏腹に、書道界・詩壇では、「分かりやすく説教臭い」相田の作風は長らく嫌われ、全く評価を得られなかった。現在でも評価は賛否両論に分かれており、「シンプルで心に響く」と賞されることもあれば、「処世訓であって詩ではない」と否定されることもある。
書の世界でも評価はまちまちであり、「唯一無二の個性である」とする人もいれば「わざと下手に書いている」と手厳しい評を下す人もいる。
そういった背景もあって、生前の相田みつをは経済的にかつかつの状態であった。筆一本で生計を立てるのも楽では無く、詩集がヒットしてもなかなか暮らしは楽にならなかった。
しかもそんな赤貧でありながら、決して筆も紙も質を落とそうとせず高級品にこだわり、書き損じも捨てたり風呂の焚き付けにしようものなら烈火の如く怒ったという。
その人物性は作風の大らかさとは正反対の、凝り性の頑固一徹というかなりの偏屈な人物。飢えを凌ぐために日雇いに出ればいいところを、その時間さえ惜しんでひたすら書を書き続けたという。
それ故に家族は彼に振り回されっぱなしで、子沢山にもかかわらず風呂も食事も満足にさせず、家のことは妻にすべて任せ、自分は子供の相手すら惜しんでただひたすら書に熱中していた。
子供たちからも「頑固で怖い父親」というのが生前の印象だったという。
pixivではその独自の作風をネタ化した作品が投稿されることが多い。