概要
「モンスターハンタークロス」に登場する牙獣種に分類される大型モンスター。
通称「巨獣」。
同作に登場する四体のメインモンスター「四天王」の一角。主に雪山や氷海といった寒冷地域に棲息しており、その地域一帯の生態系の最上位に君臨している。
モチーフは実在した古代の象であるマンモスで、特にその中でも有名な「ケナガマンモス」がデザインベースにある。そこに伝説上の一つ目の巨人である「サイクロプス」や「ヘカトンケイル」などのイメージをブレンドして、デザインされたという。
一つ目のような肩の模様や頭殻、そして男性用の頭装備にそのデザインが反映されている。
全身が青と赤を基調とした鮮やかな体毛に覆われており、頭部を冠のように覆う重厚な甲殻、反り返るように伸びた豪壮な牙に長大な鼻を有する。
頭部は頑強そうな甲殻で覆われてるが、実際は胴体の方が遥かに硬い。
そしてそれら以上に目を見張るのが、超大型モンスターに比肩する程の圧倒的な巨体であり、成体ともなれば小柄な個体でもまず全長20mを下回る事はなく、体高は控えめに見積もっても14m前後はある。言うまでもなく現在確認されている牙獣種の中では最大の種であり、その圧倒的な佇まいから「不動の山神」の異名も持つ。
マンモスがモチーフなだけあって完全草食性のモンスターだが、寒冷地域という過酷な環境下に棲息している為に縄張り意識が極めて強く、外敵や侵入者を発見すると容赦なく襲い掛かり、その圧倒的な巨体による一撃で叩き潰してしまう。
巨体に見合った大食漢であり、その為に牙獣種にしては珍しく群れは作らずに単独で徘徊し、常に餌を求めて移動し続けるので基本的に単一の縄張りを持たない。このような生態から、食糧への執着心がとても強く、食糧を狙う者への排撃が取り分け激しい。
さらに食糧が不足すると極端に凶暴化するとされており、食糧難に陥った個体が雪山付近の村に侵入し、木造の家屋を片っ端から破壊して食したという事例すらもある。
このように、食糧を求めてどんな場所にでも襲来して暴れ回り、植物質の物ならなんでも餌として食べてしまうので、ハンターズギルドからも強く警戒を呼び掛けられているモンスターである。
巨体故に動きは鈍重ではあるが、その気性の荒さと一撃で大地を揺るがす破壊力から、ひとたび荒れ狂えば最早誰にも手のつけられない脅威となる。
戦闘力
草食種のポポと同様にマンモスをモチーフにしたモンスターだが、その大きさ・強さ・危険性はまさに月とすっぽんであり、並み居る強力な大型肉食モンスター達すら凌ぐ程である。
戦闘の際には、その巨体そのものが恐るべき凶器となり、足を振り下ろそうものならそれだけで大規模な振動が発生する。体躯を生かしたボディプレスや鼻による叩き付けは雪原を隆起させ、外敵を一撃で空高く吹っ飛ばして、地面もろとも粉砕する程の威力を持つ。
では、力技だけのパワータイプなのかというと決してそんな事はなく、鼻で地面を叩く、鼻で器用に雪玉を作り上げて投げ上げる、氷の弾丸を作り出して敵を正確にスナイプする、鼻から拡散ブレスを吐いて敵を一網打尽にする、敵を吸い寄せて攻撃する、といった非常に多種多様な攻撃方法を持っており、とても器用で知性的な面がある事が窺える。
特に「鼻を地面に叩きつける」攻撃は、ガムートの攻撃の中で最も威力の高い一撃であり、怒り状態の際は一回叩き付けた後に前方を吸い寄せてもう一度叩きつける攻撃を仕掛けてくる。
このように鼻は非常に器用に動かす事が出来るのみならず、人間サイズの生物は勿論、大型飛竜すら易々と抱え上げて投げ飛ばす事ができる程の蛮力も誇る。
他にも、脚や尻尾に氷雪を纏っており、脚や尻尾の肉質硬化だけでなくボディプレスの際はこれを飛散させる事で攻撃範囲を広める事ができる。
雪は甲殻をさらに補強する防御壁ともなり、自らの意志で何度でも纏い直す事ができるが、脚部の甲殻が損傷すると付着に支障を来す事が確認されている。
これは雪を付着させるメカニズムに、脚部の甲殻の形状が関係している為だと考えられている。
