概要
『モンスターハンターダブルクロス』(MHXX)に登場する、角竜ディアブロスの二つ名個体。
以前から強敵として多くのハンター達から恐れられてきたディアブロスの中でも、さらに突出した凶暴性・戦闘力を持つ特殊個体とされ、"二つ名持ち筆頭"とも称される強豪モンスターである。
古くから、とある砂漠地方に伝わる伝承の中でその存在が語られており、曰く憤怒に従いその目に映る全てを狂奔の末に抹殺せんとする「鏖殺の暴君」である。
多くの大国や組織から特級の危険性を警戒されており、幾度となく歴戦の勇士や討伐隊が派遣されたのだが、逆にそれ等の全てを絶望的なまでの暴威で以て蹂躙し、誰一人として無事に帰す事はなかったという。
その苛烈極まる性質と、常軌を逸する程の暴れ様から「鏖(みなごろ)す悪魔」として恐れられ、現在ではハンターズギルドからも「鏖魔」の二つ名で呼ばれており、通常の個体や亜種とも明確に区別されている。
全体は通常の個体と同様に砂色の外殻だが、頭部や翼、脚部や尻尾などが部分的に異様な濃紺色に染まっている。ただの模様というよりは、まるで多量の飛沫をその部位に浴びて上塗りされたかのようにも見えるので、犠牲者の返り血を浴び続けた結果によるものではないかと噂されている。
最大の特徴は左右非対称の歪な角で、左角が右角よりやや短く先端が三股に分かれたような異様な形状になっている。このような異様な形状となった原因は特定されていないが、かつて何者か(ハンター?)との戦いで圧し折られた角が再生した為ではないかとされている。
ハンター達の間では「角を折った者に対する復讐心が、あの異様な形状の角に現れているのではないか」と、まことしやかに囁かれているらしい。
角にばかり目が行きがちだが、ハンマー状の尻尾も左右非対称の形状をしており、こちらは左側の方が歪に発達している。
所謂「二つ名」を与えられたモンスターの中でもとりわけ危険性が高いとされている個体であり、これまでも数多の歴戦のハンター達を引退や殉職に追いやり続けてきた。
伝承の中でも、鏖魔ディアブロスの脅威に打ち勝った「英雄」は一人として確認されておらず、そして幸せな結末を迎えた逸話もまた一つとして存在しないという。
その為にハンターズギルド、並びに「龍歴院」では特例中の特例とも言える極めて厳しい狩猟制限を設けており、条件を完全に満たす事に成功した最高クラスの実力を持つハンターにのみクエストを提示する方針である。
ただし、龍識船に接続している酒場のマスターとその相棒には、この鏖魔ディアブロスと深い因縁があり、その酒場で幾多の依頼を達成して実力を認められたハンターにのみ、バックアップも万全に整える等の条件付きで、特例で狩猟の解禁を許可したというケースもある。
戦闘力
通常個体と同様に、強力な突進や地中に潜ってからの奇襲を得意としているが、一方で地面を尻尾で殴りつけてその衝撃で砂や岩の塊を打ち出すなど、通常の個体には見られない技も体得しており、特に恐るべきは大音量の咆哮を放ち、立て続けに突撃に移行する連携攻撃である。
ディアブロスの咆哮は、近くで聞けば思わず耳を抑えて立ち竦んでしまう程の音量と威圧感があるが、これによって多くの生物が一時的に動きを止めてしまう事を、鏖魔ディアブロス自身が完全に理解しているので、その一瞬の隙を突く形で一撃必殺を狙う。
また、咆哮後の隙をキャンセルして再度突撃したり、そのままの勢いで地面に潜ったりもする他、突進時に「途中でUターンして再度こちらに突っ込んでくる」という、MH4Gでモノブロス亜種が使用していたモーションも使用してくる。
ダメージを受け続けると興奮によって全身の血流が増し、暴走状態と呼ばれる形態に突入する。
この状態になると、メイン画像のように体の黒かった部分が血流の影響で真っ赤に染まり、体表に赤く光る筋が浮かび上がるようになり、通常時以上に物々しい容姿に変化する。
この状態になった鏖魔ディアブロスはより激しく暴れ狂い、熟練のハンターでも迂闊に手出しができない程に危険な存在と化す。
加えてダメージを受けると怒りと興奮はピークに達し、狂暴走状態と呼ばれる形態に突入する。
さらに血流が増加し、頭部や翼に広がる濃紺色をかき消す程に赤々と光り始める。
この状態に突入した鏖魔ディアブロスは周囲に対して見境なく攻撃を振るうようになり、戦意の無い者に対しても容赦なく襲い掛かる程に狂暴化し、眼前にいる存在を全て完全に殲滅するまで攻撃を止める事は無い。
さらに、急激な運動量に対応する為なのか血流の流れもより活発化し、結果として体温も急激に上昇して、全身から分泌される体液は悉く蒸発して膨大な量の水蒸気が発生する。この水蒸気はある程度の量まで蓄積すると、凄まじい規模の水蒸気爆発を起こし、周囲にいる者をまとめて吹き飛ばしてしまう。
