響電とは、『艦隊これくしょん』に登場する「響」と「電」のカップリングもしくはコンビ名。
読みは一定していない。「ひびでん」でも「ひびいな」でも「ひびづま」でも「ひびきいなづま」でもお好きなように。
概要
暁型駆逐艦の2隻で、響は2番艦、電は4番艦。1番艦の暁、3番艦の雷とともに第六駆逐隊を編成する。
ゲーム中ではお互いに関する台詞はほとんどない(後述)が、第六駆逐隊の四人セットで扱われるのが通例。
第六駆逐隊のカップリングは暁響と雷電姉妹の方がメジャーだが、こちらは「電」が「響」の身代わりになるように目の前で沈んだ、という史実がベースのカップリングである(後述)。そのため、このカップリングでは響が電のことを何よりも守りたい存在として強く意識しているのが基本的。
響の改二(ソ連引き渡し後の姿)である「Верный(ヴェールヌイ)」と電のカップリングも、便宜上このタグで扱われる。
ヴェールヌイの対潜のステータスが高いのは、電を目の前で潜水艦に沈められ、妹の仇を取り逃がした史実から……と推測することも出来なくはない(公式では特に対潜が高い理由への言及は無い)。
ゲーム内でのお互いに関する台詞
響「電のてるてる坊主、いいな。かわいい」(2016年梅雨ボイス)
……これだけ。ゲーム内では、電の方からは未だに響に関する台詞はひとつもない。
アニメ版
第6話で、料理の本を一緒に読む響電や、電の頭を撫でる響といった描写があった。
史実
第六駆逐隊や「響」「電」の詳しい史実は個別の記事に譲るとして、ここではこのカップリングの元となった「電」の轟沈について述べる。
1944年5月14日、「電」は「響」とともに、マニラからバリクパパンへ向かうタンカー3隻(「建川丸」「あづさ丸」「日栄丸」)を護衛していた(この輸送任務に関しては主観記録ではかなり記述が食い違うが、ここでは「日栄丸」戦闘詳報での記述に基づく)。
この時点で、「暁」は2年前の第三次ソロモン海戦で轟沈、「雷」も1ヶ月前に潜水艦によって沈められていたため、第六駆逐隊はこの時点で「響」「電」の2隻だけになってしまっていた。
午前3時、「電」は「響」と持ち場を交替。これが2隻の運命を分けることになる。
午前4時20分(3時45分頃という証言も複数ある。「日栄丸」戦闘詳報では4時20分)、セレベス海で米潜水艦「ボーンフィッシュ」の放った魚雷5本のうち2本が「電」を直撃。これはタンカーを狙ったものが外れて偶然「電」に当たったものだった(そのため「ボーンフィッシュ」はタンカー1隻を撃沈したと報告しており、沈めたのが「電」だったと米軍側が知ったのは戦後のことである)。
「電」は魚雷の命中で船体がV字に折れ、僅か2分で沈没。常盤貞蔵艦長以下169名が戦死した。「響」は即座に爆雷を投下して反撃に出たが、「ボーンフィッシュ」は深く潜行してこれをやり過ごした。「響」は反撃を諦め、「電」の生存者121名を救助した。
「電」を失ったことで「響」は第六駆逐隊最後の生き残りとなり、この約一ヶ月後、第六駆逐隊は解隊されることになる。
『「響」と航行位置を交替して約三十分後の出来事で、もし交替していなかったら、われ(引用者註・「響」のこと)が撃沈していたはずであった。「電」はわれの身代わりになってくれたようなものである。これはたんに運命だといい切れない複雑な心境であった。』
(宮川正「憤怒をこめて絶望の海を渡れ」-『駆逐艦「神風」電探戦記』光人社NF文庫 所収)
『「電全没!」と報告したとき、言いしれぬものが体中を駆けめぐった。この間、僅か一分三〇秒(二分三〇秒だったかも知れない)。航海日誌にそう記入したと思う。
私達は最も信頼する僚艦「電」を失なった。肉親の一人が亡くなったような大きなショックを受け、心の何処かにポッカリ穴が開いて終ったような気がした。美しい静かなセレベス海は、一瞬にして凄惨な海と化した。』
(西山光治「「響」から見た「電」の轟沈」-『不沈艦響の栄光』ひびき会 所収)」
ちなみに「ボーンフィッシュ」は約1年後の1945年6月に、富山湾で海防艦によって撃沈されている。
参考文献:
・『駆逐艦「神風」電探戦記』光人社NF文庫
・ひびき会編『不沈艦響の栄光』
・梅澤祥一『海は限りなし』
・「昭和19年5月1日~昭和19年10月31日 特設運送船日栄丸戦時日誌戦闘詳報」
『駆逐艦「神風」電探戦記』は新刊書店で容易に入手可能なので、興味のある人は一読をお勧めしたい。
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