成体のガムートは分厚い体毛や堅牢な甲殻や圧倒的な巨躯から、ほとんどの捕食者を歯牙にも掛けず、MHP2の看板モンスターであるティガレックスとも真っ向から互角以上に渡り合い、その爪牙をものともしない数少ないモンスターであると称されている。
ちなみに雪山のモンスターの中でも特に大型の種であるティガレックスも、ガムートに食らい付く絵面は、「巨象に襲いかかる肉食獣」といった程度のスケールにしか見えない。
ガムートがいかに巨大であるかが分かるだろう。
レア素材は下位が「巨獣の頭殻」、上位が「巨獣の氷玉」、G級は「巨獣の天殻」。
また、「巨獣の鼻棘」という素材も、入手手段が部位破壊と捕獲しかなく(基本報酬では出ない)、そのくせ武具の強化にまとまった個数を要求される為、ハンター泣かせのストッパー素材として非常に悪名高い。
他にも、ガムートの体毛は耐久性、防寒性、衝撃吸収性に富んだ非常に優秀な素材である。
上質な物は「剛毛」と呼ばれて、堅牢な耐久性を持ちながら衝撃吸収性を損なっていない。
最高級な物は「豪剛毛」と呼ばれ、さらなる耐久性としなやかな柔軟性を併せ持つ。
また、首の後ろから背中、腰にかけて生えている鬣状の赤い体毛は、普通の体毛に比べると、一本一本がより太くて硬い質感を持つ。
銀嶺(ぎんれい)ガムート
「モンスターハンターダブルクロス」で新たに登場した二つ名持ちモンスター。
老齢期に入ったガムートのようで、体毛の一部が白くなっているのが特徴である。
通常個体とは違って、鼻にも氷雪を纏うようになり、この状態では鼻を使った攻撃が強化される。他にも後脚が硬くなっており、ダメージが通りにくい。
詳細は銀嶺ガムートを参照。
生態
上記のように、ポポと同じくマンモスがモチーフのモンスターなのだが、鼻の長さや体の大きさや体毛の色が異なるのは勿論、足の形状や牙の生え方などを見ても、両者が全く別種の生物である事は一目瞭然である。そもそも作中では、両者が似ているといった記述や設定も特に存在しない。
しかし、そのポポとは共生関係を築いているという事が、後に発表された公式設定で明かされた。
ガムートは幼体時は母親と2頭で生活を送る事が多い(雄がどこでどのようにして生活しているのかは不明)が、幼体は非常に非力である為、捕食者に狙われる事も少なくない。
それ故に幼体の毛皮は真っ白であり、雪山の保護色となっている。
幼体の最大の天敵は前述のティガレックスで、幼体時にティガレックスに植え付けられた恐怖が大きい程に成体になった際のティガレックスに対する攻撃性が激しくなるという。
しかし、母親1頭だけで小型の肉食モンスターも含めた全ての外敵に対処するのは難しいので、それに対抗してしばしばポポの群れに子供を混ぜるのである。
ポポ達に小型の外敵から子供を守ってもらいながら面倒も見てもらい、その見返りとして母親は子供がいる群れ全体をティガレックスなどの強力な大型の捕食者から守る役割を請け負うのである。
主にティガレックスに狙われているのはポポも同じなので、ポポとしては圧倒的な力を持つガムートの成体に幼体共々守ってもらえる。それに対して、ガムートとしては幼体を小型の外敵の襲撃などから守ってもらえる上に、敵の狙いを分散させて幼体の生存率を上げられるのである。
まさに双方にとって願ったり叶ったりの関係である。
この時の、子供がいる群れを守る為に外敵と戦うガムートの姿は、人々の目には「民を守る英雄」のように映る事もあるという。
一方で、普段は母子だけで生活している為にガムートの母子は大変深い絆で結ばれており、特に子育て中の母親は外敵への排撃がとりわけ激しく、どんな肉食生物よりも凶暴で恐ろしい存在になるという。こうした生態を持つ関係上、ゲーム中でハンターが狩る事になるのは雌の個体であるらしい。
ゲーム上では雄しか狩れない他の四天王達とは、ある意味対照的な存在である。
武具
武器
通常個体
ガムートの甲殻や牙を用いた無骨なデザインをしており、高い攻撃力と軽度のマイナス会心を持っている。
生産段階ではどれも一貫して「巨獣○○」(○○は武器を表す文字)だが、最終段階まで強化すると、とんでもない名称になる。
武器種 | 生産段階 | 最終強化 | 読み |
---|---|---|---|
