概要
大日本帝国海軍の航空母艦の艦級の一つ。同型艦は翔鶴・瑞鶴の2隻。
第三次海軍軍備充実計画(通称マル3計画)で建造された大型攻撃空母であり、マル2計画で建造された空母「蒼龍」・「飛龍」の拡大発展型である。
当初は1940年末に18,000t級空母2隻の完成を目指していたが、艦載機用物資を増やした結果、3万t級に大型化している。
またそれによって格納庫の拡大と航空艤装の洗練により、搭載機数は「蒼龍」「飛龍」より約30%多くなっている。これは、日本海軍の保有する全空母の中でも、戦艦を改装した「加賀」に次ぐものである。その「加賀」より少ないとされる搭載機数についても、それは補用機を含めた数であり、常用機の数はほぼ同じであった(その補用機も、わずかな準備作業で使用できる状態、いわば準常用機として搭載していた)。格納庫と飛行甲板の間での航空機の昇降も、赤城や加賀より作業しやすかったとされる(赤城や加賀は、飛行甲板が高所にあるため若干時間がかかり、また、3層ある格納庫のうち最下層まで届いているエレベーターは限られているなど、内部構造が複雑で、無駄が多かった)。
機関については、基本的に同時期に建設された大和型戦艦と同じボイラーを8基搭載しているが、高温高圧化することで日本海軍の艦艇で最大となる160,000馬力を達成している(大和型は12基のボイラーで150,000馬力)。これにより、要求された34ktという高速を達成しただけではなく、不足気味だった「蒼龍」「飛龍」より30%以上長い航続距離も達成している。
なにより従来の空母に比べて、ワシントン・ロンドン両海軍軍縮条約を破棄してから建造されたことから、排水量の制限を受けなかったため、「蒼龍」「飛龍」には施せなかった防御の強化もなされている(ただし飛行甲板はほぼ無装甲であるなど、完全とは言えなかったが)。
こうして、空母「加賀」の運用実績、「蒼龍」「飛龍」の建造実績を取り入れ、バランスの取れた空母として設計された翔鶴型は、就役時、日本海軍で最も完成度の高い空母であったと言える。事実、一番艦の翔鶴は幾度も重大な損傷を受けながらも大戦初期~後期までを戦い抜き、二番艦の瑞鶴と並んで日本海軍を通じてトップクラスの武勲をも挙げた、優れた艦であった。
翔鶴型2隻は共に太平洋戦争開戦直前に竣工・就役して第五航空戦隊(五航戦)を形成、第一航空艦隊に編入された。
類似タグでは、五航戦がある。pixiv百科においては、翔鶴型の戦歴などについてはそちらで記述されているので、参照されたい。