極めて危険な状態ではあるものの、狂暴走状態に移行した鏖魔ディアブロスは肉体的な限界を迎えつつある状態であり、血流の増加に伴って肉質も軟化し、攻撃が通りやすくなった状態でもある。
また、あまりに激しく暴れ続ける為、一時的に体力が追い付かなくなる瞬間があり、大技を繰り出した直後に僅かながら隙を見せる事もあるという。
如何に相手の猛攻を潜り抜けて反撃していくかが、狩猟する上での大きなキーポイントとなってくるだろう。
ちなみにこの水蒸気爆発に関しては、自身の体液を体内で加熱し強引に外殻に留めて圧縮し、ハンターの眼前でそれを解放するという原理で、水蒸気爆発を起こす事は実際に可能かもしれない(加えるとディアブロスは砂漠地帯に生息している為、体液や水分を体内に貯蓄する能力を持っている可能性はある)。
いずれにせよ非常に危険で無茶な技であり、ギリギリまで使いたがらないのは当然であると言える。こんな技を使えば普通なら脱水症状になりそうなものだが、もしかすると水蒸気爆発使用後にボーッとするのが一時的な脱水症状によるものなのかもしれない。
評価
二つ名持ちモンスターではあるが、ディアブロスがメインモンスターになるのは、これがシリーズ初の快挙である。二つ名持ちモンスターがメインモンスターになる事自体も異例と言える。
Xでは不参戦だったディアブロスが、XXで二つ名持ちモンスターを引っ提げて復活し、さらに二つ名持ち筆頭とまで呼ばれながら、いよいよ満を持してメインモンスターに昇格した事に歓喜するファンも多かった。
ただし、狩猟するには条件が厳しく、「集会酒場」のラスボスを討伐して、さらにXXから追加された二つ名持ちモンスターの天眼、銀嶺、青電主、鎧裂、朧隠のG1をクリアしなければならない。
また、前述の通りこのディアブロスは「集会酒場」のマスターと深い因縁がある為、クエストの受注は「集会酒場」でしか行えない。
一部、原種やモノブロス亜種と同様の攻撃もするが、問題は前述の暴走状態と狂暴走状態である。
暴走状態は攻撃モーションが追加され、攻撃力も増すのだが、威嚇確定の攻撃が多い為にチャンスはあるのでそれが救いよう・・・なのだがそれは暴走状態までの話。
狂暴走状態からは水蒸気爆発が追加され、攻撃性がさらに増す。当然ながらレベルによって異なるものの強い防具だろうが関係なく、基本的にまともに攻撃を食らえば瀕死か即死となる。
おまけに、状態咆哮キャンセルからの突進も追加されており、状態関係なく攻撃をしてくるので、「高級耳栓」か「ブシドースタイル」で確実に回避しなければ被弾確定で超ダメージである。
一方で、大技の後の隙は変わっておらず、頭の軟化と合わせてよりダメージを稼ぎやすくなっているので、4人パーティーなら一気に畳みかけると本領を発揮される前に討伐完了する事もある。
総じて、モンハンらしいターン制バトルを存分に楽しめる強敵として高い評価を得ている。
BGMは二つ名持ちモンスターでは唯一専用のBGMを持っているばかりか、メインモンスターでは初の専用BGMを2曲持っているモンスターである。流石は"二つ名持ち筆頭"と言ったところか。
通常時及び暴走状態に流れる楽曲は「憤怒の奔走」、そして狂暴走状態では「鏖殺の暴君」という曲になる。BGM自体の人気や評価も高い。「鏖殺の暴君」は、ディアブロスのテーマ曲でもある砂漠の汎用BGM「双角猛る砂漠の暴君」のアレンジ。かなり原曲の面影がある。
余談
- 興奮すると血流の増加の影響で体の一部が赤く染まり、さらに凶暴化して突進攻撃なども速くなるが、反して肉質が軟化するという点はティガレックスと同じである。
- 過去のシリーズでも片方の角を失った“「マ)王」”と呼ばれる個体が登場したことがあるが、この鏖魔ディアブロスとの関係は不明。ただし、PVでは“鏖魔”に「オウマ」というカタカナのルビがふられていることから、開発側も多少は「マ)王のことを意識したのかもしれない。
- ファミ通.comに掲載されたインタビュー記事によると、「開発側が目指す"最強のモンスター"というコンセプトで生み出されたモンスター」であるらしい。
- 二つ名持ちモンスターとよく似た外見のヌシモンスターでは、本個体をモデルにしたと思われるヌシ・ディアブロスが登場した。角は折れていないが、怒りに支配されている点では同じ。
関連項目
モンスターハンター / モンハン モンスターハンターダブルクロス / MHXX
バルファルク ディノバルド ガムート ライゼクス タマミツネ ヌシ・ディアブロス
メインモンスター(メインシリーズ)