大剣 | 巨獣大剣 | 巨断・頭刃叉ァーン | きょだん・ずばしゃぁーん |
太刀 | 巨獣刀 | 巨刃・肢ュ刃ッッッ | きょじん・しゅばっっっ |
片手剣 | 巨獣剣 | 巨巧・牙牙牙我通ン | きょこう・ががががつぅん |
双剣 | 巨獣双剣 | 巨斬・斬苦斬ク狩刃バ | きょざん・ざくざくしゅばば |
ハンマー | 巨獣鎚 | 巨叩・打ッ堕ァーン | きょこう・だっだぁーん |
狩猟笛 | 巨獣弦琴 | 巨響・武ゥ応音音音― | きょきょう・ぶぅおうおんおんおんー |
ランス | 巨獣槍 | 巨突・怒守度守ド度狩 | きょとつ・どしゅどしゅどどしゅ |
ガンランス | 巨獣銃槍 | 巨穿・怒守罵ァーン | きょせん・どしゅばぁーん |
スラッシュアックス | 巨獣剣斧 | 巨攻・餓斜ン牙機ン | きょこう・がしゃんがきん |
チャージアックス | 巨獣盾斧 | 巨衝・餓斜ン具流ン | きょしょう・がしゃんぐるん |
操虫棍 | 巨獣棍 | 巨襲・舞羽ン舞羽ーン | きょしゅう・ぶうんぶうーん |
ライトボウガン | 巨獣弩 | 巨弾・弩ッ弩ッ弩ッ | きょだん・どっどっどっ |
ヘビィボウガン | 巨獣砲 | 巨撃・爆砲ォー遠 | きょげき・ばほぉーおん |
弓 | 巨獣弓 | 巨射・頭ッ弓ゥーン | きょしゃ・ずっきゅうぅーん |
下位武器 | 上位武器 | 読み | |
オトモアイルー | 巨ネコ杖 | 巨ネコ・踏叉ァーッ / 猛巨ネコ杖(獰猛化武器) | きょねこ・ふしゃぁーっ |
冗談でもなんでもなく、実際にこういう名前である。
最早ただの擬音語である(某アニメを知っている人ならば間違いなく彼女を思い浮かべるだろう)。
巨獣武器を順当に強化していき、唐突にぶっ飛んだ名前を見て唖然となった(もしくは腹筋崩壊した)プレイヤーは数知れずいる。
後述の防具説明文に登場する衛士や巫女が、禍つ神と戦う際に用いた武器の音を銘に冠しているようなので、名前とは裏腹に結構重い雰囲気が漂って・・・くるのか?
さらに、G級素材を注ぎ込んで限界突破する事で、武器名の「巨○」が消えてその代わりに最後に「MAX」(全角文字)が付く。例えば、大剣なら「頭刃叉ァーンMAX」となる。
・・・重い雰囲気が漂って・・・こないわー
防具
詳細は「ガムート装備」を参照。
評価
公開前から史上初の牙獣種のメインモンスターとして注目度も大きく、その牙獣種とは思えない超大型モンスターと比肩する程の巨体なビジュアルもあって、気になる者も多かった模様。
圧倒的な攻撃力と攻撃範囲、大ダメージを与える程の豪快な技が多数あり、当初は苦戦する者も多かった。専用BGMも威圧感が漂う雰囲気を出している。
しかし、その巨体が仇となって攻撃を当てやすい他、危険な技の殆どが頭部(牙や鼻)や前脚によるものであるため、(ダメージ効率は下がるものの)後方に陣取っていれば驚く程安全に戦える。これにより、MHXまでは「思ったよりも狩りやすい・弱い」という意見が多かった。
その弱点を反省してか、MHXXでのG級と銀嶺にはヒップアタックが加わり攻撃の幅が広がった上に、タフネスまで強化されたことで立ち所に沈められてしまうハンター達が続出した。
MHXでは「簡単」や「大した事無い」などと散々な酷評を受けていただけに、「不動の山神」としての面目躍如と言ったところだろうか。
防具に関しては、特に女性の防具が可愛いと評価が高い。
余談
- 名前が明らかになるまでは、ファンの間ではその見た目から「ドスポポ」の愛称がつけられていた。上記の通りポポと共生しているので実際の生態もドスポポである。
- ポポとは同じ「長鼻目」に属している為、非常に遠い親戚であるとは言える。しかし、ガムートは「頭殻亜目 ガムート科」であり、ポポは「奇鼻上科 ポポ科」なので、やはり両者は生物学的にも殆ど関係はない。
- 名前の由来は、ヒンディー教の神の一柱で像の頭を持つ「ガネーシャ」とマンモスの一種「マストドン」の英語表記"Mammut"から。
- 前述の通り、デザインモチーフにはマンモス以外にも「サイクロプス」などの一つ目の巨人が入っているのだが、そもそもこれらの巨人は、元々は象を見た事が無かった古代ギリシャ人達が象の頭蓋骨などから連想したものだとされている。
- ガムートの牙は現実の象のような先端が鋭利に尖ったものではなく、先端がヘラのように広がった形状をしている他、現実の象やマンモスの牙が上顎から生えているのに対して、ガムートの牙は下顎から生えている。このようにマンモスがモデルなのだが、現実の象やマンモスとは異なる特徴も多い(ちなみにポポの牙は、現実の象と同じく上顎から生えている)。
- 討伐時に、足踏みで周囲に震動を起こす。起こすだけなのでこれといった害はないが、周囲に震動を起こしつつ力尽きるモンスターはこのガムートのみである。
- 後のイベントクエストでは、ハンターと高さが同じくらいの小さいガムートが登場した。小さくてもモーションは同じなので自分よりも巨大な雪だまを投げてきたりする。またエリア移動の際は物凄い早足で移動する。
厳しき復活への道
クロスシリーズ以降、ガムートは2024年現在に至るまで、(ストーリーズ系列を除けば)四天王で唯一後継作品に1度も登場しておらず(※)、最も復活が難しい四天王といわれている。
理由としては余りに巨体過ぎるが故に、エリアルスタイルなどの措置が無い作品では爽快な戦闘を成立させにくい上、昨今のシームレスフィールドに至っては移動すら困難となってしまう点が挙げられる。
特に移動面は深刻な課題となっており、ガムートが動ける通路を前提としたフィールド設計を行いつつ、鈍重で歩行しか出来ないガムートをシームレス環境に対応させようとすれば、彼女“だけ”のために莫大な開発コストが掛かってしまうのだ。
これだけ骨が折れる割に、ガムートはシリーズ20周年記念で開催された『モンスター総選挙』にて、四天王最下位・メインモンスター全体ではワースト2位となる229種中85位を叩き出しており、態々復活させたところで費用対効果が見合わないとも囁かれている。
これまでの四天王の参戦状況(※)や、シリーズ史上最大級のフィールド面積を誇ることから、2025年発売のモンスターハンターワイルズでの復活が期待されているが、
現在(2024年10月現在)公開されているフィールドは軒並みエリア間通路が狭く、早くも参戦が絶望視され始めている(ただし、寒冷地フィールドはまだ発表されていないため、復活の希望が潰えたわけではない。公開された“あるゲーム内表記”により、少なくとも“寒いエリアの存在”は確定しているので、今後の情報に注目したい)。
※ダブルクロスが終わり、次回作では一旦全員リストラとなった四天王だが、
アイスボーンにてディノバルドが最初に復活。同時に亜種も追加された。
タマミツネは和風の世界観のライズで復活。サンブレイクにて希少種も追加された。
そしてライゼクスもサンブレイクで復活した。
このように、アイスボーン〜サンブレイクにかけては新作が出る度に四天王が1体復活するという流れが続いており、「次こそガムートの番では⁉︎」と期待されている
(ちなみに、ダブルクロスに則った“6大メインモンスター”の括りで見た場合も、
バルファルクは特殊個体が、鏖魔は極めて類似した個体がライズで登場し、双璧共に擬似的な復活は果たしている。
未だに復活していないのは、本当にガムートだけである)。
戦闘BGM
他のメインモンスターと同様、戦闘BGMは固有のものが採用されている。
タイトルは「不動の山神 ~ ガムート」。
OPではティガレックスを圧倒しているガムートだが、クエスト中に両者が合流した場合、戦闘BGMはティガレックスのものが優先される。これはどちらが格上なのか、はたまたティガレックスが先にメインモンスターとして出ていたからなのか、いまいち判断に困る仕様である。
生態ムービー
関連項目
モンスターハンター/モンハン モンスターハンタークロス/MHX 四天王 牙獣種 二つ名持ちモンスター マンモス ゾウ マンモデウス
ゴシャハギ 氷属性の牙獣種でティガレックス並の強さを持ち、武器は攻撃力が高い代わりに氷属性値がかなり低く武器名は擬音という極めて共通点の多いモンスター
メインモンスター(メインシリーズ)